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ビーストライダー・マガネ【鋼】  作者: 時波彷徨
0章 ~悪夢からの始まり~
1/95

01

細かいことは気にせずに、スカッと楽しく、

少年漫画的なノリで、爽快なメカレースバトル小説を目指して描いております。

展開はべたべたに、設定的には、がばっと勢い重視でやっていますので、

エンターテイメントとして楽しんでいただけると幸いです。


 ルートが見えた!


 マガネは、体を大きく傾け、マシンをドリフトさせた。

 土煙を上げ、直線の細い道に差し掛かると、スロットルを全開にして後輪を加速させる。

 渓谷を乗り越え、前輪を上げたバイクが空に舞い上がり、くるりと回転した。そのままマガネのバイクは前後の二輪を収納すると、折りたたまれた関節機構を展開して四足形態へと姿を変えた。


 岩から岩へ飛び移るその姿はまるで獣のようだ。


「マガネ!こっちよ!」


 前方から声がかかると、巨大な樹木の枝に足をかけたマシンが、マガネに向かって手を伸ばしている。幼馴染のティナが駆るビーストマシンだ。


「ティナ!」


 大きな枝を蹴ると、マガネがマシンの手を伸ばし、アンカーワイヤーを撃ち放った。枝葉にワイヤーを巻き付けると、二足歩行形態に変化した二機は、木々の間をターザンのように飛び交っていく。振り子のように大きく円弧を描き、その反動を使って大きく跳ね上がった。


 ワイヤーを回収して、シンクロするかのように降下すると、折り重なる巨大な枝葉の道に降り立ち、マシン同士で手を取り合いながら滑るように疾駆していく。入り組んだ樹木の連なりを超えて、うっそうとした密林を超えると、二人のマシンは、切り立った崖の下へダイブして行った。


 二人の機体が奏でる華麗な空中軌道がスクリーンに大写しにされ、観客たちが、一斉に歓声を上げた。


 ここまでのルートでミスはない。ラップも好タイムが狙えるだろう。


 マガネとティナは互いにうなずき、二人同時に断崖の先からジャンプした。


 自分たちの前にレーサーはいない。後はゴールを目指すだけ!


 そう確信したマガネがマシンの起動を上げて加速して行くと、罵るような声が後ろから響いた。


「させるかよ!マガネ!」

 マガネのマシンに衝撃が走る!

 マガネに取りつき馬乗りになったマシン。そのコクピットから見下すように笑みを浮かべる。


「ビフ!」

 ことあるごとにマガネに突っかかる、いやな同級生!ビフ!


「インチキライダーの息子のくせに、いっちょまえのビーストライダーを気取んなよ!」

「なにを!」

 あがらうも、ねじ伏せられ、激しく地上をバウンドするマガネ。

 あんなに調子よく走っていたのに!早くコースに戻らないと!

 焦るマガネがスロットルを上げて加速しようとするも、泥に後輪が取られて前に進まない。マシンを立て直そうとするマガネ、しかし、ぬかるみが全身に絡みつき、どんどん身動きが取れなくなっていく。


 さっきまで歓声を上げていた観客たちがざわめきだし、ぼそぼそとお互いにひそめきあう。

「インチキライダー?」

「あの男の子が?」

「いかさまライダーの息子?」

「そんな子供が、ビーストライダーって?」

「じゃあ、このレースも?いかさま?」

 その声に翻弄され焦るマガネ。

 違う違う!俺は!ちゃんと走っていた!

「マガネぇ!おまえのパパはビートライドでいかさまをした、詐欺師ライダーだ」

 違う!違う!俺とパパは関係ない!

「詐欺師の息子はしょせん詐欺師!いかさまライダーだ!そんなお前が、ビーストライドになろうだなんて!許されるわけねえんだよ!」

 ぬかるみにはまるマガネの体。

「なにがマガネ!だ!お前なんか鉄くずだ!スクラップ野郎だよ!」

 冷たい観客の目と、見下すようなビフの笑いがマガネを心を突き刺していく。


 違うんだよ!俺は!俺は!


 もがくように暴れるマガネ。しかし、ぬかるんだ泥は、容赦なくマガネの体を飲み込んでいった。


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