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家族まで  作者: 長谷川ゆう
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消える

朝、起きたら夫と双子の娘二人が消えていた。



早朝5時45分、 55歳の山田サユコは誰もいないリビングを呆然と見つめる。



「あなた?みゆ?まゆ?どこ?」

当たり前の言葉が、当たり前に口からこぼれた。


毎朝、リビングのテーブルでコーヒーを飲む同じ年の夫、(まこと)、朝からバタバタ出社の支度をして、走りまわってる社会人の一卵性双生児の双子の娘のみゆとまゆが、一人もいないのだ。



朝食を作るために台所に降りたが、物音一つしないので不気味さを感じたが、出勤を早めたのかと思い込もうとしていたが、家族一人いない。



サユコは、とりあえず手に持っていたスマホで夫の携帯を鳴らしてみたが、どんなに聞き耳をたてても着信音は、ならない。


娘2人の携帯も同じく鳴らず、サユコは焦りだした。



何度か3人の携帯を鳴らしても、「この番号は現在使われておりません」と言う女性の機械音しかサユコに伝えてこない。



「嘘でしょ」

思わずサユコの口から言葉がこぼれては、誰もいない静まりかえったリビングに消えていく。



昨日の夜、夫の真は10時に帰宅してサユコが作った肉じゃがやさばの味噌煮の夕食をたいらげ、夜11時30分には読者の趣味を持つ真は、書斎に入ったのを最後に見た。



双子の娘の姉のみゆは、非正規で働いている会社から9時に帰宅後に夕食は外で食べてきたと言って、風呂に入った後すぐに自室に入った。



妹のまゆは、自宅から徒歩30分の小さな社員5人の会社で正社員として働いていて、友人達と夕食を食べるから遅くなるから、先に眠っていてと短いLINEがきたので、昨日の朝から見ていない。



サユコは、呆然と静かなリビングを見た後に、気持ちを落ち着けるために、いつものように夫と娘達のお弁当を作り出した。



誰もいない、家にリズミカルに包丁の音だけが響いた。







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