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all breaker  作者: paruseito
第Ⅱ章-Ⅱ ルースダム編
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呪言

 シフォンたちの前に現れたサリエスたち。


 「どうして、ここに・・・」

 驚きを隠せないシフォンたち。


 覆い隠す霧ハーミットミストは完璧だったはず・・・


 サリエスは、笑みを浮かべて言う。


 「私に認識阻害の魔法は効きませんよ。」

 「サリエスお前が見つけた訳ではないだろ。」

 「私が命令してあなたが見つける。うん。私が見つけたのと変わらないじゃない。」

 「どーしたらそーなる。」


 「さあ、あなた方。今度こそ私のお話しを聞いてもらいますよ・・・・・・

  人数が増えてますけど、丁度いいですね。」



 「シフォンさん。もう一度やるわよ。今度は二人で・・・」

 「多重にかけるのですね。わかりました。」


 「嬢ちゃんら・・・もう無駄だ。わしには認識阻害は効かんし。

  既にこの辺り一帯に人で固めておる・・・」


 「そんなまさか・・・」

 シフォンたちは、周囲を見渡すと、道の節々に人で壁が築かれていた。

 「ほんとだ・・・これじゃ、逃げ出せない。」


 「サンカルロ。この方々にも聞ける姿勢にして差し上げてくれます。」

 「ああ・・・と、言いたいところだが・・・そうもいかないらしい。」

 「私の命令が聞けないの?」

 「そうじゃない・・・わしには相手をしなければならん奴がおる。それに、お前ならわしがやらんでも自分の力でどうにでも出来るだろう。」

 サリエスは、腑に落ちないといった表情を浮かべた。

 「私には、その様な力などありませんが・・・」

 「全く・・・相変わらず自覚がないのか・・・」

 サンカルロはあきれ顔をしていた。


 「まあいい・・・わしは奴とやり合う。」

 「ヤツ?誰ですかそれ。」

 「ほれ、そこにおるだろ。」

 サリエスは、辺りを見渡すがシフォンたちしか見当たらない。

 「あの方たちの中にいるのですか?」

 「そこおるではないか。」

 サリエスは困惑する。それはシフォンたちも同じだった。

 サンカルロにはその男の姿をはっきりと捉えていた。



 「しかし、君たちは、面倒ごとに巻き込まれるなぁ・・・」

 毎度のことながら唐突に姿を現したジェイド。


 「いつの間に・・・あなた何者?」

 「ん!?今、何者って言ったよね。」

 「ジェイドとやら、わしらがやるには、ここでは狭すぎる場所を変えようぞ。」

 「いや、その前に名乗りをだな・・・」

 「さあ、行くぞ!」

 サンカルロはジェイドの首根っこを掴み場所を移動しようとする。


 「ちょっとサンカルロ!命令します。ここに居なさい。」

 「サリエス。それは聞けんな。そこの者どもはお前さんでも、どうにもできる。でも、こやつはそうはいかん。」

 「その方はそれほどの相手だと?」

 「ああ。」

 「・・・仕方ありませんね。あなたが後れを取るとは思えませんが・・・負けは許されませんよ。」

 「わしが負ける訳なかろう。」


 サンカルロは、ジェイドを連れ姿を消した。


 残されたサリエスは、シフォンたちに語りかける。

 「さあ、あなた方。聖十字教の教えを説きましょう。」

 「結構です。」

 シフォンは、間髪入れず断るのだが、サリエスは、お構いなく話しをしようとする。


 「シフォンさん。彼女一人ですし無力化して逃げましょう。」

 「それしかないでしょう。」


 「あら、いけませんね。《ここに居なさい》」


 そのサリエスの一言でシフォンたちの動きが止まった。


 「なんなんだこれは?体が動かない・・・」

 「・・・手は動かせます。しかし、ここから動くことが出来ません・・・」

 「私の話しを聞く気になられたのですね。」

 「あんた、何をしたのよ!」


 「何を言っているのですか?私は何もしてませんよ。」


 「ヤハリ、コレハ、ジュゴンデース。」

 「あなたは、何を恐ろしいことを言っているのですか?」

 「ワタシ、ホントーノコトイッテマース・・・」

 「どうやら、あなたが一番信仰心が足りないようですね・・・ああ、なんて嘆かわしいことでしょう。私が改心させてあげましょう。」

 「マニアッテマース!」


 サリエスは、シルクに狙いを定め、彼女の前に立ち祈りを捧げ始めた。


 それを尻目にシフォンとコリーダは、魔法で拘束を解こうとしていた。


 「状態異常解除の魔法を使っているのにこの拘束、解除できませんわ・・・シフォンさん。あなたの方はどう?」

 「わたしの方も無理みたいです。ただの状態異常では無いのかも・・・」

 「そうなると、シルクの言ってる通り、呪言なのかも。」

 「呪言かどうかは別として、強烈な暗示じゃないかと・・・。」


 「暗示だとしたら、どうしたら解けるんだい?」リチャードが言葉を挟む。

 「痛覚を刺激すれば或いは・・・。」

 「だったら簡単だな。私がリチャードを殴ればリチャードの暗示が解けるって訳だな。」デービットが言う。

 「なんで、僕が殴られる前提なんなんだい。」

 間髪入れずにデービットは、リチャードを殴った。

 鈍い音がするとリチャードはぶっとばされ、地面に這いつくばった。

 リチャードは気を失った。

 その状況に気づいたサリエスが一旦、シルクからシフォンたちの方に目を向けた。


 「あなた方、何をなされているのですか?」


 「デービットの馬鹿。加減ってものがあるでしょ。」

 「いやその・・・これぐらいしないと解けないと思って・・・」


 「仕方ありません。あなた方全員まとめて改心させてあげましょう。」


 「《跪きお聞きなさい》。」

 サリエスの言葉がシフォンたち掛けられる。

 シフォンたちはその言葉に抗いすぐに跪くことはなかったが、一緒に付いてきた少年はすんなりとその言葉に従った。

 少年の目は虚ろになり只々、その言葉に従順に従っている。


 「さあ、他の方々も《従いなさい》。」


 抵抗を続けていたシフォンたちであったが、デービット、コリーダ、シフォンと言う順に跪いて行く。

 最後まで抵抗していたシルクだったが遭えなく陥落した。

 その横で気を失っていたはずのリチャードがゴソゴソと動いていた。

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