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all breaker  作者: paruseito
第Ⅱ章-Ⅲ サバック地方編
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七刀流

 セブンスベルが躍り出る。

 「トラちゃん。ここは、あたしに任せてちょうだい。」

 「おい、こら。」

 クワトラベルが制止するも、構わず刀を抜き突っ込んで行く。

 瞬時に間合いを詰めるセブンスベル。そして、振りぬかれる刀。

 ガシンっと音が響くと刀は、受け止められていた。ティンバーの氷で覆われた腕で。


 「あら、やるじゃなあい。」


 腕を氷で固めてあたしの刀を止めるなんて・・・厄災ちゃんをも両断したあたしの速さについて来れるなんて・・・まあ、厄災ちゃんは、わざとやられてたけどね。


 セブンスベルは、ティンバーを壁代わりにし蹴って後ろに跳び距離をとった。


 「知ってるぜ。七刀のセブンスベル。七本の刀を使うおかまだって。」


 「おかまじゃないわよ。乙女よ。」

 セブンスベルは、憤慨しつつそう言う。


 「丁度いい、さっき手に入れたこの武器の試し斬りをさせてもらうぜ!!」


 ティンバーが武器を手に取り活力を吹き込むと、みるみるその形状を変化させ、戟へと変わった。

 「こいつぁ、すげーぜ。」



 「トラちゃん。」

 セブンスベルが声をかけると、クワトラベルが察し解説を入れた。


 「あれは、持ち主にとって最適な形状になる魔剣・・・遷移剣の類いだろう・・・」 金棒になるんじゃないのかよ。


 「へ~面白いもの持ってんじゃない。」

 「変わろうか?」

 「馬鹿言ってんじゃないわよ。今度は、本気でやるから・・・」

 「おう、そうか・・・」

 クワトラベルは、そこから少し離れた。


 セブンスベルが両手に持った刀とは別に、異空間から更に5本の刀を取り出し、宙に浮かせた。


 「見せてあげるわ・・・七刀流・・・。」

 宙に浮いた刀がクルクルと回転しはじめた。


 「ケッ!見せる前に終わらせてやるわ!」

 ティンバーは、大きく飛び上がった。


  【氷結吹雪】フリージングハリケーン


 ティンバーの放った魔法がセブンスベルに襲いかかる。凍てつく吹雪で視界を遮り身を凍らせる。そして、ティンバーの戟がセブンスベルに振り下ろされる。


 「馬鹿が・・・隙だらけだ・・・」クワトラベルが漏らした。


 ティンバーが飛ぶのと同時に5本の刀は、射出されていた。

 その刀は、魔法もろとも切り裂いて行く。


 空から切り離された四肢と頭と体が地上へと降り注がれた。

 地上に落ち転がる頭・・・頭部だけになってもティンバーは、喋っていた。


 「な、何故だ・・・」

 「あなた、いちいち、動作が大きいのよ。やって下さいって言っている様なものよ・・・それとも、その魔剣がそうさせたのかしら?」

 「ヂ・ギ・ショー・・・」


 グシャッ


 セブンスベルがティンバーの頭を踏み潰すと戦闘は終わった。


 「流石だなセブン。奴が飛び上がった時には、勝負はついていた。飛ばした5本の刀で手足を切り、心の臓を突き刺し、奴の振り下ろし際に首を落とす・・・なんて、早技だよ。」


 「解説ありがと。」


 「ほんと、馬鹿な奴だ。防御に徹していたら、もっと、ましな戦いになってたのによう。」


 「じゃあ、行きましょ。邪樹四将ってヤツ全員始末するんでしょ。」

 「ああ・・・今度は、俺様がやるからな!」

 「はいはい。」


 セブンスベルは、落ちた魔剣を手に取ると、刀に変化した。


 「お!?今度は八刀流か?」

 「・・・ん~~ん。8本目は、要らないわね・・・トラちゃん要る?」

 「俺様は、武器は使わん。」

 「だと思ったわ。」

 セブンスベルは、手にした魔剣をポイっと投げ捨て、草むらに消えた。


 「そんな、ぞんざいに扱って・・・仮にも魔剣だぞ。」

 「いいのよ。ああ言うものは、回り回って手にすべき者の手に渡るものよ。」

 「んじゃ、次に行くか。」


 クワトラベルとセブンスベルは、町の住人には、目もくれずその場を去って行った。

 ドラールスミスは、期せずして解放された。



   ◆◇◆



 シフォンたちは、恐る恐るドラールスミスの町を窺っていた。

 でも、様子がおかしい。聞いてた話しと違った光景が広がっていた。

 壊された家屋の片付けをする住人の姿を目にしていた。


 「これは、どう言うことなんだい?」町まで案内させた男に聞いた。

 「こっちが、聞きてえ・・・」

 男は走り出し、住人を捕まえ事の経緯を聞いた。


 「バケモノが仲間割れしだして全滅したんだよ。こんなこともあるんだねぇ・・・」



 「仲間割れで全滅・・・考えられないわね。」

 「でも、良かったじゃないか~。魔族と戦うってことにならなくて。」

 「なに、ホッとしてるのあんた。」

 「僕は、平和主義者だからね。戦わないに越したことはないさ~。」

 「だが、そんなに喜んでいられない様だな・・・」


 見れば、住人たちは至るところにアザや切り傷の跡が残っていた。中には歩くこともままならない者もいた。恐らく死んだ者もいるだろう。

 凄惨な状況が容易に予想がついた。


 「シフォンサン、コリーダサン。ワタシタチデ、ココノヒトタチヲ、チリョーシマショー。」

 「そうしましょう。」


 「僕たちは何を・・・」

 「あんたたちは、町の片付けを手伝いなさいな。」

 「お、おう、そうだな。」


 案内した男は、仲間を呼びに元の町へ急ぎ戻った。


 ジェイドは、独り佇む・・・その腕は揺らいでいた。


 「思ったほど・・・もたないみたいだな・・・」少し寂しそうに呟いた。

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