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井戸の中にいる怪物

 

 僕の家の近くには、大きな森があってそこでよく友達と遊んでいた。ただ、その森の奥深くに古びた井戸があって、井戸をのぞき込んだ人を中にいる怪物が喰っちゃうんだって。

 もちろん、僕たちがそんな楽しそうなところ探検しないわけがない。でも、井戸なんかなかったんだ。つまんないってがっかりしたんだけど、僕の友達は諦めずに夜中なら見つかるかもって探しに行ったんだ。


 そしたら次の日僕の友達が行方不明になった。大人たちは町中で探したけど見つからなかった。僕は彼が井戸探しに行くっていたから絶対に井戸に喰われたんだと思った。

 でも、大人たちはそれを信じなかった。森も探してくれたんだけど、一日中探しても見つからかったらしい。だから、井戸に喰われたと言っても誰も信じてくれなかった。

 というか僕も信じなくなった。だって、一日中いたんだからいつかは見つかるはずだし、大人たちから隠れたっていうなら、とても情けない怪物だよね。そんな、出たり出なかったりする怪物なんて。

 大人たちからは隠れて、子供たちを襲うなんてそんな怪物怖くもなんともないよね。だから、その話をみんなにした。嘘の怪物、弱っちい怪物と。


 そうしたら次の日、森の中に井戸と喰われたような死体の友達が見つかったらしい。

 多分なんだけど、怪物は本当にいたけど、それと同時に大人たちから隠れていたんだと思う。とても情けないけれど。

 そして僕たちが弱いといううわさを広めたから弱って死んでしまったんじゃないかな。

 

 事件の後、その小学校では『弱い怪物』という名の怪談が広まったらしい。

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