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all breaker  作者: paruseito
第Ⅱ章-Ⅳ バンセンヌ編
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ヨシュア

 ランニング、自分に起きたことを語る。


 ランニングは拘束されミカエル様の前に連れて行かれた。

 「放せっと!俺は負けたわけじゃねえっと!」

 ミカエルは、蔑むようにランニングを見下ろしている。


 「これは、再教育が必要ですね。」

 「なにが、再教育だ。俺には必要ないぞっと。」

 「はあ・・・口の利き方もなってないですね。」

 「うるせえなっと!」


 「貴様、ミカエル様に対して失礼だぞ!黙れ!!」

 側近たちにランニングの顔が床に押し付けられる。

 「性格にも大分、問題がありますね。」

 「なにが問題だなっと。」

 「こいつ、全く反省がない。」

 「仕方ありませんね。君には最高レベルの再教育を施しましょう。」

 「そんなの俺に必要ねえっと。」


 側近は、ランニングに注射器を押し当て、薬剤を投与する。

 「やめ・・・ろ・・・」

 ガクッとランニングの頭が項垂れる。

 「次に目覚めた時は、綺麗な神族となるでしょう。」

 ミカエルは、微笑を浮かべていた。


 ランニングは、カプセルの様な装置に押し込められ、頭には覆うように機械が設置されていた。

 「やれ!」

 装置が起動すると、ランニングは電撃を受けたように身体がブルブルと震える。

 ランニングのうめき声をあげる。

 「ぐぎゃああぁぁぁぁぁ・・・・・・」

 その衝撃でランニングは、目を覚ます。

 「うわあああぁぁぁ・・・」な、なにが起こってるんだっと・・・


 「ほう、目を覚ましてしまいましたか・・・寝ていれば、楽だったものを・・・」


 ランニングの意識が薄らいでいく、そしてランニングの中の何かが消えてゆく。


 あああああ・・・・・・俺が・・・俺が・・・消えて行くっと・・・あああああ・・・


 ランニングは、薄れゆく意識の中で必死に足掻いた。

 「やめ・・・ろ・・・お、俺は・・・俺だ・・・・・・・・・っと・・・」

 ランニングの自我が消えつつあり、新たな意識情報が頭の中に・・・

 元の意識は消える寸前、ランニングの精神世界に奇妙な扉があり、それに手を伸ばした。

 意識が消えると同時に、その扉が開かれる。

 ミカエルが用意した意識情報とは別に、膨大な情報が流れ込んでくる。

 ランニング、尋常じゃないほどの悲鳴を上げた。

 「あががががが・・・・・・」

 口から泡を吹きだす。

 「おい、こいつ大丈夫か?」

 「ただの拒絶反応です。構いません続けなさい。」

 ミカエルの言葉でそのまま装置にかけられ続けた。

 ランニングは、完全に動きを停止した。

 「死にましたか?」

 「死んではいませんが、かなり脳にダメージが入ったかと。」

 「使い物になりそうですか?」

 「難しいかと・・・」

 「仕方ありません、廃棄処分しておいて下さい。」

 「しかしながら、この者の所属はまだ、ガブリエル様のところに・・・勝手に処分すると問題に・・・」

 「でしたら、そのままガブリエルのとこにお返しなさい。拒絶反応のことを説明してね。」


 ランニングは、精神世界を彷徨っていた。

 そこで、一人の神族らしき人物・・・否、情報に出会う。

 ランニングは知らず知らず平伏していた。


 「ランニングだね。」

 「あなたは?」

 「僕は、【ヨシュア】・・・最初の【ヨシュア】。」

 「ヨシュア・・・」

 「君は、僕の情報とリンクすることができた。」

 「あなたの記憶と?あなたはいったい・・・」

 「そうだね、僕は今の主の先祖と言ったらいいかな。それは正確ではないけどね。そう思ってくれたまえ。」

 「そんな方が何故、私の前に・・・」

 「どうやら君は矯正装置にかけられたみたいだね。その弾みで僕の情報と接続されたようだね。こんなケースは初めてだよ。僕の情報と接続できる者は、生まれながらにして身につけているからね。」

 「何が何だかわからない・・・」

 「いきなりだからしょうがないね。でも、これだけは覚えといて・・・君は主になる資格を得た。何故なら僕の情報を自由に閲覧できるようになったからね。」

 「私が主になれると?」

 「資格を得ただけさ。本気でなるなら、ライバルを蹴落とさないとね。」

 「主になることは、魅力的だが・・・ライバルが強すぎる・・・」

 「こんなイレギュラーな形で僕と接続できるようになるなんて・・・気にいったよ。もし、君が本気で主を目指すなら、僕が力添えしようじゃないか。」

 「私にですか・・・」

 「君が嫌ならしないけど。」

 「あなたの狙いがわかりません・・・そんなことをして、あなたにどんなメリットがあるのですか?」

 「メリットなんてないよ。さっき、気にいったって言ったでしょ。ただそれだけ。」


 この話しを安易に信じていいのか・・・


 「僕は、ただの情報だよ。裏があるわけないよ。」


 尚更、怪しい・・・


 「しょうがないなぁ・・・僕が嫌なら、ガブリエルに協力させるよ。」

 「ガブリエル様が協力・・・まさか、そんなことは・・・」

 「僕が言えば一発さ。」

 この誘いに乗るべきか・・・怪しいが、こんなチャンスは早々ないだろう・・・

 騙されたつもりで、乗ってみるか。

 「わかりました。どうか御助力お願い致します。」

 「よし、決まりだね。じゃあ、君に彼の情報を提供しよう。」

 「彼?」

 「君たちには、こう言った方が早いか・・・」


 【神殺し】ゴットイーター


 「僕の友人だった男さ。」

 かつて敵対する神族を【神殺し】ゴットイーターに葬らせたと言うのは、真実だったか・・・

 「もしかしたら、彼が協力してくれるかもよ。まあ、話しぐらいは聞いてくれるさ。」


 「【神殺し】ゴットイーターがこの世界に存在していることですか・・・」

 「うん。そうだよ。僕は、居場所を知らないけど、ミカエルは知っているみたいだね。」

 「それでは、ミカエル様が既に【神殺し】ゴットイーターと手を組んでいるのですか?」

 「いいや、上手くいってないみたいだね、今のところは。」

 「では、私が行っても無駄なのでは?」

 「君は、僕の名を知ったそれが重要・・・僕の情報を共有していても、僕は主として認知しているだけで、僕の名を知る神族は・・・ランニング、君だけだよ。」

 「あなたの名を出せば、【神殺し】ゴットイーターが話しを聞いてくれると言うことですか?」

 「あくまでも、聞いてくれる可能性が高いってことで、確実とは言えないけどね。」

 「わかりました。もしかしたら、ミカエル様より有利に話しが進めるのですね。」

 「そうだね。」

 私にも勝機が出てきた・・・

 「ありがとうございました。【ヨシュア】様。」

 「じゃあ、頑張ってね・・・ああ、そうだ、君が望むなら、元の人格に戻してあげるよ。」

 「いえ、お構いなく。」

 「じゃあ、僕は眠りにつくよ。情報は、自由に使っていいからね。」

 プツンと【ヨシュア】との接続が途切れると、ランニングは、現実世界で目覚めた。




 「私は主の情報の力を得て、舞い戻ってきたのです。」

 「それで、ガブリエル様がお前に付けと言ったわけか・・・」

 「不服がありますか?」

 「こうなったら、付き合ってやる。お前が主になれるか、朽ち果てるか見届けてやる。」

 「では、今後とも、よろしくお願いします。ステイジー隊長。」

 ランニングとステイジーは、がっちりと握手を交わした。


 その様子を訝しげに見つめるトレアンがいたのだった。

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