18.お金
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ゲオルグ レベル9
剣士
魔法使い見習い
HP 40/40
MP 10/10
攻撃力 21 +16
防御力 12 +18
敏捷性 12
魔法力 8
魔法防御 4
装備
鋼の剣 攻撃力に+10 剣術+6
騎士の鎧 防御力に+10
騎士の籠手 防御力に+ 4
騎士の脛当て 防御力に+ 4
スキル
剣術 レベル3
魔法
風魔法 レベル2
スラッシュ
ウィンドバリア 魔法使用時 防御と魔法防御に+5
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ポール レベル6
剣士見習い
弓使い
HP 28/28
MP 8/ 8
攻撃力 12 + 9
防御力 9 +11
敏捷性 9
魔法力 4
魔法防御 4
装備
兵士の剣 攻撃力に+ 7 剣術+2
兵士の鎧 防御力に+ 7
兵士の籠手 防御力に+ 2
兵士の脛当て 防御力に+ 2
スキル
剣術 レベル2 補正 +2
弓術 レベル3 補正 +6
魔法
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ほうほう。なんか皆似たり寄ったりのレベルなんだね。ゲームみたいにそう簡単に上がらなそうだし、人だとあまり経験値入らないとは聞いていたけど・・あれだけ倒したお母さんでさえまだレベル1だもんなー。
そう考えるとエリアドルさんは化物の領域だよね。ゲオルグさんもエリアドルさん以外だと今まで会った中では最上位なんだよね。
「ポールさんは弓を使えばもっと強いんだよね?」
「そうですね・・・って、え!?どうして分かるんですか?」
「ん?見えるからだよ。ステータスが。」
ゲオルグさんが頷いて話を進める。
「その指輪の効果ですね?巫女様、私ら以外にはその話はせぬようお願いします。とても高価な物です、只でさえ狙われておりますのに。お気を付けください。」
そうなんだね。気を付けよう。
「・・・隊長がお待ちですよね?参りましょうか。」
ポールが先に階段を降りて行く。私もゲオルグさんに手を振って降りていく。ゲオルグさんも頭を下げてから手を振ってくれた。門から出るとお母さんが外で背伸びをしていた。何故だ?
「お母さん?何で私より先にここにいるの?」
お母さんはキョトンとしている。
「何でって、私はそのまま下に降りて行っただけよ?友紀が寄り道してたんじゃない?」
「そうか。中層に居たもんね。私。」
馬車の準備が整いサランがポールさんに指示を出している。
「さあ友紀様、めぐみ様乗って乗って。行くよー。」
ポールはもう御者として馬のすぐ後ろの席に座っている。私達も乗り込み馬車が走り出した。だだっ広い草原の真ん中に1本の砂利道の道路。遠くには木や林が見え牛みたいな動物を連れて草原を歩いている親子が見える。
風も心地いい。お母さんもずっと草原を眺めていた。
「友紀様は町に着いたら何を買う予定?」
突然サランが話しかけてくる。
「何を買う?って言われても・・・この世界の町自体が初めてだし。お金とかも持ってないし・・・。」
そうなのだ。お金が存在すのかさえ分からない。
「お金は大丈夫。エリアドル様から預かってる。」
「そうなの?じゃあお金を見せてよ。これで何が買えるとか?何も分かんないんだよ。私もお母さんも。」
サランは「そうだね。」と一言いい腰に付いた巾着袋から5つの硬貨を取り出した。
「えっとね、これが銅貨。これが2枚もあればパンが1つ食べれる・・かな。これが半銀貨。銅貨10枚でこれになるよ。これ2枚で朝ごはんは食堂で食べれる感じ・・・かな・・。」
酷く曖昧でわかりにくい。銅貨が10円で半銀貨が100円位なのか・・?。物価は50年くらい前の日本みたいに低いがそんな感じかな。
「それで半銀貨10枚で銀貨。これ1つで薬草が1つ買えちゃうね。」
「薬草ってこの干し肉みたいなの?」
サランはブンブン頭を振った。
「私は聞いただけだけど、その干し肉は最早エリクサーだよ。エリアドル様クラスになれば多めに食べないと全回復しないと思うけど・・MPまで回復するなんて聞いたことないよ。たぶん1欠片で手足も繋がるよ。」
「そんなに凄いの?私まだチョコボールとか缶詰もあるんだよ?」
「チョコボール?聞いたことないけどあっちの世界の食べ物は出来るだけ保管しておかないと。」
「でも干し肉と缶詰はいいとしてもチョコボールはカビが生えるじゃん?」
「それなら干し肉みたいに干せばいいんだよ。」
「いやいや。溶けるじゃん。」
「・・・・・・」
サランは面倒くさって顔をした。なんでだよ・・でも干し肉を口の中に入れてダメージを負った時に飲み込めば最強じゃない?成分だけでも回復するのかなー・・
「そうそう。それとね、この銀貨が10枚で金貨。そしてこれが10枚で白金貨だよ。」
銀貨が千円で金貨が1万円で白金貨が十万円ってことか・・。
「それでエリアドル様に預かったお金が白金貨10枚だから結構お買い物できるからね。」
サランは笑顔で告げた。
「100万円!?」
「違うよ。白金貨10枚だよ。友紀様覚えが悪いよねー。」
「ぐぬぬぬぬぬ・・・」
サランがケラケラ笑い、ポールさんが後ろを振り向きあたふたしている。お母さんは草原を眺めていた。馬車は小さな村を通り過ぎる。
「カ・・・カルナックの町が見えて来ましたよ。」
ポールさんが話しかけてきた。まだ笑っているサランを見てオドオドしている。私は立ち上がりポールさんの後ろに立った。右手に大きな森が見えてきてそのすぐ奥に町並みが見えてきた。町の中の高台に大きなレンガ作りの屋敷が目立つ。
町の入口の門に衛兵が2人立っていて商人と思しき人や牛車を引いている家族などが並んでいた。ポールさんはその列の後ろに並んで馬車を止めると馬車を降りて小走りで兵士の元に走り出した。
兵士と何やら話をしている様だったが直ぐに戻ってきた。
「隊長や巫女様、お母さまは先に降りて町をお楽しみ下さい。私は町の中に入って直ぐ西側の馬屋でお待ちしております。」
ポールは一礼して馬車の御者に乗り込んだ。
「じゃあよろしくねー。」
とサラン。
「ありがとうございます。お土産買ってきますね。」
お母さんがそう告げるとポールは嬉しそうに頭を下げた。私もポールさんに手を振るとポールさんもこちらを見ながら手を振ってくれた。
「お話は伺っています。どうぞお通り下さい。」
兵士達は一礼して道を開けた。その兵士たちにこっそりステータスを見せて貰う。二人ともレベルが3。町の中を覗きステータスを見て回る。町人も商人もみんなレベル1。モンスターを倒すとレベルが上がっていくはずなのに。
そういえばここまでの道のりに1度もモンスターと遭遇していない。RPGだったら普通何度も遭遇しているはず。ゲームと違ってこの世界は平和なのだ。これじゃあスタンピードが来るのに自衛すらも出来ないではないか。
「ねえサラン。モンスターは何処に発生するの?」
サランは首を傾げキョトンとする。
「ん?そうねー、深い森の中か、山の中とか、とにかく太陽を長期間遮るとこかなー。」
「そこ以外にはモンスターは出ないの?ここの兵士達もレベルが3とかなんだけど・・」
「うん。基本出ないかな。レベルは上げないといけないんだけどね。うちの塔の兵士達は定期的にここの森に足を運んでるんだけど、ここの兵士達はたまに溢れてきたモンスターを討伐するだけなんだよ。たぶん。」
突然溢れてきたモンスターを討伐する時にだって死人が大勢でるはずだ。だって弱いんだもの。モンスターを絡めない訓練ではレベルは上がらない。モンスターに襲われても負けて数を減らす。ゼストに敵対しても殺されるよ。みんな・・
「カルナック兄ちゃんと話をしないと。でもなんで?弱いと何も守れないよね?」
「うん。そこは最近私も思うんだよね。もっとみんな強くなればいいのにって。友紀様行くよー。」
サランは考えるのを止めて先に歩いて行った。