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all breaker  作者: paruseito
第Ⅰ章 アリスティディス編
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今日の出来事

 シフォンは、クレア家邸宅に戻っていた。そして今日の出来事を思い出す。


 結局、天使の襲来で試験は、有耶無耶の内に終わってしまった。再試験は、あるのだろうか。そんなことよりあの天使の攻撃で先生達3名。武術科の生徒4名が回復魔法でも完治できず、そのまま入院の運びとなった。商人達もかなりの被害が出てたはずだが、そちらは情報が入ってこない。無事なら良いのだが・・・・人死にが出なかっただけでも良かったんだろうと思うしかない。

 あの天使の目的は一体何だったんだろうか?わたし達の殺傷が目的?そう言えば、出発前、魔族が出没している噂話しがあった・・・天使は魔族を捜していたって事なのだろうか。この推察が妥当なのだろう。

 でも、一番気になるのは、あのしょっぼい剣士の事だ。物腰の低い喋り方でも言ってる事は、ふざけてるとしか思えない発言ばかり・・・・何なのあの男は! でもあいつのお陰で助かったのは事実。わたしの知らない何かを知っている・・・もう一度、会って確かめなければ。


 シフォンは、自室にて今日の事を振り返っていると、そこへ姉がやってきた。



 「シフォンちゃん、今日は、大変だったみたいね。怪我してない?」


 「わたしや班のみんなは、無事でした。でも他の方々が・・・・」 少し思いつめた表情を浮かべる。


 「・・・怪我をされた方々は心配ですね。」


 「・・・・姉さま、わたし、初めて天使と言う者を見ました・・・・・みんな必死に戦ったんです。でも全然、歯が立たなくて・・・もうダメだと・・・・・」


 「そう・・・・・でも聞いたわよ。シフォンちゃんが天使を倒したって。」


 シフォンは姉の姿を見て安堵した事も有り、今まで気を張って耐えていた感情が一気に溢れ出す。


 「わたしだけど、わたしじゃないんです!!わたしはわたしは、あの時、諦めてしまっていたんです!」 止めどなく涙がこぼれ落ちる。


 姉はシフォンの肩をそっと抱き寄せると、優しく頭を撫でた。


 「でも、頑張ったんでしょ。」


 「うん、頑張ったよ、頑張ったんだよ!お姉ちゃん!」


 「久しぶりに″お姉ちゃん″って呼んでくれたね。普段からお姉ちゃん呼びで良いのに・・・」


 「だってだって、クレア家の娘としてしっかりしなきゃって・・・・」


 「そんな事、気にしなくて良いだよ。」


 シフォンは暫く姉の胸の中で泣きじゃくった。




 落ち着きを取り戻したシフォンは、先程の話の続きを話し出す。


 「あの時、あの剣士が現れなかったら・・・・わたし達は、死んでいたかもしれない。」


 「剣士?」


 「商人達の中に妙な剣士が居たの・・・・」


 「妙な剣士さん・・・・その人はどの様な方だったのですか?」


 「わたしと同じ、黒髪黒眼でした。死んだ目をしてましたけど・・・後は、みすぼらしい恰好をしていて、鞘の無い剣を一本だけ持っていました。」


 「死んだ目をしていて、みすぼらしい恰好で剣を一本・・・・」 姉は考え込む仕草をした。


 「姉さま、どうかなされたのですか?」


 「ううん、何でもない気のせい・・・・って又、姉さまって呼んだ!お姉ちゃんで良いって言ってるでしょ!」


 「そんな急には、戻せません。」


 「ふん!まぁ、良いわ。それでその剣士さんは、何を成されたのですか?」


 「・・・魔力弾マジックショットをわたしが打てと・・・・」


 「あの初歩中の初歩の魔力弾マジックショットで何とかなったのですか?」


 「えぇ、でも普段使いの魔力弾マジックショットとは、別物でした・・・質が違うと言うか・・・魔力を凝縮する事によって、速射性は失うのですが、威力は跳ね上がっていました。」


 「へ~魔力弾にそんな使い方があったんだ。」


 「最強の魔法とか言ってましたけど・・・確かに威力は上がっていましたけど、流石に最強とは言いすぎです。」


 「でもそれで、天使を倒したんでしょ。」


 「うん・・・倒したと言うよりも、動かなくなったって言うのが本当。でも良く分からないの・・・魔力弾なんかより強力な協調魔法が効かなかったのに・・・何故、魔力弾が効いたのか。」


 「確かに不思議ね・・・・」


 「あの剣士が中身がどうのこうの言ってたけど、訳が分からないよ。」


 「うーん、分からない事ばかりだけど・・・助かって良かったって事は分かってるわ。」


 「姉さま。」


 「そう言えばシフォンちゃん。試験が終わったら話しがあるって言ってたわよね。こんな事があったばかりだし別の日にする?」


 「いいえ姉さま、聞いて下さい。」


 シフォンは、神妙な面持ちで、重い口を開いた。


 「お父さま、お兄さまには悪いのですが・・・・わたしは、宮廷魔導士には成りません。旅に出ようと思ってます・・・・反対されたらクレアの家を出てでも行こうと思ってます。出来れば認めて貰いたいです・・・・」


 姉も神妙な面持ちで聞き返す。


 「・・・・シフォンちゃんが旅に出たいのは分かりましたが、ちゃんと旅に出たい理由を話さないとお姉ちゃんも賛成できない。」


 「うん、だから聞いて姉さま、ううんお姉ちゃん!」


 シフォンは、旅に出たい理由を語り始めるのだった。




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