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世界か大切な人か


「倫理とか関係なしに、大事なものなら何だって失ってヘラヘラとしてらんないでしょ」


「……だからこんな事したのか、ああ、世界を滅ぼした」


「世界が滅んだら大事なものも失うだろう」


「いやあ、世界が滅んでも生き延びられる準備はしてあるぜ。それに、彼女にも許可を得ている」


「彼女だけでいいのか? お前には家族も友人もいるだろう……世界を失えば他の大事なもんは失うぞ」


「ああ。友人と家族で断ったやつは気絶させて箱庭に入れてあるぜ……まあ、その後、受け入れられないかも知れないな。まあ、選ぶよ。選択するさ。どちらも大切であっても捨てなきゃいけないかもしれないな。でも、もう究極的には何を一番に優先するかは決めてあるぜ。捨てなきゃいけない時が来る。今みたいにな」


私の姿はボロボロだ。やつを止めようとしたが届かない。


「あんたを切り捨てるのは辛い。だが、まあ選ぶしか無いからな」


 奴は、飄々としていて、他人からは何も感じていないように見えるが、一時期教えていた身としては分かる。奴の悲しみが、そして、それでも選ぶと決めている奴の覚悟が。


「ちっ」


 深呼吸をする。


「……もう何も言わない。ただ殺す。いくぞ!!」



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