やりたいことをやった結果
酒の場でたまたま相席した奴と喋っていたらが結構気が合って、自分の深いことまで話していた。まあ、こういう場だから話せることもあるだろう。
「へえ、そんな経験をしたんだね、じゃあ、自分の経験を語ろう。父親を監獄に叩き込んだ話だから面白いよ」
「なかなか興味深いなどういう話なんだ?」
「父親は悪いやつだった。いつも、誰かを傷つけて富を稼いでいた。そして、息子を褒めてくれなかったんだ、一度も。
だからムカついて、悪事を警察にタレコンダ。そしたら捕まって、財産をすべて取られて残った僕らは貧乏ぐらし、母親は貧乏生活に耐えきれなくなって男と出ていった。
僕は隠して居た財産で学校行ったり勉強して今では普通に暮らしている」
「……まあ、インパクトがある話だが面白いかそれ?」
「一人きりの家はとても寂しくて、その寂しさがとても幸せだったりするんだ、結構面白いだろう?」
「いや、なんか宇宙人のようにしか思わないけど」
「自分が宇宙人とは思っていないけど……僕は裁きたいと思ったもの裁いた。それが、正義心だったのか、子供としての復讐だったのか曖昧だけど……。
別に貧乏になりたいわけじゃないし、そのまま豊かな暮らしを維持したかったけど。まあ仕方ない、結果は受け入れないと」
「後悔してるのか?」
「微妙なところ。もっと好き勝手にできる生活はしたいけれけど、あんな奴と一緒にいる生活は嫌でとてもストレスだった。気分としては今の方がいいかな。
そして、今ある程度の財産はあるし今のところこっちのほうが食事とか趣味とかで満たされている割合が多い気がする」
「母親は?」
「正直母親もめんどくさがった。一人きりの部屋はマジでいい。でも、洗濯とか食事の用意とかマジで面倒くさい。早くアンドロイドができてほしいがまあできないだろうし、一人でやってる。
でも、室内洗濯機とか、手軽な料理法で楽にする方法もあるし、料理の方は結構楽しくなってきた。うん、悪くない生活。まあ、母親は幸せになってくれればと思うよ。僕が居ないところで自由に生きればいいんじゃないかな。ああ、幸せだって感じ」
「そうなのか。ところでその話の教訓はなにかあるのか?」
「自分が好きなようにやった結果に後悔があるのか、ないのかって話だな。家族という一番大切にしなきゃいけないものを僕は何かヨクワカラナイ物に突き動かされて壊した。
でも、僕は案外満足している。絶対に不幸になると今思っているものも実際にやってみると案外そうではないかもよ。まあ不幸になるかも知れないけど」
「なるほど、まあ参考にはなったかもな」
「誰にも話していないことを話したんだ。出来ればそうしてくれ」
グラスを合わせる後がキンとなった。
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あれから、数時間が立った。
「……酒が切れてきたな」
「じゃあ、もういい時間だし僕もそろそろ出ようかな。楽しい夜だったよ、さよなら」
「ああ、さよなら」




