読心能力者の蹂躙
「お前、なぜ俺の攻撃を避けることが出来る。俺はいちいちどっちで殴るなんて考えていないんだ。読めるわけがないだろう!!」
眼の前にスーツを着た男が俺を馬鹿にした表情で見ている。
「はあ。私達超能力者はそんな低レベルではない。超能力者は超能力が身についているから超能力者なんだ」
「はっきり答えろ!!」」
「まず、心とは君が思うほど浅いものではない。微細な無意識、君が意識下で思う以上の情報が脳内では処理されているのだよ。そして、それを私は光見るようにすぐに処理できる。
分かるか? 読心能力者の『よむ』とは新聞を読むような事でも、音を聞くような事でもない。タイムラグという点では見るに近いのだ」
俺は愕然とする。
「そ、それなら、俺の動きは全て読まれていの同じじゃないか!!」
「その通り。君も、何かが来たと分かったら反射的に行動できるだろう。私も似たように心を読んで反射的に行動できる」
くっ、まともな戦闘は不利だ。下がらなければ。
「おっと、下がるのか」
…………ヵハッ。倒れ込む。下がろうとした瞬間踏み込まれ、なんとか差し込んだ防御も抜けて腹に一発をもらった。ぼ、防御する場所も見抜かれているんじゃ勝てるわけがない。
「くそッ」
「逃げたか。まあ、正しい、単純な走力勝負になれば勝てない。だが、最後逃げる時にうっすら無意識に逃げる場所を考えたな。ふふふ」
くそ、あいつに勝つにはどうすれば。
「おやおや鬼ごっこはもう終わりか」
「な、なんでここが……」
「逃げる時、無意識にここを考えたんだ。読心能力者と戦うのにちゃんと無意識も制御しないとはだめじゃないか」
奴はニヤニヤしながら俺を見ている。
「こ、今度こそ、ランダムに逃げ場所を決めれば」
「おっと、逃げ場所が分かっていたのに罠を貼っていないとでも」
なっ、俺の意識が消えて…い……く…………
「それでは、おやすみ」




