ディストピア~サイレンの音~
雨が降っている。人々が傘を差してる中、路地裏で男が濡れることも気にせず駆ける。
後ろから銃弾が放たれる。銃弾が掠め服を赤く染める。呻き声を我慢し駆ける。しかし、前に多脚機械が、銃口が男に向く。破裂音が鳴り響く。
……その場には赤い血痕しかなかった。下にマンホールがある。
男は息を切らしながら座り込む。男の脳裏にはこうなってしまった過去が想起される。
AIが発達し全てを機械が管理できるようになった。しかし、それは楽園にならず。自由が厳しく制限されたディストピアになった。
私は真の自由を求めて戦おうと同じ信念を抱く仲間を集めた。同志達と一緒なら必ず自由を取り戻せると思ったはずだ。なぜこうなっている。
そう、攻めるための計画を立てていた時。政府の駆除機械がやってきて仲間達が次々に殺されていった……なぜ、わたしたちの居場所がバレたんだ?
まさか……裏切り者がいたのか……。
衝撃からある程度回復して立ち上がらうとした時。サイレンの音が鳴った。この都市では一定時間ごとにサイレンが鳴る。皆を監視していると言っているかのように。
男はサイレンの音から逃げるようにどこかに向かっていった。




