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【完結】余りもの同士、仲よくしましょう  作者: オリハルコン陸
オマケ

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17/27

元婚約者と…(ジェイ視点)

本編の「順調」から「知らない一面」の間の出来事。


◇ ◇ ◇



貴族にとって、社交は非常に重要だ。

だから大きな夜会ともなれば多くの人間が集まる。その中には会いたくない相手もいる。

例えばそう、元婚約者とか…。



ある日の夜会で、遠目に見覚えのある姿に気づいた。相変わらず、不安になるほど細い女性。その隣に立つ派手な顔立ちの男。


いつかは会うことになるだろうと思ってはいたが、存外に早かったな。


ため息を吐いて隣を見ると、ミシュはまだ彼らには気づいていないようだった。


教えるべきか少し迷って、黙っておくことにした。別に会場にいる全員に挨拶をして回る訳でもないし、そもそも顔を合わせて嬉しい相手でもないだろう。


…本当の理由は、もし彼女が元婚約者の男に懐かしげな視線を向けたりしたら、今でも慕っているような素振りを見せたりしたら、とても耐えられそうになかったから。


彼女は…今日の夜会に彼らがいたことを後から知ったら、教えなかった俺を責めるだろうか…


重い気持ちでもう一度隣を見ると、ミシュは…彼らとは別方向に置いてあるケーキに気をとられていた。


夜会は社交が目的なので、食べ物にほとんど手をつけない人間も多い。軽くつまむくらいは構わないのだが、やはり色々と気を使う。


ミシュは、好物のピンクがかったフルーツとクリームが乗ったケーキにチラチラと視線をやりつつそわそわしていた。


「食べたいけど、でもタイミングが…」

そんな心の声が聞こえてきそうな様子に思わずクスリと笑うと、ミシュが俺を見上げて顔を赤くした。


「な、何かありましたか?」


「いや」


笑いをかみ殺す。

俺の婚約者が今日も可愛いだけだ。


そんな言葉は飲み込んで、甘いもの好きな婚約者の腰に手を添える。


「ミシュ、あそこに君の好きそうなケーキがある。食べないか?」


彼女の目が一気に輝いた。

「いいんですか!?」と言いそうな顔で、「はい」とだけ言って頷く彼女が可愛い。


「じゃあ行こう」


彼女の背中を押して、さりげなく元婚約者たちから遠ざける。


俺の婚約者は、元婚約者よりもケーキを取ったのだ。

今日のところは、そういうことにしてしまおう。



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