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人間の赤ちゃん


「あなたの悩みは何ですか」


 昔、人間の赤ちゃんが可愛かったから持ってきたんだ。そしたら動かなくなっちゃった。人間の赤ちゃんが何を食べるのか何も知らなかったんだ……


 でも、友達はどんまい、こうしたらいいよ。次は上手くやったらいいよ、なんて言っていた。なぜだかわかんないけど僕は怖くなっちゃったんだ。


 なんか、とてもやってはいけない事をやっちゃったんじゃないかって、こんな風に大したことじゃないように、納得するのがとても怖い事なんじゃないかって。


 それから僕は、友達の悪戯も上手く笑えなくなっちゃって、一緒にいて詰まんないって友達が減っていっちゃった。一人だけずっと誘ってくれた友達もいたけど、その子が誘う遊びも僕は楽しめなくなっちゃったんだ。



 ある日、僕たちの住処に人間たちがやってきたんだ。そして、こう言った。


 「我が娘を奪った復讐を」


 って。僕は何もできなかった。動かないでいるうちに、僕の仲間達が襲ってきた人間を殺して、玩具にし始めた。

 

 そして、一匹の四肢が変な方向に曲がっている人間がこっちを見たような気がした。僕が誘拐した赤ちゃんと同じ色の髪と目で。

 仲間の妖精は目を突き刺したりして遊んでいる。そうして、僕は、僕は



 周りには妖精の死体がいっぱい転んでいる。僕たちが住んでいた森は燃えている。友達が叫んでいる気がしたけど、何も聞こえない。僕は何も分からない、何で楽しめなくなったのか、何で仲間を殺したのか。

 

 雨が降っている。あの日、赤ちゃんが死んでから一度も動かなく表情が、初めて笑えたような気がした。友達の目にはどのように映っているのだろうか、遊んでいる時のような楽しそうな笑顔かな。僕には分からないから教えてほしいな。ねえ、僕はどんな表情をしてるの。

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