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all breaker  作者: paruseito
第Ⅱ章-Ⅲ サバック地方編
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新たな仲間

 リチャードとサリエスを見守っていたシフォンたち。


 「面白いことになってきたわね。シフォンさん。」

 コリーダが話しを振るもシフォンは、考え事をしている。


 「しかし・・・今の話し誰のことなんでしょう?」

 「えっ。」コリーダは、絶句する。

 「シフォンさん・・・本気で言ってるの・・・」

 「はい。」

 コリーダは、驚きを通り越して呆れていた。


 「シフォンサンノコトデハ、ナイノデスカ。」

 空気を読まず思ったことを口にするシルク。


 「ははは・・・シルクさん冗談はやめて下さい。」

 「ワタシハ、ジュンスイニ、ソウ、オモッタダケデース。」

 「そんなことは決して・・・」

 シフォンは思いあたることがあったのか、話すのを止めた。

 顔をあからめ自問自答している。

 そんな・・・でも・・・ありえない・・・でももしかして・・・

 ブツブツともらしている。


 「まったく。自覚のないのも問題よね。」

 「そうなのか。」

 デービットも丸でわかっていない様だ。

 「あんたも、シフォンさんといい勝負ね。」

 「トーヘンボクデスネ。」


 シフォンたちが隠れて話しているところに歩みよってくるサリエス。


 「こっちに来るわよ。」

 「ニゲマショー。」

 あたふたしていると、サリエスが言う。


 「そこに隠れておられるのでしょ?出て来て下さいませ。」


 おずおずと出てくるシフォンたち4人。

 「あら、奇遇ですわね。」

 白々しくコリーダが言う。


 「話しを聞いていたのでしょ。だったら、話しが早いですわね。」

 サリエスは、好都合とばかりに話しを切り出す。

 「私もあなたたちの旅に同行したいのですが・・・と言うか、勝手に付いて行きますけど。」

 

 「同行ですか・・・わたしは・・・構いません。」

 「それは、良かった。」

 「しかし、一つだけ約束して下さい。」

 「約束ですか・・・どのような?」

 「布教活動をしないで下さい。」

 「何故です?」

 「わたしたちは、どの宗教にも属していませんし、肩入れする気もありません。信仰は自由です。でも、それを押し付けるのは違います。」

 「聖十字教を広めることが悪いことだと言うのですかあなたは。」

 「違います。あなたが独りの時は、ご自由にして下さい。わたしたちと行動している時は、しないで下さいと言っているのです。」

 「・・・わからなわ。あなたたちが居ようが居まいが布教活動したら同じじゃありませんか?」

 「正直言うなら、一切しないで欲しいですが・・・わたしには、あなたにそれを止めさせる権利はありませんし・・・これは、妥協案です。これが守れないなら、あなたの同行を認めません。」


 サリエスは、少し考えると答えた。


 「仕方ありません。その条件飲みましょう。リチャード様のために。」

 「そうですか、なら・・・」

 シフォンは、右手を差し出した。

 それを受けてサリエスは、差し出された手を握った。


 シフォンとサリエスのやり取りを見ながらコリーダたちが話す。

 「宗教なんかと関わりたくないしね・・・特に十字教はね。」

 「嫌っている人も多いからな。」

 「余計な争いに巻き込まれたくないし・・・」

 「シューキョー、コワイデース。」


 そこに合流するようにリチャードが来る。


 「話しはついたみたいだね~ヤレヤレだよ。」

 「あんた、もっと上手く断れなかったの!」

 「その・・・思いのほかいい子で・・・。」

 「ホレチャイマシタカ?」

 「なわけないよ~。」

 「貴様がナンパなんてしなければ、こんな面倒なことにならなかったものを。」

 「だから、あれはだね・・・」


 シフォンとサリエスも輪に加わり。

 「私は、サリエス=ベルベット。改めて、よろしくお願いします。」

 「わたしは、シフォン=クレア。」

 「私は、コリーダ=セルシスですわ。」

 「シルク=アンブロワーズ、デース。ヨロシクデース。」

 「デービットだ。」

 自己紹介も終わり、お世話になっている家に戻ろうとした。


 「あら、もう一人おられませんでしたか?」

 「この何日か姿を見ませんわね。」

 「あの、おっさんどこをほっつき歩いているのやら・・・」

 「マタ、ヒョッコリ、アラワレマスヨ。」


 「あの人は、ジェイド=オージェンって言います。」

 「そうですか・・・」

 サンカルロが、警戒していた人物だったので、どんな方か楽しみにしていたのですが・・・

 「あの自己紹介を聞かされずラッキーだね。」


 この日、サリエスが仲間に加わった。


 

   ◇◇◇


 翌日、宴が催される夜まで、シフォンたちは、各々で時間を過ごすことになった。


 シフォンとコリーダは、住人たちにここで魔族が何をしていたか聞き込みに歩き回った。

 リチャードとサリエスは、今日も一緒に居る。何をしているのやら。

 デービットは、鍛錬を、シルクは、独りで何処かへ出かけた。


 「コリーダさん。わたしに付き合う必要はないですよ。」

 「別に暇だし、気にしないで。」


 二人は、住人から魔族が近隣の山々にある洞窟から遺物を掘り出していたと聞かされた。


 「洞窟と言うより、迷宮らしいわね。」

 「魔族が欲しがる遺物・・・古びた武器・・・。」

 「そんなの魔剣に決まってるじゃない。」

 「この様な場所にそんなモノがあるとは・・・ちょっと気になります。」

 「調べたい?」

 「それは、山々なのですが・・・」

 「かなりの数の洞窟があるみたいね。」

 「せめて、どこの洞窟かがわかれば、迷宮探索もありなのですが・・・」

 「行き当たりばったりで行ってみる?」

 「それは、止めておきましょう。キリがありませんし。」


 シフォンは、少しだけ残念に思った。


   ◇◇◇


 リチャードとサリエスは、イチャイチャしている。


 「サリエス・・・一応、鍛錬中なんだが・・・」

 「はい。だから、こうして、汗を拭っているのです。」

 「素振り1回するたびに拭われてもね・・・」


 「うらやまけしからん。貴様ら他でやれ!」

 デービットは、すぐ隣でイチャつく二人に抗議する。


 「あら、失礼・・・でも、気になるのなら、あなたが他でやればいいのでは?」

 「サリエス、流石にそれは言いすぎだよ~。」

 「ごめんなさい。リチャード様。」

 「私に謝れ!」

 「・・・何故あなたに謝らなければならないのですか?」

 「ああぁぁぁぁ・・・もう、いい!」


 デービットは、怒り心頭でその場を離れて行った。

 そして、丁度いい草原をみつけ、鍛錬を再開しようとした時、何か光るモノを見つけたのだった。

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