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all breaker  作者: paruseito
第Ⅱ章-Ⅲ サバック地方編
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魔獣マーリン

 海面を飛び跳ね、船に迫りくるマーリン。


 「船長!一旦、ベレーニに戻りましょう!」

 「馬鹿野郎!あんなのを港に入れたら、とんでもない被害を出すぞ!」


 船員は、慌ただしく動いている。


 「手の空いている奴は、銛を持て!」

 「休んでいる魔導師を全員、魔導機関室に行かせろ!全速力でここから離脱する。」

 船長は支持をだす。


 シフォンたちは、船室には戻らなかった。

 「わたしたちにも、なにか出来ることがあるかも知れません。様子をみましょう。」

 「そう、こなくちゃ。」


 船の速度が上がりはじめる。

 「こっち、くんじゃ、ね~ぞ・・・」

 マーリンとの距離を離そうとするのだが、そうは簡単にはいかない。

 「なんで、追ってくる・・・俺らは、なんもしてないだろ。」

 「船長!追いつかれる!」

 「くっ・・・駄目か・・・野郎ども応戦準備!」



 「わたしたちも行きましょう。」

 シフォンたちも加勢しようと飛び出そうした。


 「待って下さい。皆さん・・・ここは、私に任せてくださいませ。」

 サリエスが申し出る。

 「大丈夫なのですか?」

 「なんか・・・予想がつくんだけど・・・」

 「勿論、サンカルロが何とかしてくれますわ。」


 「知ってた。」


 サリエスは、召喚を試みる。


 「あれれ・・・おかしいな・・・」

 サンカルロは、現れない。

 「どうしたんだい?調子が悪いのかい?」

 「そんな事はないのですが・・・呼び出せません。」


 シフォンが考察する。

 「もしかして・・・サンカルロさんは、地霊の類いなのでは・・・。」

 「ちれー?よくわかりません・・・」

 「・・・霊は、土地に縛られている場合が多いのです。海上では、召喚できない可能性があります。」

 「そー言うものなのでしょうか・・・」

 サリエスは、考えを巡らせる。そして、何かしらの答えをだした。

 「合点がいきました。そう言うものなのでしょうね。」

 本当に理解しているかは、さておき、魔獣マーリンは、船を捕えようとしていた。


 船は、速度を上げるも、それ以上の速度で魔獣マーリンは迫っていた。


 船員たちが右往左往しているなか、シフォンたちが前に躍り出る。


 「客人は、船内にって言ったろう。」

 「わたしたちも、手伝います。」


 シフォンたちが魔法の詠唱を始める。


 「仕方がない、無茶をするなよ。」


 「裁きの雷。」


 稲妻が魔獣に向けて放たれる。

 魔獣マーリンの速さと海の中に深く潜ることで回避される。


 「コリーダさん、シルクさん。次に海面に現れたら、右側を狙って下さい。」

 「誘導するのね。わかったわ。」

 「はい。ある程度、軌道が絞れれば、魔法を命中させることもできるはず。」


 魔獣が海面に姿を現すのを待つ・・・2、3分後、飛び跳ねる魔獣マーリンの姿を発見すると、予定通り、魔獣の右側に向けてコリーダとシルクの雷の魔法が放たれる。


 左に旋回したら、そこを狙い撃つ。それ以外は、やり過ごす。シフォンは、そう考える。


 魔獣マーリンは、左旋回で魔法攻撃を避ける。

 予測での想定位置へとシフォンは、雷の魔法を放つ。


 魔獣マーリンに落雷の如く稲妻が命中する。

 轟音が響く・・・

 魔獣マーリンから煙が上がるも、その動きは、鈍ることはなかった。


 「やはり、奴には魔法は効かないか・・・」

 船長がポツリと漏らす。

 「直撃したのに・・・」

 「シフォンさん、次はどうします?」


 「悪いがお嬢さんら、防御に徹してくれんか?」

 船長は、シフォンたちに要望を出す。

 「奴は、銛で突いてダメージを蓄積させて、戦意を失わせる。」

 「それでは、倒せないのでは?」

 「倒す必要はない。奴があきらめて、どっかに行ってくれるのを待つしかねぇ。」

 「時間がかかりそうね。」

 「すまねえな、この船には奴に有効な装備がない・・・こんな手しか思いつかねえ。」

 「わかりました。やってみます。」


 船長の支持通り、船の防御に当たることになったシフォンたちを、見守る男がいた。



 船長は、冷静だね。

 しかし、持久戦が正解かどうかは、難しいところだね。

 ジリ貧になる前に、魔獣があきらめてくれるかが鍵だけど・・・

 それは、私が望む結果ではないんだよね。

 シフォン嬢ちゃんは、又、自身の力と向き合わないつもりなのかね・・・

 このまま、海の藻屑ってことも・・・そうなる前に何とかして欲しいのだが・・・


 君の為に、舞台を用意したんだ・・・

 向き合って貰いたいものだが・・・


 まあ、後で煽り・・・促しに行こう。


 しかし、この状況を何とか出来るのはシフォン嬢ちゃんだけではない・・・

 堅物くん・・・

 君の持っている魔剣は、そもそも、魔獣討伐のために造られた代物。

 しかも、その形状が槍ときている。

 槍は・・・投擲武器でもあるだよ。

 魔剣を犠牲にする覚悟があるのなら、アレは倒せるんだけどね。

 当の本人は、全く気付いてないときている・・・


 リチャードとデービットは、オロオロしている。


 さて、どうしたものかね。


 ジェイドは、マストの見張り台から甲板を見下ろしていた。


 「兄さん・・・なに、ブツブツ言ってんだ?」

 見張りに立っている船員に突っ込みを入れられる。

 「気にしない、気にしない。一休み、一休み。」

 「降りろ・・・」

 「やだ。」

 「降りろよ!狭いんだよ!」

 マストでの攻防戦が行われてたのは、又、別の話し・・・  

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