第六話
マチルダはそのまま放課後まで救護室にいて、荷物を取りに教室に戻ろうとベッドから体を起こした。すっと起き上がれたので、体に問題はなさそうだった。
起き上がると同時にコンコンと救護室の扉をノックする音がする。
救護室担当のエマ・キルヒナー先生が応答しようと立ち上がる。
「マチルダさん、ちょっと対応してきますね」
と言って、マチルダのそばを離れた。
しばらくしてエマ・キルヒナー先生とマチルダの荷物を持ったハンスがマチルダのベッドの前へやってきた。
「マチルダさん、ハンス君が荷物を持って来てくれましたよ」
そう言って、エマ・キルヒナー先生はマチルダにハンスが来たことを告げた。
「ハンス君、荷物、ありがとう」
「気にしなくていいよ。先生に頼まれたから……」
「ううん。今から教室に荷物を取りに戻ろうと思っていたから……」
そう言ってマチルダがベッドから立ち上がろうとしてふらついてしまう。咄嗟にハンスは支えようと腕を伸ばした。
「大丈夫か?」
「ありがとう。大丈夫よ」
そう言って微笑むマチルダにハンスも微笑み返す。
それを見たエマ・キルヒナー先生はこのまま寮へ戻すのは心配だったので、ハンスにマチルダのことを頼もうと思う。
「ハンス君、マチルダさんを寮まで送っていってあげてくれない?」
「はい。まだ体調が悪いようなので、寮まで送っていきますよ」
そう言って、ハンスはマチルダを確認するように見た。マチルダはお辞儀をする。
「ありがとうございます。大丈夫だと思うのですが、ふらつきがあるようなので助かります」
そう言って、ゆっくりと歩くマチルダに寄り添うようにハンスと竜のリラとブリュンはついて救護室を出て行った。
寮の建物は女子が少ないからか男女同じ建物で、女性用のフロアーの入り口の先は男子禁制のため結界が設置されていて、許可されたもの以外は入れないようになっている。
そんな寮の女性用のフロアーに二人と二匹は到着した。
マチルダは結界に入る前に振り返りハンスに礼を伝えた。
「リーベルト君、わざわざ送っていいただいてありがとうございました」
「いえいえ。あのままだと無事に寮まで帰れたのか心配になるから……」
そう言って、ハンスはマチルダに微笑みかける。そんなハンスにマチルダもつられる様に微笑みかけた。
そんな二人を見る竜のリラとブリュンはちょっとあきれたような顔をしていた。
『リラ様、二人ってばさっきから何度も見つめ合ってますねぇ』
『なんだか波長が合うのか……』
『ハンスがあんなに嬉しそうなの初めて見たかもしれません』
『マチルダも祖国で辛いことが多かったようだから』
二匹は二人が幸せそうでよかったなぁと思うのだった。




