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残念な恩返し


「はあ、疲れた」

 今日も寒く空は曇っている。吐き出した息は白く、その色が俺を憂鬱にさせた。

 歩いていると道端に死体が転がっていた。また死体か。ここではそういうことも珍しくない。ただ、今日の死体は若くいつもより憂鬱にさせた。別に子供の死体を見るのが初めてじゃない。だが、もう少し生きてもいいだろうと思うだけだ。

「うん?こいつは・・・・」

 よく見ると、こいつは知らない奴ではなかった。この間、魔物に襲われている所を気まぐれで助けた奴だ。

 恩返しをさせてくれと言ってきたが、子供にたかる程余裕がないわけではなく、お前が余裕が出来た時いっぱい奢ってくれればいいと返したがどうやらその約束は守られないようだ。

 死体は穴だらけで、凍えて死んだのではなく殺されているのだと分かる。少し、立ち尽くしていると周りの奴が声をかけてきた。

「そいつを知ってるのか、そいつはあそこにある酒場から酒を盗もうとして殺されたらしいぜ、まああそこの酒は高いからな仕方ないか」

 そうか・・・・恩を返そうとしてくれたんだな。あれはせっかく助けたんだから生きてろよという意味だったんだが、そのために死ぬなんてな。・・雲った空を見ながら、

「残念な恩返しだな」

とだけこぼした。

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