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all breaker  作者: paruseito
第Ⅱ章-Ⅳ バンセンヌ編
182/280

おけら

 ブライアン商会本部前で呆けているシフォンたちがいた。

 とある人物を捜すよりも、ひょっこり現れるのを待った方が得策だと判断したからだ。


 「やっぱり、捜しに行った方が・・・」

 「当てもなく捜すよりマシだと思うけど・・・疲れるし。」

 「ワタシニ、イイカンガエガアリマース・・・シフォンサンガ・・・・・・

  タスケテージェイチャンサン!ッテイエバ、キットキマース。」

 「絶対に嫌です。」

 「オウ・・・イイカンガエダト、オモイマスノニ・・・」


 「その、ジェイちゃんさんって人が会長さんと知り合いなのですぅ?」

 スキャットは、屈託なく聞いてくる。

 「その可能性がある・・・らしいです。」

 「どんな人なのですぅ?」


 「・・・ふざけた人。」

 「わけがわからない人。」

 「オチャメナヒトデース。」

 「ノーコメントだね~。」

 「発言も行動もアレだな・・・」

 「私は、会ったばかりなので何とも・・・」


 「う~ん・・・おバカな人なのですぅ?」

 「それだ!」


 その様子を見ている男がいた。

 「おバカじゃないよ。アホだから。」


 何時の間にかにジェイドは、シフォンの横に立っていた。

 「やあ。」

 「ビックリさせないで下さい。」

 「この人がジェイちゃんさんなのですぅ?」


 ジェイドは、見慣れぬ少女をマジマジと見た。

 「この可愛い生物はなんぞ?」

 「スキャットですぅ。」


 「君たち・・・幼女を拉致るなんて・・・いけないなぁ・・・」


 「わたしたちが、そんなことしませんから!」

 「私は、18歳なのですぅ。」

 ジェイドは、スキャットとシフォンを交互に見比べている。


 「嘘だ!」


 「嘘じゃないですぅ。」

 スキャットは、大きく手を広げ本当だとアピールしている。


 「もう、その辺で、本題に移りません?」

 「本題?」


 「あなた・・・ブライアン商会の会長と知り合い?」

 「なんだ、いきなり。」

 「いいから、答えて下さい。」

 ジェイドは、なにやら悪い顔をしている。

 「さて、どうだったかな・・・」

 明らかにとぼけている。

 シフォンの表情が険しくなる。


 「知り合いじゃないのですぅ?」

 スキャットが可愛く聞く。

 「うん、うん。知り合いだよ。」

 ジェイドは、スキャットの頭を撫でている。


 この男は・・・

 シフォンは、憤慨している。

 まあ、まあ、となだめる様にコリーダが割って入る。


 「ならば、話しが早いですわね。会長と会えるよう話しをして貰えませんか?」

 「なんで?」

 コリーダが気を利かせて説明する。シフォンが話せば、話しが進まないと思ったからだ。





 「そこは、自分たちの力でなんとかすべきだね。」

 「言いたいことは、わかりますが・・・少しは融通を利かしてくれても・・・」

 「そんなこと言われてもねぇ。」


 「会長さんに会いたいですぅ。」

 スキャットが可愛くおねだりする。


「うん、うん。会いたいか~。仕方ないなぁ・・・」

 スキャットの頭を撫で撫でしている。


 この男は・・・

 コリーダが憤慨した。


 ともあれ、もう一度、ブライアン商会に乗り込むシフォンたち。

 事務所に入ると男が又かと言う表情で出迎えたのだが・・・


 「よお!ブゥちゃん居る?」

 「あ、あんたは・・・」

 男は、奥に居るだろうヤシマを呼びに行った。


 ヤシマが訝し気にやって来る。

 「どの様な御用件でしょうか?」

 「ブゥちゃんに会いに来たんだけど?」

 「はあ・・・あなたはどなたですか?」

 ヤシマは、棒読みだ。


 「私の名前はジェイド=オージェン。享年24歳。・・・残念ながら既婚だ!!でも嫁はまだいない。」

 お決まりの自己紹介をしている。


 「はい、はい。会長は自宅です。勝手に行って下さい。」

 「つれないなぁ・・・第一秘書様は・・・」

 「こちらは、忙しいのです。」

 ヤシマは、シフォンたちを見ると。

 「その方々は、あなたの知り合いだったのですか・・・だったら、最初に言ってくれれば良かったのに・・・」


 「はわわわ・・・おじさんは、顔パスなのですぅ。」

 「おじさんは、やめよーね。」

 スキャットの頭をワシワシする。スキャットの髪は、ボサボサだ。

 「やめるのですぅ。」


 「私は、仕事がありますのでこれで・・・くれぐれも変なことをしないで下さいねオージェンさん。」

 ヤシマは、一言、釘を刺し仕事に戻って行った。


 「では、私たちも行きましょう。」

 「はい。なのですぅ。」

 シフォンたちは、ブライアン会長の自宅へと向かうことになる。


 「ちょっと、気になることがあるんだけど~。」

 リチャードは、ジェイドに疑問を投げかける。


 「アーリントンに行ったと言うなら、君もアーリントン成金ミリオンなんだろ~。」

 「お金持ちには見えないのですぅ。」

 「そう言えばそうね。」


 「何々、気になる?気になる?」


 「どうせ、ろくなことに使ってないのでしょうね。」


 「フフフのフ・・・時代は投資だよ。投資。」

 「あら、意外にまとも・・・で、何に投資したのですか?」


 「馬。」


 「はい?今、なんて言いました?」

 「だから、お馬さん。」

 「・・・ちなみに聞きますけど、どう投資したのですか?」


 「勿論、突っ込んだ。」


 「・・・何に・・・」

 「だから、お馬さん。」

 「投資したお金はどうなりました?」


 「綺麗さっぱり、無くなった。」


 えへんと自慢げに話すジェイドを白い眼で見る一同。


 「全部ですか?」

 「もち、全額。」

 シフォンたちは、頭を抱えた。


 「私、わからないですぅ。お馬さんで、なんでお金が無くなるのですぅ?」

 「ルランツやヴィクトリアでは、競馬が盛んなんだよ~~。」

 「けいば?」

 「ギャンブルさ~。」

 「賭け事はいけないですぅ。」


 「スキャットちゃん。ダメな大人の見本ですよ。真似してはいけませんよ。」

 「マネなんかしないですぅ。」


 「君たち・・・視線が冷たいんだけど・・・」


 「さあ、早く行きましょう。」

 「早く、案内して下さい。」


 シフォンたちは、ジェイドを軽蔑しつつ会長宅へと向かうのだった。

 金は命より重いそうだから仕方ないね。


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