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all breaker  作者: paruseito
第Ⅱ章-Ⅲ サバック地方編
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アン・ブロークン・ワーズ

 「それが、君の選択か!白い娘よ。」

 確かに、その可能性もあった。

 それでも、君は、任務に準じると思っていたよ。

 神族と使命でなく、友情を取ったと言うことだね。

 「面白い。面白すぎる・・・」


 「何が、面白いんだ!こんな大変な時に!」

 船員がジェイドを叱責する。

 「ごめん、ごめん。気にしないでくれる。独り言だから。」

 「あんた、居なくなったと思ったら、又、登って来てからに・・・」

 見張り台で揉み合いが始まる。

 「邪魔だから降りろ!」

 「気にしなさんなって・・・ほら、ほら、魔獣と天使が・・・」


 見れば、天使が魔獣マーリンの脳天に強烈な一撃を入れていた。




 突如、現れた謎の天使は、真上から急降下し魔獣にその拳が唸る。

 海面に叩きつけられる魔獣マーリン。すぐさま、深く潜って行く。

 天使は、上空に留まり様子を見ている。


 「良くわからんが、あれは、俺らを助けてくれたのか・・・まあ、今はどうでもいい、ここから離れるぞ。」

 船長から指示が飛んだ。


 船員たちが大慌てで動き回るのをよそに、シフォンたちは、天使に注力を注ぐ。


 「天使の目的がわかりません。敵対勢力として対応しましょう。」

 「それは、いいんだけど・・・僕らでどうにか出来るのかねぇ~。」

 「始めっから諦めですか・・・あなたは・・・」

 「すまない・・・」

 リチャードは、おずおずと引き下がっていった。


 はあ・・・君がそれを言うかね・・・

 男は、嘆いた。


 そして、天使もシフォンたちの様子を窺ってるかの如く静止していた。

 だが、突然、シフォンたちへと天使が突進してきた。


 「危ない!」

 リチャードがシフォンをかばうように前に出る。

 ぶつかる!と思った瞬間、天使は急上昇した。

 何か、嘲笑っているようだった。


 急な天使の突進でシフォンとリチャードが抱き合っていた。


 「・・・いつまで、こうしているのですか・・・」

 シフォンは、リチャードを押しのける様に離れた。

 「ご、ごめん・・・」

 二人の顔は、どこか赤みがかっていた。



   ◇◇◇



 これは、任務の一環でーす。その為に彼らを助けるのでーす。

 ここでこそ、この力・・・使わせて貰いまーす。


 天使の衣エンジェルコート タイプ、ミカエル。


 「イデヨ! アン・ブロークン・ワーズ。」


 シルクは、姿を消し。一筋の流れ星となって・・・


 出力、異常なし。両腕、両脚の稼働、異常なし。両翼、異常なし。システムオールクリア。


 「スベテ、モンダイナシデース。」


 目標捕捉。


 「トツゲキデース!」

 天使は、魔獣マーリンに向かってその拳を突き立てた。


 ズドンっと魔獣の頭に拳がめり込むと、魔獣マーリンは、のたうち回り、海の底へと逃げて行く。


 シルクは、天使をその場に留まらせて魔獣の動きを追った。


 遠くには行ってませんね・・・まだ、来ますね。

 少し待ちましょう。


 シルクは、フッと船上を見ると、シフォンとリチャードが話している。

 音を拾い、聞き耳を立てる。


 「マタ・・・オフタリハ・・・スナオジャ、アリマセンネ。」

 そうだ・・・お二人が上手く行くようにお手伝いしましょう。

 そう思いつくと、天使を二人に目掛けて突っ込んで行った。

 天使は、二人をかすめる様に飛び去る。

 抱き合う二人を見てシルクは微笑んだ。


 「ナカヨクスルデース。」


 シルクが余計なお世話を焼いている隙に魔獣マーリンが再び船に迫っていた。


 「船長!又、奴が来る!」

 「どっちからだ!」

 「左舷後方!」

 「野郎ども!近づけさせんな!」

 船員たちが銛を手に後部デッキに集まり魔獣マーリンを待ち構える。

 マーリンは背ビレを海面に上げ、猛スピードで船へと迫った。

 船員が銛を投げマーリンの接近を阻もうとしたが、硬い鱗に弾かれ銛は通らない。

 「目だ!目を狙え!」

 「無茶、言わないで下さい!当たるわけないでしょ!」

 「まぐれでも、何でもいい!とにかく、当てろ!」

 

 まぐれなど起こらなかった。

 マーリンは、投げ込まれる銛を悠々とかわし、船に衝突する。

 ズドーンと大きな音とともに大きく船が揺れる。

 「クッソ!これじゃ、船がもたねえ・・・」

 船にぶつかった後、マーリンは、スーッと離れて行く。



 上空で待機する天使。

 「メ、デスカ・・・イイコトキキマシタ。」

 天使は、ナイフの様な武器を手に取りマーリンに向かった。

 悠然と泳ぐ魔獣マーリンに上空から併走するように天使が飛ぶ。


 「トビアガッタトコロヲネライマース。」


 魔獣マーリンは、察知したのか中々、飛び跳ねない。


 「シカタアリマセン・・・コッチカラ、イクデース。」

 天使は海に飛び込んだ。

 海の中に入った天使は、水圧によって動きが鈍くなる。

 そこに魔獣マーリンが襲い掛かる。


 海中に入った天使に、マーリンの鋭く伸びた嘴を突き立てる。

 「ウミノナカッテ、コンナニ、ウゴケナクナルノデスネ・・・」

 マーリンは、ガンガンと天使にぶつかり、反撃を受ける前に離れて行く。

 何度も何度も、それを繰り返した。

 天使は、歪に変形し始めた。


 「マズイデスネ・・・」

 でも、一度、捕まえてしまえば、どうにかなります。


 天使は身構え、マーリンの突進に備える。

 襲い掛かるマーリンをすんででかわし、マーリンのヒレにその手をかけた。

 マーリンは、それを嫌がり、きりもみをする様に泳ぎ、天使から逃れようとする。

 天使は、もう片方の手にした武器でマーリンの体に突き刺す。

 硬い鱗をも突き抜け、血が海に流れ出す。

 マーリンは、激しく暴れ、天使を引き剥がすと、もの凄い勢いで海深く潜って行った。


 「コレハ、フカオイハ、キケンデスネ。」

 天使は、海から飛び出ると魔獣マーリンの動きを探った。


 「ハナレマシタ・・・デモ、ニゲタワケデハ、ナサソーデス。」

 もう一度、来ますかね・・・


 船は速度を上げ出来るだけ遠くへと移動しようとしている。


 「あの天使・・・こっちには攻撃してこないわね・・・さっきのはいったい何だったのか・・・」

 シフォンは、天使の行動に疑問を覚える。

 天使は、船に着かず離れず付いて来ていた。


 「こりゃ、助かったぜ。あの白いの船を守ってくれている様だ。」

 ある船員が言った。

 それには、何か別の意図があるのではとシフォンは思っていた。

 

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