魔物変異
魔物変異。突然変異した魔物たちが世界を地獄に変えた。
「お前が化物たちを生んだのか!!」
俺は目の前に悪魔を責める。とうとうここまできた。世界を地獄に変えた元凶のもとへ!
「私が力を与えたのは魔物たちの変異した後です。変化を見て、私の意識に変化が生まれました。人間に対する認識が変わったのです。そして、滅ぼされる前に全てを安寧に導くために私が行動したのです」
だが、悪魔はそんな俺の考えを裏切った。人間を化け物にする悪魔が元凶じゃないだって。
「お前でもないとしたらこんな世界になったのは誰のせいなんだ!」
そうだ、こいつ以外あり得ない。こいつじゃないとしたら、今までの俺の歩みはどうなってしまうんだ。
「私は知りません。ですが、その誰かは必要でしょうか」
なに?
「当たり前だろう。誰かがいなければこんなことが起こるはずがない!」
「そうでしょうか。例えば「生ける血」あの種族の可塑性と適応性にはあれだけのことが出来る可能性があった」
「だったらなぜ、急に皆が変異した。一体だけならそういう可能性があったでいいが急に皆だろう誰かが後ろで糸を引いていなければおかしいだろう!」
そうだおかしい、元凶がいないなんてことはありえない。
「知りません。私もすべてを知っているわけではないので。ただ、……知ったからではないですか。誰かが出来ることを教えてくれた。だから、やろうと思えた。それだけなのかもしれませんよ」
「そう……だとしたら」
もし、それが本当なら。俺達に出来ることは何もない。
「ええ、そうだとしたら誰かの思惑でも力でもなく、自らの力に気づいただけだとしたら誰を倒しても変わらないでしょう。誰でもない、その者自身の力なのですから。」
「私がやってきたことは無意味だったのか」
「外を見てください。今、世界は変わろうとしていますよ。変異の果てに世界は全ての形を変えた。だからこそ人間も姿を変えて生き残ろなければならない。人間もまた越えなければいけない今までの形を。私はただ、それをサポートしようとしただけです。私と手を組みませんか。あなたもわかったでしょう。このままでは人間は生き残れない。生き残るためには変わるしかないと」
今までやってきた選択を行動を無駄にする選択だ。しかし、それでも生き残る道がそれしかないのだとしたら、
「私は……わたしは! 悪魔とだって手を組んでやる!」
「わかった。人間を生き残らせるため、お前とだって手を組んでやる。ただ努々忘れるならお前と手を組むのは生き残らせるためだけという事を」
「フフフ、了解です。最悪の日だと思っていましたが、むしろこうなるための過程だったのかもしれませんね。一緒に、人間を救済しましょう」
こうして、私は悪魔と手を組み、今までよりも過酷な道に足を踏み入れた。




