大盗賊時代
野郎どもを一掃したシフォンたちだったが、至る所から、野郎どもの仲間が押し寄せて来た。
「おいおい、聞いてないよ~。」
「どうやら、この町自体、この人たち根城だったようですね。」
「そんな事より、どうするんだよこれ?」
「ゼンイン、ヤッテシマエバ、ヨカローデース。」
「過激だが、それしかないな!」
シフォンたちは、野郎どもとの戦闘に入った。
シフォンら魔導師が魔法攻撃を行い。
リチャードたちがそれを守るといったフォーメーションを組んであたった。
「兄貴、戦争は数だよ。」
そんな台詞も虚しく野郎どもは、魔法で蹂躙される結果になった。
繰り出される魔法で次々と薙ぎ払わていく野郎ども。
そして、野郎どもは、僅か30分ほどでほぼ壊滅した。
シフォンは、倒れた野郎どもから、1人の男を叩き起こし尋問した。
「あなたたちは、一体、何者なのですか?」
「・・・・・・。」
「聞いているのよ。答えなさいな。」
「・・・・・・。」
「オウ。イタイメニ、アイタイミタイデスネ・・・。」
シルクは、魔法の詠唱をしはじめた。
「ま、待て・・・話すから、許してくれ!」
男はサバック統一戦線機構と言う組織の構成員だと言った。
北サバックにある幾つかある武装組織の一つだ。
今回の停戦によって、国からの支援が打ち切られ、盗賊の様な組織に変わってしまったと言う。
この状況は、サバック地方全域に波及しており、野盗と化した組織が乱立していた。
どこからか、現れたジェイドがそのやり取りを聞いて言った。
「まさに、大盗賊時代って訳ですね。」
微妙な空気が流れる。
そこは、スルーして話しを振る。
「おっさん・・・どこに行ってた。」
「ちょっと、野暮用で・・・。」
「はいはい。野暮用ね。」シフォンは刺々しく言った。
「ジェイチャンサン、ワタシノ、カツヤク、ミテホシカッタデース。」
「白い娘の活躍見たかったなー。」
「白々しいわね。」
◇◇◇
尋問されてた男は、神妙な面持ちで話し出した。
「あんたらのその強さを見込んで頼みがあるんだ・・・俺たちの家族を助けて欲しいんだ!」
「はあ?何を仰いますの!私たちを襲っといて。」
コリーダは、不愉快そうに捲し立てた。
「それは、俺たちが悪かった。でも、仕方がなかったんだ・・・」
「仕方がないではすまされないでしょ!!」
「お願いだ。話だけでも聞いてくれ。」
男はそ言うと頭を下げた。
「まあ、まあ、話しだけでも聞こうじゃないか~。」
コリーダは、納得いかなかったが、シフォンが聞くことに同意したので引き下がった。
「ここから、ずっと行った先にドラールスミスって町がある。そこが俺らの拠点だった。停戦して俺らは、普通の生活に戻ったんだが・・・暫くして、あの化物が現れた。」
「バケモノ?」
「碧い目のオーガ・・・ティンバー。」
「碧い目のオーガなんて聞いた事ないわね。」
「オーガの上位個体・・・。」 ジェイドがぼそりと言った。
「上位個体なんて存在するものなの?」
「まあ、自然発生的なものではないな・・・」
「ドウイウコトデス?」
「魔族の手が入ってるてことだね。」
「それって、ユーワさんと同じってこと?」
「たぶんね。」
「でもなんで、そのオーガとあなたたちがこんな事をしているのが関係しているの?」
「奴は町を占領すると住人を人質にして俺たちを追い出した。」
「情けないわね。」
「何度も何度も、戦ったさ。策を練り、罠を仕掛けそれでも敵わなかった。
俺たちの中に魔導師さえいれば、そんな結果にならなかったはずだ。」
「でも、そんな状況なら、国に救援を求めなかったのですか?」
「要請したさ・・・だが、来なかった!国は俺たちを見捨てたんだ!!だから、俺らは、国を頼るのをやめた。好き勝手にすることにしたんだ。」
「ふん!それで、盗賊団になりさがったの?」
「悪いかよ・・・。」
「悪いに決まっている。分別ってものがあるでしょ。」
男は、うつむき、黙ってしまう。
「あなたたちの事情は、理解しましたが、あなたたちのしていた事は、許されることではありません。」
「・・・・・・。」
「でも、放っとけませんね・・・。」
「た、助けてくれるのか?」
「シフォンくん。余計なことに首を突っ込まない方がいいと思うよ~。」
「ましてや、相手が魔族となると我々に手に負える相手ではないのでは?」
シフォンが今回の件に関わろうとしているのに対し、他の仲間は否定的な意見しか出てこなかった。
「それでも、わたしは、彼らを助けたいと思っています。」
「相変わらず、正義感が強いですわね・・・。」
「僕は、一応反対したけど、シフォンくん、君がリーダーだ。君がそう決めたのなら、それに従うさ~。」
「ソーデース。シフォンサンガ、キメテクダサーイ。」
シフォンは、仲間の顔を見廻すと頷き。ドラールスミスに向かうことを宣言した。
仲間もこうなることを予想していた。
「あんたら・・・本当に助けてくれるのか・・・ありがとう!」
「別に助けに行く訳ではありません。様子を見に行くだけです。状況を見てから考えるだけですので・・・。」
「それでも、十分だ。ありがとう。」
ジェイドは、只々、見守っていた。
まあ、なんとかなるか・・・奴らが片付けてくれる可能性が高いし・・・
出しゃばるのは止めておこう。