灰色の短編集

不死者の捜索

「では、不死者捕縛作戦の会議を始める」

「不死者を捕縛するに当たって問題はまず、どこにいるのか見つけることだ。実際土の中や海の中に握られると追いきれない。だが不死者と言えども人間らしい生活がしたいだろう。よって街など人がいる所にいると仮定する」

「出来るかどうかで範囲を絞れないなら、動機から考えるしかないですね。

　前情報を見ると、対象は不死者をということが知られ、数年ほど遊び半分に玩具にされていたそうです。耐えきれなくなったのか村を滅ぼし、そのまま近くの人に襲いかかる暴徒になったらしいです」

　別の部下が言う。

「ならその周辺を捜索していたら勝手に襲いかかってくるんじゃないか？」

「それがですね。一度、騎士が不死者を捕まえようとして失敗しているんですよ。つまりはそのせいで我に帰っている可能性が高い。暴れたままならやりようはりましたが冷静になったときどうするのか」

　部下たちの言葉を聞いて頷く。

「一度捕縛を失敗してから奴が暴れた報告は聞かない。つまりは正常な判断能力が戻ったと考えてもいいだろう。逃げ潜んでいる」

　この周辺の街の聞き込みしかないか、しかしあまりにも範囲が広い。つまり、見つけることは不可能か。いや、最初から諦めるのはまだ早い。

「よし手配書を用意しろ、後は地道に聞き込みだな。

　そうだな。これは一つの予想だが、いざとなれば逃げ場ある海の近くかもしれない、そちらを重点的に調べてくれ」