力関係
この世界に神はもういない。
「お前らはもういい」
言い伝えによるとそう言い残して、彼方へ去っていったらしい。 そしてそのすぐ魔界が浮上し……10年で人類の9割が殺された。今の俺等は魔族から逃げ隠れするのみ。そう遠くない未来人間は絶滅するだろう。
魔族にとって神とは人間贔屓のクズらしい。強き我らが世界を支配するべきだと言っている。
……だが、そんな奢りもまた彼方から現れた怪物によって粉々に砕かれたようだ。怪物は魔族も人間も気にせす、大陸ごと喰って飛び去っていった。
どうやら、彼方にはそういう奴らがいるらしい。魔族は今までの傲慢が嘘みたいに、怯えながら暮らしている。
今、魔族達は神崇拝者と神否定者に別れて戦っている。俺たち? 俺たちはもうどうでもいいかな、俺たちには何の決定権もない。何をする事もできない、そういう立ち位置だ。
そう……思っていた。
だが、神崇拝者が神が贔屓していた人間を大事にすれば戻ってくるかもと言い出した。
……そうして俺たちは魔族の街に連れてこられた。魔族は歓迎している「これで神が戻ってくるぞ」と。
はあ、どうやら決定権がないというのは殺されるか、感慨されるかも選べない事だったらしい。
……でも、心の奥で少し火がついた。これは単にペット扱いだが同時にチャンスでもある。これで少しは魔族に影響を持てるかもしれない。
後ろ向きなモチベーションだが行動する意欲が出てきたのも事実だ。さて、やってやるか。




