息子の抗議
いちゃつきすぎな夫婦が普段どんな感じか書こうとしたのですが……
息子が絡んできた。
「父上は母上にベタベタしすぎです!」
うちの息子は可愛い。
愛する妻が産んでくれたのだから当然だ。
今だって、なんか目の前でキャンキャン吠えてるけど、それもまた可愛い。
言ってることは、おかしいけどな。
「妻に触れて何が悪い」
「っ…節度というものがあるでしょうが!」
「節度…」
「そうです!」
胸を張る息子は、やはり可愛い。
割と俺似なのだが、ところどころミシュの面影もあって。
「夫婦といえども男女が、人前で触れ合うのはよくないと?」
「その通りです!」
「ふむ」
しばし考え込む。
なるほどな。息子はそういう考えなのか。
…しかしこの酒旨いな。
この前地方に行った時に特産だと勧められて買ったけど、度数は高いが飲みやすく、スルスルと飲めてしまう。「絶対合うから!」と店の人の勧めで買ったアテと一緒だと、無限にいけそうだ。
…何の話だったか。
「何でおまえここにいるんだ?」
キョトンとすると、息子は肩を怒らせて詰め寄ってきた。
「何ボケてるんですか!耄碌するには早すぎーーうわっ!?」
急にミシュに似た鼻筋が近づいてきたものだから、思わず手首を掴んで抱き寄せてしまった。
あー…この髪質、ミシュそっくりだな…
つい頬ずりする。
「ちょっ…何してるんですかっ…!」
腕の中で暴れているけれど、ミシュはたいてい俺のすることは大人しく受け入れるし、抵抗しても弱々しいから、こういうのはちょっと新鮮だ。
ついつい力を込めて抱きしめる。
「ミシュ……」
ミシュの抵抗が激しくなった。
だから更に腕に力を込める。
「ミシュ…暴れるな…」
なんだか酷いことをしたくなるだろう?
俺は君に拒まれるのは我慢ならない。
「君は、俺のものだ」
耳元にそっと囁くと、絶叫が返ってきた。
「正気に戻れ!このクソ親父!!!」
思いがけない乱暴な言葉に驚いて、腕の力が緩む。
その隙に、腕の中からスルリと温もりが逃げ出した。
「あ……」
名残惜しく思いながら目を開けると、肩で息をする息子がいた。
「あれ?なんでおまえがここにいるんだ?ミシュは?」
「最初っから僕しかいませんよ!この酔っ払い!!!」
何故か怒った様子の息子は、顔を真っ赤にして部屋を出て行ってしまった。ドアを思いきり音を立てて閉めて。
…やれやれ。後で言って聞かせないといけないな。物は大事に扱わなければ。
まあ、それは後でいいか…
とりあえず、目の前の旨い酒に再び手を伸ばした。
後日、息子が娘に真顔で吠えているのを目にした。
「姉上は、絶対に酔った父上に近づいたらダメですからね!」
何を言ってるんだかな?
リクエストがいくつか混ざってできた事故物件。




