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all breaker  作者: paruseito
第Ⅱ章-Ⅰ サンカレン編
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サラサとアリス

 シフォンとコリーダ、リチャードは、図書館にやって来た。シフォンの目的は、サラサと会い、母アリスの話しを聞くことだ。


 シフォンは、サラサを訪ねると館長室に通される。


 コリーダとリチャードは、気を使いシフォンとサラサの二人きりで話しができる様、自分たちの興味のある分野の本を読みに行った。



 シフォンとサラサは、館長室内の応接用のテーブルの席に着くと話しを始める。


 「サラサ館長、今日はありがとうございます。お言葉に甘えてお話をお伺いしにきました。」


 「そんなに、かしこまらなくて良いわよ。」


 「そう言う訳には・・・」


 「あの子とは、姉妹みたいな間柄なんだから、そんなに、気にしなくていいのよ。」


 「そうなんですか・・・では、サラサ館長。お話しを聞かせた下さい。」


 「サラサで良いわよ・・・・さて、どこから、話しましょうか・・・」


 「サラサさんは、先程、母と姉妹みたいな間柄と言ってましたが、母とは、子供の頃からの知り合いだったと言うことですか?」


 「そうよ。アリスとは、同じ施設・・・教会で育ちました・・・」






 アリスと出会ったのは、私が10歳ぐらいの頃だったかな・・・・


 旅商人に連れられて一人の黒髪黒い瞳の少女が教会にやって来た。


 「すまない、シスター。この子の面倒をみてくれはしないか?」


 「どうしたのですか・・・この子は?」


 「プリークネスの森で迷子になっている所を保護したんだが・・・・この子、記憶がないんだ。」


 「まあ、大変。親御さんはさぞ、心配なされてる事でしょうに・・・」


 「サンカレンに連れては来たが、髪色からドラゴニアの子じゃないかと思うんだが・・・」


 「あら、なら何故、こちらに連れて来たのですか?」


 「連れて行ったさ。でも、向こうの答えは・・・・」


   そんな子は、我が国では、見たことがないし、迷子や行方不明の子もいない。


 「だから、こっちに連れて来たんだが・・・・向こうも、もう一度、調べてはみるとは言ってたが・・・」


 「それで、うちに連れて来たのですね・・・・わかりました・・・困っている人を放っとけませんから・・・」


 「ありがとう、シスター。よろしく頼みます。」


 商人は、少女を預けると仕事に戻って行った。シスターは、少女の前でしゃがみ同じ目線で話しを聞いた。


 「あなた、お名前は?」


 「・・・わからないよ・・・・でも・・・・アリス・・・って言葉は覚えてるの・・・」


 「アリス。良い名前じゃない。」


 「あたしの名前なのかなぁ・・・・」


 「きっと、そうよ。親御さんがみつかるまで、うちに居れば良いですよ。」


 「うん・・・・。」


 シスターは、アリスを連れ教会の中に入って行く。中に入るとシスターは、一人の少女を呼んだ。


 「サラサさん、サラサさんはいませんか。」


 気怠そうに一人の少女が現れる。


 「なんですか?シスター・・・」


 サラサは、シスターの横にいる少女を見て察した。


 「あ、私、用を思い出したんで、失礼します・・・」


 「待ちなさいサラサさん。用なんてないでしょ・・・・この子はアリスさん、今日からしばらくの間、うちで預かることになったの・・・・サラサさん。あなたが、アリスさんの面倒をみてあげて下さい。」


 あからさまに嫌そうな顔をして口答えするサラサ。


 「なんで、私なんですか?他の人でいいじゃないですか?」


 「サラサさん。アリスさんは、あなたと年も近いですし、良いお友達になれると思いますよ。」


 「別に友達なんて必要ないし・・・・」


 「とにかく、頼みましたよサラサさん。」


 シスターは、サラサにアリスを託すと、教会の雑務をこなしにいってしまう。


 サラサは、渋々ながらもアリスに教会内を案内した。




 サラサは、一通り案内し終えると、アリスに質問した。


 「あんたも、親に捨てられたの?」


 「親・・・・いたのかなぁ・・・あたしにも。」


 「何、あんた、親がいなかったの・・・・悪いこと言っちゃったわね・・・」


 「ううん・・・覚えてないだけ・・・・」


 「覚えてないって・・・・どう言うこと?」


 「・・・・・気づいたら、森の中に一人でいたの・・・・覚えていたのは、あたしの名前らしき言葉・・・アリスってことだけ・・・」


 「記憶喪失ってやつ・・・・初めて見たそんな人・・・・記憶喪失なのに言葉は話せるんだ不思議。」


 「うん・・・なんでだろう・・・」


 「・・・・・しょうがないわね、私があんたの面倒みてあげるからね、感謝しなさい。」


 「うん。ありがと・・・」


 何、何、この素直な子・・・可愛い・・・・



 それが、私とアリスさんとの出会いでした。


 アリスさんの親御さんは結局、みつかりませんでした。そして、記憶も戻ることもありませんでした。


 私は、アリスさんの面倒をみるうちに、だんだんと親近感の様なもの感じるようになっていった。


 私は、本を読むのが好きで一人で読んでいた時のこと。


 「サラサ。あたしも本、読みたい。」


 「別に読めばいいじゃない?」


 「うん・・・そうなんだけど・・・あたし、文字が読めないから・・・・」


 「ふーぅ。要するに、私に文字を教えて欲しいってこと。」


 「うん。教えてよサラサ。」


 「わかったわよ。ちょっと、待ってなさいな。簡単な本を探してくるから・・・」


 サラサは、文字の読み方を教えるために適当な本を探しに行くのだった。

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