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all breaker  作者: paruseito
第Ⅱ章-Ⅲ サバック地方編
153/280

次の主

 ルースダムにて戦力を削がれたウリエルの元に5人の天使が・・・


 「おお!お前たち無事だったか!!」


 「当然です。我らはウリエル様の精鋭部隊。あの程度の爆発なんてことありません。」

 レッドが胸を張る。

 「正直、死ぬかと思った。」

 ブルーが本音を吐露する。

 「お腹すいたんだな・・・。」

 腹の虫を鳴らしているイエロー。

 「俺がレッドやりたかった・・・。」

 未だに赤い戦士こだわっているグリーン。

 「私の美貌は今日も変わりませんわ。」

 化粧を入念にするピンク。


 「ワハハハ。相変わらず協調性がないのうお前たち。」


 「ウリエル様。ご壮健で何よりで御座います。」

 「ウリエル様。次の任務を何卒。」


 「うむ。早速だが・・・と言いたいところだが、吾輩の天使装備がボロボロだ。お前たちのも、そうであろう。今は、ゆっくり休め。修繕がすみしだい働いてもらうぞ。」


 「ははあ!」


 5人はウリエルの執務室を後にするのだが、この中に1人・・・邪悪な笑みを浮かべる者がいた事を誰も気づかなかった。



 ガブリエルの勢力も先の爆発の被害を多大に受けていた。


 「リュウモン隊長は帰って来ませんでしたか・・・」

 「あの野郎・・・殺しても死にそうにない奴だったのに・・・」

 ステイジーは悔しさを滲ませていた。

 「隊長たちは同期だったんですよね・・・その・・・なんて言ったらいいのか・・・」

 プライムは複雑な表情を浮かべていた。

 「奴に運がなかった・・・そう言うことだ・・・」


 「感傷に浸っているところ申し訳ないのですが、次の指令があるみたいですよ。」

 「トレアン。空気読んで。」

 「どうしてですか?戻られなかったのは、何もリュウモン隊長だけではないのですよ。」

 「そーだけど・・・」


 「プライム、もう、いい。トレアンの言う通りだ。」

 「ガブリエル様が執務室でお待ちです。お急ぎを・・・」


 ステイジーは、感情を押し殺して執務室へと向かった。


 執務室に入ると、既に部隊長たちが並んでいた。急ぎ、その隊列にステイジーもついた。

 全員が揃ったところで1人の神族がガブリエルを呼んだ。

 ガブリエルが姿を見せると、最初に謝罪を口にした。


 「みんな、すまなかった。今回の件は全て僕の責任だ。魔族の動きを軽く見積もっていた。」


 「いえ、ガブリエル様の責任ではありません。」

 「ありがとう・・・」


 「僕とウリエルの戦力が失われた訳だが・・・ミカエルは笑いが止まらないだろうね。」


 「ウリエル様は、何者かに騙されルースダムに行かれた様です。」

 「みたいだね。ウリエルに手紙を渡した者を探さないとならないね。」

 「そんなのミカエルの手の者に決まっている!」

 「決めつけはいけませんよ。まだ、ラファエルの可能性も残っているのですから。」


 「内偵を進めます。」


 「では、今日の本題に入りましょうか・・・神殺しゴットイーターについて。」

 「トレアン。入れ!」


 トレアンが執務室に入るとまずは、一礼した。そして、直ぐに報告を始めた。


 「ルースダムにて、ミカエル様方の密偵と接触。情報を得ることに成功しました。ミカエル様は、神殺しゴットイーターと何らかの取引を画策しています。」


 執務室はざわめき立つ。


 「その取引とは?」

 「主の暗殺です。」


 騒然とする執務室。


 「ミカエル様は、主を亡き者にしようとしているのか!」

 「なんて不埒な事を・・・」


 「神殺しゴットイーターに主を殺させる・・・考えましたねミカエル。」

 「これは、列記とした反逆行為。直ちにミカエル様を拘束しましょう。」

 「そうだ!そうだ!」


 「ガブリエル様、御命令を!!」


 だが、ガブリエルは首を横に振った。


 「主は死を望んでいます。これは、今まで伏せていましたが・・・主を殺した者こそが、次の主になることが取り決められています・・・」


 「なんだってぇ。」

 神族たちは信じられないと言う顔を誰しもがした。


 「ミカエルが具体的な行動に移っているとなると、もう、隠しておく必要はありませんね。」


 「しかし、主を殺すなんて・・・」

 「ガ、ガブリエル様も、主を殺そうとなされているのですか?」


 「僕は・・・ただ、見守るだけだよ。主を殺そうとしているのは、ミカエルとウリエル。ラファエルは何を考えているかわからない。」


 「・・・他の天使長が次の主になるくらいなら・・・私はガブリエル様になってもらいたいです。」

 「それは・・・できません。」

 「何故ですか?」


 「僕には僕の役割がある。主になることは、僕の役割ではない。」


 「役割?それは、主になることより重要なのですか!」

 「その通りです。」

 ガブリエルは、投げかけられた言葉にはっきりと堂々と答えた。

 それに納得のいかない神族は、続けて言う。


 「主より重要な役割はありません!」


 ガブリエルは、その神族を諭す様に言う。

 「主の役割は、重要です・・・ですが、僕である必要がないのです。極端な事を言えば、主として務めることができる者ならば、誰でもいいのです。」


 「いえ、主は、相応しい者がなるべきです。それは、ガブリエル様です。」


 「僕を慕ってくれるのはありがたいです。僕は、主であることよりも、それを支える者になりたいのです・・・わかって下さい。


 ガブリエルの配下の神族たちは、皆、悔しそうな表情を浮かべていた。


 「では、お聞きします。ガブリエル様は、次の主は誰になるのが良いと思われていますか?」


 「そうですね・・・何を考えているかわからないところもありますが・・・僕は・・・ラファエルかな・・・あれは、まごうことなき天才ですから・・・」


 「では、我々は、ラファエル様の支援に回ると言うことですか?」

 「いいえ、ラファエルも僕と同じで主になりたがらないでしょう。」

 「では、ミカエル様かウリエル様が次の主に・・・」


 「その可能性もありますが、何も天使長が次の主になるとは決まってませんよ。もしかしたら、あなたたちの中から次の主が生まれるかもね。」


 「御冗談を・・・」


 「冗談じゃありません。可能性は、皆に平等にあるのですから。」


 ガブリエルは、主にならない事を宣言した形になったのだった。



   ◇◇◇



 「本当に良かったのですか?キヌに何の処置をなされなくてミカエル様。」


 「構いません。それにキヌは、アレと良好な関係を築いている様ですし・・・今、キヌに手を加える事は得策ではありません。」

 「わかりました。では、任務は続行と言うことで・・・」


 「キヌには、まだまだ、利用価値があります。その命尽きるまで働いてもらいますよ。」


 ミカエルは、不遜な笑みを浮かべるのであった。

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