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all breaker  作者: paruseito
第Ⅱ章-Ⅰ サンカレン編
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デービット失う

 裏路地に入ったシルクは、神族としての一面を表に出した。


 「ジェイチャンサン。今後ノ事デスガ・・・・」


 「おや?急になんだい・・・楽しいデートの途中で。」


 「次ニ行ク、ルースダム・・・私ノ掴ンダ情報デスガ、ウリエル様ノ勢力ガ何等カノ動キガアルカモデース。」


 「ウリエル・・・あぁ、天使長の一人か・・・」


 「ソレニ、魔族ニモ不穏ナ動キガアルヨーデス。」


 「ほう・・・なかなか面白そうじゃないですか。」


 「狙イハ、ジェイチャンサンカモ知レナイデスヨ。」


 「私?それはそれで面白いじゃないですか。」


 「マッタク・・・アナタッテ人ハ・・・」


 「それで、魔族って・・・どの勢力が動いているかも掴んでいるんだろ?」


 「・・・・・ウッドマンデース。」


 「これはこれは、益々、面白くなってきたじゃないですか。もしかしたら、魔族と神族の直接対決があり得るじゃないですか。」


 「ジェイチャンサンハ、楽シソウデイイデスネ・・・」


 「君は楽しくないのかい?」


 「私ニハ、私ノ役割ガアリマスカラ・・・面倒ゴトハ、ゴメンデス。」


 「まあ、本当の楽しみは別にあるけどね。」


 「別ノ楽シミ?」


 「彼らが、あそこで何を感じ、何をするのか・・・興味が尽きないね。」


 「彼ラ・・・シフォンサンタチノ事ヲ指シテイルノデスカ・・・」


 「君も含めてね。」


 「私モデスカ・・・・私ハ、私ノ成スベキ事ヲスルダケデスヨ。」


 「・・・・君は、シフォン嬢ちゃんたちことをどう思ってるんだい。」


 「ハイ?良イ、オ友達ダト思ッテマスガ・・・」


 「そう言うことを聞きたいわけではないんだが・・・・」


 「純粋ニ、オ友達デアリタイトハ思ッテイマス・・・シルク=アンブロワーズ トシテハ・・・」


 「神族としての君は、どうなのかな・・・」


 シルクは、その問いには答えなかった。


 次に向かうルースダムでは、何やら大荒れの予感が漂うのであった。



  ◆◇◆



 街のはずれの人けのない空地で独り鍛錬に励むデービットの姿があった。


 一心不乱に槍を振るうデービット。


  全然ダメだ・・・数日、鍛錬を休んでいただけなのに・・・気力体力共にガタ落ちだ・・・


  鍛錬だ鍛錬。過ぎ去った時間は戻らない。とにかく、一日でも早く元の状態に戻さねば・・・



 「デービット、デービット。」



 どこからともなく、デービットを呼ぶ声が耳に入って来る。


 「誰だ!私を呼ぶのは!」


 デービットは、辺りを見廻すが人影は何処にもなかった。


 「気のせいか・・・」



 「ここよ、デービット。」



 気のせいではない、確かにその声はデービットに届いていた。


 「何処だ!何処にいる!」


 改めて、周りを見渡すデービット。今度は、感覚を研ぎ澄ます。


  この声・・・何処からだ・・・・近くに居るのは間違いないのだが・・・気配を感じない・・・・それほどの強者か?しかし、今の声・・・どこかで・・・



 「こ・こ・よ♡」  



 その声をデービットが聞き取るのと同時に目の前に女が姿を現した。


 「き、貴様は・・・・ユーワ!」


 ユーワは、不気味な笑顔を魅せながらデービットに近づく。


 「あら?何時から呼び捨てされる様な仲になったのかしらデービット。」


 「貴様は、今や敵だ!」



 「悲しいわね・・・クラスは違うけど、学院の同級生じゃない。」


 「・・・・その同級生を貴様が殺したのを忘れたか!」


 「あら?そうだったかしら・・・」


 「貴様ぁ!」 デービットは、槍を構え臨戦態勢をとった。


 「止めときなさい・・・あなたでは、私をどうすることもできないでしょ。」


 「そんなことは、わかってるさ!それでも、戦うが漢ってもんさ。」



 「ふ~ん・・・どうでもいいけど・・・・それより、あなた・・・この間、領主の屋敷に来なかったわね、どうして?」


 「貴様には、言う必要はない!」


 「ふぅ・・・嫌われたものね。」


 ユーワは、更にデービットに近づくと、ピタリと密着した。


 「き、貴様・・・何をする・・・」


 ユーワは、自分の胸を押し当てる様にデービットの身体に擦りつける。


 「うわわぁぁ・・・何を・・・」


 こう言ったことに免疫のないデービットは、あたふたしていると、甘い匂いがデービットを包んでいた。


  なんだ、この香りは・・・頭がクラクラしてきた・・・それに・・・・柔らかいこの感触・・・



 「ねえ、デービット。私といいこと・・・しない?」


 「・・・馬鹿なことを・・・・言うな・・・」


 「知らないんでしょ?教えてあげる・・・・」


 デービットは、手に持っていた槍を落とし、脱力感が支配した。デービットは、ささやかな抵抗するものの、ユーワのなすがままに・・・。



 「ほら、こんなに大きくなってる・・・欲しいんでしょ?」


 「やめろ・・・やめるんだ・・・・」


 「体は正直・・・欲しいって言ってるわよ・・・」


 「そんなことは・・・言って・・いな・・い・・」


 「フフフ・・・頑張るじゃない・・・私の魅了≪チャーム≫に抗うなんて・・・・と言っても時間の問題・・・あなたの初めて貰うわよ。」


 ユーワは、デービットの唇を奪い・・・・。


  こんなに柔らかいものなのか唇と言うものは・・・・何も考えられなく・・・・



   ◇◇◇



 「ウフフフ・・・なかなか楽しめたわよデービット。これで、あなたは、私の手駒・・・・私の合図で言いなりになる・・・」


 ユーワが邪悪な笑みを浮かべるなか、デービットは、幸せそうな顔で眠っていたのだった。

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