貨物列車の出会いで運命が変わった3人の物語
何のために生きていますか?
例えば家族や友達、自分のためなどいろいろあります。
私は妹のために命をかけて今まで生きてきました。しかし、妹が昨年死にました。生きる目的を失うと何もしたくなくなるとドラマとかでいうけど本当になるんだなと思いました。
改めて問います。あなたは何の為に生きてますか?目的を失った私は何のために生きればいいですか?
高校生の私が考えるにはまだまだ早い内容かもしれない。でも妹を失った事実は変わらない。
私の母は看護師です。それぞれの人の未来ために病院内で頑張っています。
私は何を目的に生きればいいのでしょうか。妹が人生の全てだった。事あるごとに妹のことを考えて、どんなに忙しくても何かあれば全て捨てて駆け寄ってきた。生まれつき身体が弱く、お見舞いも最近は週にく4回と多く通っていたが妹に会える時が1番幸せな時間だった。でも、そんな日は昨日で失われた。私にとっての生きがいを失いました。
妹の遺書には跡追いだけはしないでって書いてあったな。でもお姉ちゃんは無理だよ…。死にたい…死にたいよ…。辛い死に方ランキングで病気で死ぬのは何位だろう。できないことが増えていって自尊心を失いながら死ぬから病気で死ぬのが1番辛い死に方なんじゃないか。
あぁ、どちらにしろ死ぬのは本人も私も悲しいな…。
カランカラン
ちょうど学校に行く電車が来た。妹には悪いけどこの電車で死のう…。妹のいない世界は生きる価値がない。私の足は一歩…また一歩と前に出ていた。
あと2歩で線路に飛び出すところで周囲がざわついた。
「何?」と周りを見ると1人の少女が線路に飛び出そうと走ってきていた。
私が死ぬ側なのにと思い、咄嗟にその子を抱き抱えるように捕まえて反対ホームに向かって飛び込んだ。着地面が砂利だったので痛かったが棘のある石に当たらなかったために軽傷で済んだ。
抱きかかえていた少女は泣き続けていたが
私の目を睨むように目を合わせてきた。
私もつられて目を合わせると泣きながら
「何で殺させてくれなかったの?」
と気持ちをぶつけてきた。
「私が死のうとしたのに何で死のうとしてるの?」
と、私も気持ちをぶつけてみた。
言い合いをしている時間は一瞬だったが体感的には2分くらい言い合った気がした。
「ちょっと君たち何してるの。早く上がってきなさい。」
と、駅員さんに怒られてしまった。
この子がいなければ私は死んでいたと思い、もう怒られるのが嫌だった私はちょうど通過する貨物列車に乗り移った。減速をしていたので簡単に飛び乗ることができたが、助けた子も飛び乗ってしまった。
「え?」
「何で助けたの⁇」
ここまできてしまったから正直に答えることにした。
「あなたには生きる価値があると思ったからだよ。私は罪を犯した。生きてる価値がない…でも、あなたは不慮の事故で騒動を起こしてしまっただけ。あなたが死ぬにはまだ早い。しかも不慮の事故もマンションの一階で買ったばかりの電化製品が不良品で会社が放送する前に爆発が起きて火災を招いてしまっただけで、その会社が全ての責任を取るって言って損害賠償をはらってたからあなたには何の罪もないよ。」
「でも、私が多くの人をの家(財産)を壊した事実は変わらないよ。どんな理由だったしても私が電化製品を使って多くの人を困らせた事実は変わらない。私を死なせて…殺してよ…。」
私は、この死にたがってる子を私の妹と重ねて考えてしまいこの子を利用して私の罪滅ぼしをしたいと思った。この子を正しい道に戻すことができたら神も私の死を許してくれるだろう。
最悪な考え方だと後で思ったが体力や意思の極限状態になったらロクな考え方ができないとテレビや雑誌で言ってたが実際何も考えられなくなって自分だけの特のあるような考え方になるなと実感した。けれど、それが私を構築する本心そのものだと思っているので自身の性格の悪さを思い知った。
「私を殺して。」
と、目を充血させ泣いた表情で私に頼んできた。
親が看護師だった事もあり、この質問に対しての返答方法を知っていたが私は彼女に対して、「大丈夫」と声をかけ両手を広げて優しくハグをした。貨物列車だったので激しい揺れに逆らいながらハグし続けることは困難だったが次の言葉があるまで我慢をしようと揺れに逆らい続けた。
「あなたは私の家族じゃないのに、なんでこんなことをするの?あなたは私の事情を何も知らないくせに。何で助けたの?」
嘘をついてもすぐにバレてしまうと考えた私は正直に答えることにした。
「自殺をしようとした私だけど、私の妹が病気のため昨日死んだ。だから罪滅ぼしじゃないけどあなたを助けたかった。」
「それだけの理由で…私が…私が死ぬ決意をした日に限って…。どう責任をとってくれるの?」
ガタン‼︎
と、名前も分からない女の子が私に怒りをぶつけている時に聞こえるはずのない音が聞こえた。
不穏な音が聞こえたことにより彼女も冷静になり泣いた顔で私に向かって「一度確認だけします?」
と、聞いて来た。
人間はどんなに感情的になっても予想外の出来事があると冷静になるのだと思った。私も同意をして一緒に不穏な音が聞こえた方に向かってみた。
不穏な音の方に向かうとそこには深く傷を負った少女が必死に貨物列車の荷台に捕まり揺れに耐えていた。見かけた私たちはすぐに彼女の腕を掴み室内に入れてあげた。
2人揃って大丈夫⁇と声をかけて安全の確認をしたが返答がなく意識を失ってしまった。
もう、仕方がないと私は捨てきれなかった緊急用手術セットをバックから取り出して準備を進めた。
「え?…あなた医者だったの?…もしかして、妹の手術をして……迂闊に過去を聞いて本当にごめんなさい。」
「そんなこと今はどうでもいいから、この子をまず救うよ。」
それだけを言って私は持っている中で最低限の感染対策をして彼女に対して真っ直ぐに向き合った。出血の原因は銃撃戦を行なったのか、大腿部の一点から大量の出血をしていた。
「どうすれば良い⁇」
私1人だけだったら無理だと思うが一緒に死のうと考えを持つ彼女がいるので助けたいと思った。そう思った時に丁度貨物列車が駅に停車した。
「停車時間は9分、この子に傷を負わせた原因の弾丸だけとるよ。緊急用のセットだから1つ1つの道具に名前が書いてあるはずだから、私が指示した道具を頂戴。」
「分かった。素早く間違えないように渡すね。」
「注射箱の中に1って書いてある注射器を頂戴。」
「どうぞ」
「ありがとう。」
……
「次に縫合セットの5番を頂戴。最後にアルコールをそこに置いておいて。感染対策が凄く心配だけど、緊急処置としてはこれが限界か…。」
「この子を救える⁇」
「私の命に変えても救ってみせる。」
そのあと、9分という短い時間で無事に有言実行してみせた。感染対策も心配なく終えることができただろう…。しかし、同時に妹を救うことができなかったという現実が頭をよぎりメスを置いた瞬間に涙が溢れてしまった。
「大丈夫⁇」
と、手伝いをしてくれた女の子が優しく頭を撫でて慰めてくれた。
我慢をしてきたが、我慢をしようとすればするほど涙が止まらず女の子の胸で泣き崩れてしまった。頭を優しく撫でてくれたが、それが私の涙を止めさせてくれなかった。高校生にもなって大泣きするのは恥ずかしかった。しかし、女の子は私が泣いてる最中に
「よしよし…よく自分の感情に負けずに最後までよく頑張ったね。」
「よく今まで、泣かずに頑張ってきたね。私だったらその場で心中をしていたと思う…。私は君に会えて嬉しいよ。ありがとう…。」
と、優しい言葉をかけてきて泣かずにはいられなかった。
意図的に泣いてるわけではないので、泣き止むまでに15分もかかってしまった。
「狸寝入りしてくれてありがとう。」
「いや…助けてくれてありがとう。驚かせると申し訳ないから先に自己紹介するね。名前は言えないけど、私の家系は一つの組で昨日の会合で罠にハマって私が誘拐されてしまって…、頑張って逃げてたんだけど、銃弾をくらっちゃって…急いで追っ手を巻いて気づかれないようにこの列車に乗ったんだ。」
「だから洋服に銃らしきものが装備されているんだね。」
「でも、渡すものは渡して取引物の存在してはいけない技術の成功例が載ったUSBメモリを好感して逃げてきたんだよ。」
「本物は持ってこないはずなのに取引きする人のミスで本物を持ってきてて、交換したんだよ。」
「そうしたら、取引先のボスがサンプルを持ってきて本物を持ってきてた人を眠らせてしまったんだよ。その後に銃口をこっちに向けてきて急いでその場から逃げたね。」
「本当に怖かったよ。惜しくも銃弾一発当たっちゃったけど、貨物列車が通ってくれて本当に助かったよ。助けてくれてありがとう。」
「そこまで教えてくれたら私たちも言わない訳にはいかないね。」
「私と彼女は一緒に飛び降り自殺をしようとした仲間⁇で、私たちは本当だったら駅員さんに捕まって多分…自殺をしようとしたから病院行きかな?本当だったら。」
「だから、私にも彼女にも名前はないんだ。一度死を決めた人間に名前は必要ないからね。」
「そう、私が先に死のうとしたら阻止をしてきたのが彼女だよ。1人で死ぬはずだったのに…。だから私も名前を捨てた人間だよ。」
「でも、生きていたおかげで私たちは縁あって会えたから私は嬉しいよ。」
「こんな場所でだけど、会えたことに乾杯しようよ。貨物列車だから酒樽があると思う。」
……
「あった…。」
「では、会えたことに乾杯。」
『『乾杯〜。』』
私たちは未成年だが、流れと勢いで渡されたお酒を飲んでしまった。
「よし、お酒を飲んだな。私が次期当主だから契りを交わせて嬉しいよ。」
「次期当主からの命令だ。絶対に死ぬなよ。」
「死ぬことは私が許さない。」
私たちは誰かに死なないで。と言われたかっただけなのかもしれない…。普通に暮らしてる人からすれば何を言ってるんだ。となるかもしれない。でも、その言葉がどんな慰めの言葉よりも嬉しい言葉だった。
私たち2人は駅で降りずに減速したタイミングで飛び降り、ボスの娘と名乗る女の子に付いて行った。
招かれた家は普通の家だった。 ボスの娘っていうのは嘘だったのか…。と思いながら玄関に入ると地下に続く階段があり、地下シェルターに案内された。地下シェルターの扉を開けると地下とは思えないほどの広さの空間があり、部屋が2つに会議をするようなスペースがあった。
会議のスペースには種類は分からないが武器が用意されていて、娘奪還作戦と書かれていた旗があった。ボスの娘と名乗る女の子は部屋の中央にある受話器を取り「ヒトフタマルマルに会議室に集合。」
と暗号を唱えて受話器を置いた。
受話器を置くと、私たちに2つの部屋のうち1つの部屋を紹介してくれて私たちにその部屋をくれた。
死ぬ気でいた私たちはあまりの急な展開に混乱をした。名前を捨て、家族や友達を捨て必死の覚悟で死を決めて実行したら自殺をしようとした女の子を助け、途中で会ったボスの娘さんを助けて最悪なことにボスの次期当主と盃を交わしてしまい、自ら死ぬことを禁止されてしまった。
たった1日で終わるはずだった私の人生は変わってしまった。今となってはこれからの人生は日常生活を送ってるだけでは起こりえないことが起こるのかと思うと楽しみという前向きな感情でいっぱいであった。自殺をしようとした私だが、死なずに生きていれば縁があり、生きがいを見つけることができることもあると伝えたい。
私の母は看護師であり、この道に進んだと知ったら絶望し幻滅し私のことを許すことはないだろう。だが、せっかく出会えた縁だからここまで連れてきてくれた彼女に全てを尽くそうと思った。
何時に集まればいいのかわからなかったからその場に謎の呪文の時間まで2人で待った。
「私たちどうなるんだろ…。」や「ヒトフタマルマルってなんだろう…。」など、不安な気持ちを言い合い、和らげていた。
2人で話し合っていると急にシェルターの音が鳴り、扉が開いた。すると、1人の私たちと同じくらいの若い女性が武器を片手に走ってきた。
なんだなんだ。と思っていると
「誰だ。お前たち2人で私のペアを殺したのか…。」
と言って、武器をむけてきた。
「え?あの?」
2人で恐怖してると、違うシェルターが開き、さっきのボスの娘と名乗った女の子が入ってきた。
「チョコ待って。その人は命の恩人だよ。説明するから時間まで待って。」
と、説明をしたら素直に静かになった。
「(トキ)が無事で良かった…。」
と一言いうと待機する姿勢になった。
その後30分くらい経つと50人くらいの怖い人が入ってきた。整列をすると、中央に道ができて1人の男性が歩いて上段に上がった。
「(トキ)よ。例の物を前に。」
「ボスの娘は私たちに見せた取引物をボスに渡した。
「よくやった。よく…よく生き延びた。生きてくれて嬉しい…嬉しいよ。」
「ボス…ただいま。」
私たち2人は無関係の人だけど無意識に手を握り涙を流した。
ボスは私たちの方を向き「これは存在してはいけない物だ。」と言ってUSBメモリを壊した。
「これで、私たちの部隊も解散だな。今までご苦労だった。ありがとう。」
そう言うと互いに握手してお疲れ様でした。と言い合い解散してしまった。
事情を何も知らない私たちは当然だが、トキと名乗る女の子も放心状態だった。そう、実際はこの集まりは1つの事件の為に集められた警察の組織部隊だったのだ。
「ボス…私…。」
「すまない…。君に物心がつく頃にトキのお母さんとお父さんは宇宙計画の抽選に当選し育てることが難しくなってしまったんだ。だから友達である警察の私が預かることになったんだが、私も丁度この任務が始まってしまってトキと仮の名前を付けて一緒にいてもらったんだ。本当に巻き込んでしまって申し訳ない。」
「でも、ここまで立派に育ってくれた。丁度、部隊も解散したから学校に行って普通の学生になりなさい。計算で行くと大学生になって卒業をする年にトキの両親が帰ってくる予定なんだ。なりたい職業に就いていることを望むよ。って両親は言ってたよ。」
「だから、私たちの関係はこれで終わりだ。これ以上トキを危険に晒すわけにはいかない。警察として、代理の父親としての望みだ。トキのために一等地のマンションも買って衣食住も用意してメイドが一人いてなんでも教えてくれるからその人を頼りなさい。」
「これで、さようならだ。」
一方的に言われ何も言い返すことができずに家を出されてしまった。(トキ)は泣き続け、私たちは何も理解できないまま外に出されてしまった。3人で固まっているとトキとペアであった子が
「今まで、ありがとう。」と言い誰かに電話をし家に戻ってしまった。その場に5分立ち止まっていると高級車が目の前に来た。運転席からはメイド服を着た少女が降りてきて声を大きくして
「さぁ、行きましょう。(トキ)様がなりたい職業の道、お二人の考える未来へ。」
と言って車に誘導されて出発をした。
一度死のうとした人生、私には生きている資格はないのかもしれない、名を捨てて、全てを捨てた。
しかし(トキ)のおかげで生き続けてよいと言ってくれた。助けた女の子からは慰めの言葉を貰った。
死んだら味わえないこの感情...大切にしたいと思った。そして、これからはじまる第二の人生、自らがやりたいことを見つけられるか分からないが一歩ずつ進み、決して諦めることはしないと心に誓った。