プリークネスの森の戦い 2
アリスティディス王国北側の山脈を飛翔する3つの物体があった。
その物体は、白銀の体に2つの翼を持ち、装飾はなく、スッキリとした形状をしていた。人々は、そのモノを天使と呼んだ。
天使達は、山脈を迂回しつつ南下をしていた。
「ランニング、結界に近づきすぎだぞ!もっと離れろ!」
「忌々しい結界だなっと。」
「いちいち、回り込まないとならないと面倒くさいですね。」
「魔族共は、なんでこんな所をうろついてるんだなっと。」
「おそらく、ドラゴニアを狙っているんだろーよ。」
すると、ファンファンと警戒音が鳴り始めた。
「ステイジー隊長!魔族の反応来ました。」
「分かってる、位置の特定をしろ!」
「了解です。・・・・・ドラゴニア南に広がる森周辺です。」
「来た来た来たっと!もっと詳しい位置情報くれっと。」
「ここからでは、これ以上は無理です、もっと近づかないと・・・」
「警戒態勢取りつつ近づくぞ!」
3人は、更に南下しプリークネスの森を目視できる位置までやってきた。
「隊長!魔族の反応とは別に人間の反応を複数確認・・・・その数30.」
「魔族の他に人間も居るのかよっと。」(これは、面白くなってきたなっと。)
「肝心な魔族の反応は、どうなっている!」
「それが、反応はあるんですが・・・特定が出来ないんです。」
「チッ!隠れ潜んでるか・・・反応はするが、特定することができないって訳か。」
「隊長、どうしますか?」
「特定が出来ない以上これ以上の接近は、危険かもしれんな・・・しかし・・・魔族は確認しときたいが・・・・・」
「どうでしょうっと、俺が威力偵察に行ってきますよっと。」
「威力偵察?」
「あの人間共を襲撃してきますよっと、そうすれば、潜んでる魔族を炙り出せるかもしれませんよっと。」
「それだったら、私が行きます!」
「プライム、おめぇは、索敵だけしてろよっと。」(こんなおいしい役、譲れるかよっと。)
「・・・・いや、ここは、様子見だ。しばらく待機する。何らかの動きが無ければ、そのまま帰還する!」
(何言ってるんだよっと、こんなチャンス逃してたまるかよっと。)
「了解です。」 「了解っと。」
(やったもの勝ちだよっと、徐々に高度を落としてっと、頃合いをみてアタックっと!)
天使達は、遥か上空、プリークネスの森を視界に収められる位置に待機した。しばらくすると、一番後ろに位置した天使が高度を落とし始めた。
「ランニングさん!高度が下がってますよ!!早く戻りな・・・」
そう声を掛けようとした瞬間、高度を一気に下げ、プリークネスの森に一直線に向かった。
「ヒャホォォォイっと!!威力偵察にいってきまーすっと!」
「ちょ!待ちなさい!!私、追います!」
天使の一体が追おうとした天使を制止した。
「待て!プライム。我々は、待機だ!」
「あんな勝手を許して良いんですか!」
「構わん行かせてやれ・・・・まぁ、これで魔族の出方が分かるやもしれん。」
「しかし、隊長・・・もし、強力な魔族が潜んでいたら、只じゃすみませんよ。」
「それはそれでしょうがない、技術班には悪いがな・・・魔族の発見を優先する。それに魔族が出てくるとは限らないからな。」
(それって、捨て駒って事よね。ランニングさん・・かわいそプークスクス)
プリークネスの森へと高速で向かう天使。
「およっと、追って来ないし、通信も来ないっと。・・・これは、お許しが出たって事で良いのかなっと。」(誰が出世をあきらめてるって、俺は、いずれ主に取って代わるモノだよっと。その為に実績を重ねるんだよっと。それにこの新型の性能テストにも、もってこいてなもんよっと。)
「見えたっと!人間共、じっくりといたぶってやるっと!」
天使がプリークネスの森へと舞い降りるのだった。