アーネストリー探検記 17
辰ノ月 3日
今日と言う日がやって来た。セブンスベルとの再戦の日。
僕の手は完治した。万全である。
前回の対戦では、辛くも僕が勝利したが相手もまだ奥の手を隠し持っていそうだった。心してかかることにした。
闘技場は、満員御礼。熱気もヤバかった。
相手のセブンスベルの気合の入った表情は凄まじいものだった。
僕は、何時も通り短剣一本を携え決闘に望んだ。
戦いが始まるとセブンスベルは、5本の剣を宙に浮かせ、両手にも剣が握られていた。
正直、肝が冷えた。
流石の僕も7本の剣劇を防ぎきる自身は無かった。
そこで、僕のとった戦略は、先制の一撃必殺の大技だった。
これ以外では勝てなかっただろう。
相手が剣劇を繰り出す前に僕の唯一の遠距離剣技、斬波列空剣を放った。
相手は飛び道具はないと思っていたのであろう。虚を衝くことができた。
セブンスベルは、何もできず倒れた。
闘技場は、怒号の嵐だ。
暫く、歓声は止むことはなかった。
その歓声を沈めたのはマリアベルだった。
マリアベルが観客に一喝すると、僕の勝ちを宣言した。
すると、マリアベルが今度は自分が相手をすると言い出したのだ。
しかし、僕は、丁重にお断りした。
マリアベルは、冗談だと笑っていた。
伝説記第56篇 『魔族マリアベル』題材。