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普通の恋愛

 

 心地よい潮風が吹いて、輝く太陽の下、僕は友人達と海に来ている。でも、今の僕に友人達を気にするほどの余裕はない。


 僕たちはどんな奇跡によるものなのか、いつもの友人二人と仲がいい女子たち三人、合わせて六人で旅行に来ていた。


 今、僕達は女子たちの着替えが終わるのを待ってる。……足音がした。着替えが終わったんだろう、後ろを振り向く


 ……綺麗だ。彼女のために全てがあり雄大な空も煌めく海も彼女を彩るための装飾品に過ぎないその瞳は宝石のように輝いて世界中の富の全てを用意しても全くその価値の足元に及ばないそれに


「何じろじろ見てんのよ」


 その声に僕は我に返り、現実の世界に帰ってきた。ジロジロ見るのは良くなかったな。


「惚れられたわね」


「綺麗だもんね」


「ふざけたこと言わないで」


 女子たちと掛け合いをしている彼女を見ていると、僕の友人が肩に手をかけてきて、今日決めちまえよと小声で言ってきた。言い返そうと思ったが言い返さなかった。



 海で遊んで疲れて休んでいたら、彼女が隣にきた。彼女の水着姿がきれいであまりみつめられない。その時、僕は友人の言葉を思い出した。勇気を出して彼女を見ると、彼女の頬は赤く照れて、何かしゃべろうとしては止めていた。決めた、今日告白しよう。だから、


 「今日の夜、この町で神様を祀るお祭りがあるんだって、よかったら二人で行かない」


 彼女は真っ赤になって小さな声で行くと言ってくれた。嬉しくて飛び出そうになるのを我慢して、遊んでいる友人たちの元に向かった。頭を冷やさないと飛び上がってしまうよ。



 彼女と二人きりの祭り。その事に跳ねてしまいそうな思いを抑えながら待ち合わせ場所で待っていると彼女が薄青色の浴衣姿でやってきた。かわいい。一瞬、頭が馬鹿になった。冷静にならなきゃ、彼女をエスコートしなきゃいけない。緊張している彼女に声を掛けた。


 それからの祭りは楽しかった。射的にりんご飴に、型取りにタコ焼き。最後に大きな神輿が運ばれていくのを見た。楽しかったし、彼女も笑っていた。今こそ言えると思った。僕は覚悟を決めた。大事な話があるんだ、聞いてくれるか。彼女は真剣な顔で頷いた。


 「いつもあなたのことばかり考えていました。好きです。これからも一緒にいてください」

 心臓が破裂しそうだった。早く終わってくれという気持ちと答えを出さないでくれという気持ちでいっぱいだ。それでも、しっかり彼女の目を見た。彼女が涙を流していた。


「大丈夫、ごめん、失礼だったよね。迷惑だったよね」


僕は一瞬でパニックになった。


「違う、違う、嬉しくて」


「えっ」


「私もあなたのことが好きです。これからもずっと一緒にいてください」


 今ある気持ちを言葉にだせず抱き締めた。彼女はおずおずと抱きしめ返した。僕たちはいつまでもそこにいた。



「こうやって、あなたのお母さんとお父さんは付き合う事にしたのよ」


「ロマンチックじゃん」


「その後はその後は」


「その後は付き合って、高校を卒業してすぐに結婚。色々な所に行ったわ。アルバムがいっぱいになるくらい。あなたたちにもアルバムを埋めれるようないい出会いがあるようにね」

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