サンカレン修道院
サラサは、話しを終える。
「サラサさん。まだ、馴初め的話しが聞けてません。」
シフォンは、サラサに食下がるのだが、サラサは、大きく一つため息を吐くと・・・
「シフォンさん。やはり、それはあなたのお父様に聞くべきだと思います。私は結局、何も知らないのですから・・・」
サラサは、どことなく寂しそうだった。
「・・・・わかりました。今日は、諦めます。・・・・何時か、話してくれると嬉しいです。」
「ところで、シフォンさんも伝説記に興味がおありなのですか?」
「はい。母と約束しましたから・・・わたしが伝説記を探し出すって・・・その為の旅でもありますから。」
「そうでしたか・・・・だったら、私の権限で展示室の見学を許可しましょう。」
「とても嬉しいのですが、それには及びません。わたしは、正規のルールで見学させてもらいます。」
サラサ、ちょっとだけ驚いていた。
「アリスの子なのに、厚かましくないのね、あなたは・・・・性格は似なかったのね。」
「公爵家として相応しい行動をしているだけです。」
「・・・・ドラゴニアの貴族は誇り高いと言われてましたが、本当でしたね・・・・こちらの貴族ときたら権力を振りかざす者ばかり・・・・・あなたは、良い育ちをされたのがわかります。」
「・・・・ありがとうございます。」
その時、サラサは何かを思い出したようで。
「そう言えば、アリスが一度だけあなたのお兄さんを連れて図書館に遊びに来たことがあったわね・・・・お姉さんはまだ小さくて連れては来なかったて言ってたわ・・・・・もしかしたら、お腹の中にあなたがいたのかも・・・・妊娠してるとは言ってなかったけど。」
「そうなのですか・・・」
「そう・・・その時が私がアリスの姿を見た最期でしたね・・・・」
シフォンは、サラサに何も声をかけられなかった。
シフォンは、程なく館長室を後にすると、コリーダとリチャードと合流した。
「どうだった?いい話しは聞けたの。」
「はい。母との思い出話を聞かせてもらえました。」
「よかったじゃないか~」
「わたしの知らない母を知ることができました・・・・」
「どうしたの?浮かない顔して・・・」
「わたしの母のイメージとサラサさんの語ってくれた母とのギャップが・・・その・・・」
「子供の頃の記憶は、美化されるって言うし、現実を知るサラサ館長の話しと喰い違うのは、当然と言えば当然よね。」
「知らなかったことを知るのは良い事だと思うよ~僕は・・・」
「そうですね・・・・まだまだ、母については知らないことがあると思いますし・・・知らないこと知っていこうと思います。」
シフォンは、気持ちを新たにするのだった。
◆◇◆
一方、シルクとジェイドは、デート?をしていた。
サンカレンのはずれにある風光明媚な建物があった。図書館ほど有名ではないが、それなりの観光スポット・・・・サンカレン修道院。
そこは、ルースレス王国の国教、聖十字教の教会でもあり、多くの聖職者の住まいであり、身寄りのない子供たちが生活する施設でもあった。
そう、ここは、アリスとサラサが育った場所だ。
「オモテガワハ、キレイ デスネ。」
「まあ、どこにでも光と闇があるものさ・・・」
「イッパンコーカイ サレテナイ バショハ、アマリッテ カンジデスネ。」
「さて、こんな所に連れてきてなにがしたいんだい?」
「ジュンスイニ デート デスヨ。タノシミマショー。」
ジェイドとシルクは、サンカレン修道院の一般公開されている箇所を散策する。
「しかし、神族が人が崇める神に興味があるのかい?」
「ジェイチャンサン、ヒトノアガメル カミハ・・・・ハグレノ シンゾクデース。」
「へ~・・・そうなんだ・・・」
「ナンラカノ リユウデ シンゾクヲ ツイホウサレタ モノガ ヒトニ キセキヲ ミセテ カミトシテ アガメサセタト イイマース。」
「・・・・神族の技術と言う奇跡か・・・・」
「コノクニノ アガメルカミ・・・ペルーサ・・・シンゾクジダイハ、サイノウニアフレタ イツザイ デシタガ・・・・ソレハ、ワカカリシトキダケノコトデシタ・・・・ノビナヤンダ カレハ テンカイヲステ チジョウニ クダリマシタ・・・・トウジノ サイシン ギジュツノスイヲ アツメテツクラレタ エンジェルアーマーヲ モチダシテ。」
「ふ~ん・・・」
「・・・・キョーミナサソウデスネ・・・ヤメマショウ・・・・モウ、ダイセイドウニツキマスシ。」
サンカレン修道院の大聖堂に入った二人。聖堂内は、信者や観光客でにぎわっていた。
「ほう。これが大聖堂の天井絵か・・・」
「スバラシイデース。」
「そうか?」
「ジェイチャンサン。ハンノウ ウスイデース。」
「美術には興味ないんでね・・・・それにここは・・・輝いていない・・・」
「カガヤイテイナイ?ドーユーコトデスカ?」
「・・・・物や事象には、輝きってものがある・・・・ここには、それを感じない・・・・みせかけ、本物じゃないってことさ・・・・」
「コンナニ キレイデ スバラシイノニ?」
「・・・私にとってはってことさ。他の人がどう感じ様が知ったこっちゃあない。君が素晴らしいと思うならそれはそれで正解なんだよ。」
「ソウデスカ・・・・」
二人は、サンカレン修道院の見学を終えると人けのない裏路地へと入って行く。
そして、シルクのもう一つ顔がもたげる。