ボッカ探検録 13
私はボッカ。探検家助手であり魔導師で、師匠の一番弟子です。
アーネストリー師匠が負傷したため私が代筆することになりました。
卯ノ月25日
闘技場は、観客で一杯でした。
賭け試合ともあって熱気が尋常じゃなかったです。
闘技場の一番良い席でふんぞり返っている美女がマリアベルのようです。
私はできれば関わりたくないと思いました。
名を呼ばれ登場する師匠は、珍しく緊張している様子でした。
対するセブンスベルと言う人は、観客に手を振り愛想を振りまいています。
かなり場慣れしていることが見て取れました。
師匠は愛用の短剣一本。
相手は両手に細身の剣を持っていました。ちょっと、卑怯じゃないでしょうか。
開始の合図があると試合が始まりました。
しかし、二人は睨み合ったまま身動き一つしませんでした。
審判の人に促され、動きがありました。
先に動いたのはセブンスベルって人。
斬撃って言うのを飛ばしてきました。卑怯です。
流石は師匠。それを難なくかわし、得意な構えをしました。
そこからは、早かった。
私では、目で追うことができませんでした。
シーザスターが言うには、すれ違いざまの一閃。
私には、何が何やらわかりません。でも、わかることはあります。
勝ったのは師匠。
セブンスベルって人は、地に伏し。
師匠は立っていました、腕から血を流しながら。
勝ったのは良いけど、師匠の怪我は心配。
現存せず、或いは、未発見。