光の氾濫
その日、光が氾濫した。光は道に迷えるものに道を指し示し。夜空へ誘った。
「辛い、辛い……だが、決して届かないけど届きたいと思うなにかがある。だから仕事頑張らないと」
仕事中のサラリーマンはぼやけていた目の焦点を合わせPCに向かっていった。
「辛い、辛い。どうして僕がこんな目に合うんだろう……分からない、でも進んでも良いんだと思った」
そうして彼は包丁を手に取った
「辛い、辛いよお。ま~くんに振られた~。重いって。重くないよね、重くないよね、ねっ、ねっ……悲しくて止まらないけど、彼氏が居ないと私ダメだからまた彼氏を作ろう」
泣いていたギャルはスマホをいじり始めた。
「辛い、辛い。なぜ、あいつだけが報われるんだ! 俺だって頑張っているのに……クソ、頑張ってやる!」
部署で成績二位のエリートは向上心を回復させた。
「辛い、辛い。我が子を殺したアイツを絶対に許さぬぞお!!……そうだ、私は絶対に許さない!!!!」
我が子をハイエナに殺されたトラは復讐の思いを強くした。
「辛い、辛い、自分よりも大切な人が死んだ。どうすれば良いんだ……そうだ、死ねば良いのか」
すでに光を失っていたある男は、自らの光が失っていたことを自覚した。
世界は変わった。




