207/906
褒め言葉と虚無
貴方はなんという偉大な思索の持ち主なんだ
感動しました
貴方は私を感動させる力を持ちます」
「貴方のお陰で救われました」
「涙が出ました」
「貴方こそが救世主です」
「救いとは貴方の名前です」
「救うには。救われるにはやはり、貴方でなければいけない」
「貴方こそが救いです」
闇から声がする。
「夢幻の褒め言葉。壮大で宗教的。夢幻と知りながらそれでも沈みますか。それとも、それでは届かないと虚無に浸るか。あなたは届きますか。救われますか」
私が目を瞑ると、闇はヒビ割れて現実に浮上する。答えなど言う必要すらもない。
私は瞼を開けた。




