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自分勝手な人助けと一目惚れ
「あの人は自分勝手だけど、自分勝手に私の命を救っていきました」
あの日、いつも通り生活している村に盗賊が襲いかかってきました。家族も私も捕まえられ、盗賊は怖気の走るようなことを相談していました。そんな絶望している時。
「ふむ、賊が向こうから来るとは武器の試し切りにちょうどいい」
などといって、賊を切って捨てたのです。彼は助けられた村人のお礼の言葉も気にせず去っていきました。
私は、お礼を言うために村を出ることに決めました。助けてくれたあの人に恩を返さないといけませんから……本当は嘘です。単に一目惚れしただけなんだと思います。ただ自らの目的のために切り捨てる姿……今でも鮮明に思い出せます。だから、私は行きます。この衝動のために。




