炎の魔法使い~戦争出陣~
「ふふふふふふ」
燃えていく木の枝を見ながら僕はほくそ笑んだ。
僕は生まれつき炎の魔法が使える。魔法使いを輩出した家は補助金が出るから敬われたが同時に恐れられた……まあいい。こんな村よりも都会にある魔法学院に行ける。そこでもっとレベルが高い生活をしてやる!
最初僕は思い違いをしていた。魔法学院は僕にふさわしい知的なところだと思っていたが……とんでもない! 脳筋達が集まる軍事学校だ! ……まあ、そうでもしなければ農民である僕が入れなかっただろうが……。
「お前達は蚤だ。ただ黙って言われた通り走らんか!」
「「「「イエス・マム!!!!」」」」」
今日もシゴキと罵声で教官に対して死ぬと思いながら日々を過ごしていった。
「くそ教官め、僕が出世したら復讐してやる」
「おいおい、俺たち平民が出世できるわけ無いだろう」
「ふん、僕は選ばれた魔法使いだ。直ぐに出世してやるさ……そうしたならお前たちも引き上げてやっても良い」
「へいへい、その時はよろしくたのみます、と」
いつしか、本来で会わなかったであろう別々の村からきた奴らとも仲間のように思えてきて
……それが目的だったなら言いたくないが感謝しないと行けないかもしれない。本当に言いたくないが。
そして、戦争がきた。僕たちは仲間とともに戦場に赴いた。
焼き払われた。敵国の新型戦略兵器により、抵抗の余地もなく壊滅。
僕は中心点から離れていたのと、炎の魔法使いとして火に抵抗力があることから生き残ったが仲間は全て死亡。
仲間の死体に囲まれた中で、僕は演じていた大事なものは剥がれ落ちていくことを感じ取った。
仲間の物を奪い取り質屋で売ろう。そしてゆっくり状況を見ていくんだ。
ああ、そうだ。状況がはっきりしたら、哀れな生き残った兵士として政府に言うのもいいかもしれない。
ただ静かにこれからどうするか考えていた。周りの黒い隅を見ないようにずっと、ずっと。




