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家族まで  作者: 長谷川ゆう
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渡す

姿が消えたのに、6日前までは存在していた夫と一卵性双生児の娘2人の存在が見えないのは、恐怖より不思議な違和感がサユコを支配していた。




娘の双子の妹のみゆの会社から娘はすでに、3ヶ月前に退社し、みゆの忘れた紙袋を取りに来て欲しいと言われて、サユコが開ける気にもならずに、放置された紙袋だけがリビングのテーブルの上にある。





それぞれの3人の席には、誰もいない。夫の席には羽織るための上着1枚、しっかり者の姉まゆの席は、きっちりテーブルにしまわれ、妹のみゆの席は少しだらしなく、みゆが席を立った横向きのままだ。


相変わらず、窓の外は梅雨の曇天が続く。



家の中では、冷蔵庫の稼働音と公道から聞こえる話し声しか聞こえない。



サユコは、紙袋を開けることにした。


みゆの会社の社長に取引先の人間ではない男性だと言われた男性と笑顔で映っている写真を取り出した。


みゆが、こんなに家で最後に笑ったのはいつだろう。実は最近、サユコは夫とは小さなケンカがたえなかった。



「二人とも大人なんだから、いい加減にしなよ」

とあきれてみゆが仲裁に入ってくれた。



紙袋の中には、会社で使っていたのかペンやノートなど、みゆの手がかりになりそうなものはない。



サユコが、紙袋だけをたたみ捨てようとした時だった。



カチャンと床に何かが落ちた。


シルバーのどこかの家の鍵だ。手にとると小さな車のキーホルダーがついていた。



鍵には見覚えがないが、車のキーホルダーには見覚えがあった。自宅から数分歩いた場所にある家族経営の小さな車工場で手作りで販売している。



何でこんな物を近所付き合いもしていない、みゆが持っているのかサユコは混乱した。



その時、静かな家に電話が鳴り響いた。






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