表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
all breaker  作者: paruseito
第Ⅱ章-Ⅰ サンカレン編
104/280

サンカレン

 シフォンは、幽霊との会話を試みる。


 「あなた、この本を返して欲しいのでしょ?だったら、わたしと話しをしましょう。」


  かえせ・・・かえせ・・・それをかえせ・・・・


 「やっぱり、無理だよ~。会話なんて・・・」


 「大丈夫、会話は成立します・・・・あなたの話しを聞きたいの・・・・あの人のことを・・・。」


  あの人・・・・あの人ぉぉぉ・・・・


 シフォンは、本を掲げながら幽霊に近づいて行く。幽霊の挙動が止まる。


 「これは、返すわ・・・大事な物なんでしょ。」


 本を手渡そうと幽霊に差し出すと、その本が幽霊に触れると、キラキラと昇天するがの如く消えてなくなった。

 そうすると、幽霊の形相が優しく変わる。


  ありがとう・・・・これを見つけてくれて・・・・大事な大事な、想い出・・・


 「良かったですね・・・・あなたは、何故、幽霊に?」


  わかりません・・・・私は静かに眠っていただけでした・・・ある時、どす黒い何かが私の中に入って来たのです・・・・


 「・・・・あの、封印魔導書の影響ですか?」


  ・・・・あれは、魔族の呪いが込められた魔導書・・・ただ・・・それだけでは、理性を失うこともなかった・・・・


 「どう言うことですか?何か別の要因があったのですか?」


  ・・・・現れたのです・・・あの・・・男が・・・・


 「あの男?あの人と一緒に居たと言う。」


  ・・・私は、歓喜しました・・・あの男が居ると言うことは、あの人もと・・・・


 「・・・あの人とは会えたのですか?」


  いいえ・・・あの人は居ませんでした・・・そう、居るはずが無いのです・・・何年たっているとお思いですか・・・・


 「伝説の時代ですよね・・・」


 ・・・伝説の時代かどうかは知りませんが・・・何百年、何千年か昔のことのはずです・・・・


 「伝説の時代には、千年前説と三千年前説がありますが、はっきりとは、わかっていません。」


 ・・・・私が目覚めたのは・・・あなたたちの言う15年位前です・・・・どす黒い何かが入ってきて・・・・私は、必死に抗っていましたが・・・・10年前でしょうか・・・・あの男が図書館に現れたのです・・・・


 「10年前・・・あの男・・・・」


 ・・・・私は、あの人を捜しました・・・・けれども・・・あの人は居ませんでした・・・・あの男は他人の空似かとも思いました・・・・でも・・・あの姿・・・見間違えるはずがない・・・・・私は、激情に駆られて・・・・どす黒い物に支配されてしまったのです・・・・


 「それで、理性を失ったと・・・」


  ・・・・それでも、私は耐えていました・・・・完全に支配されてしまったのは・・・つい最近の事・・・・また、あの男が一人で現れたからです・・・


 「・・・・あの男・・・なにか心当たりが・・・」


  ・・・・それにしても・・・あなた・・・どことなく、あの人に似てるわね・・・・


 「わたしがですか?」


  ・・・・ええ・・・・それこそ、他人の空似ですね・・・・


 「そうだ、呪いは・・・」


  ・・・それは、大丈夫・・・あなたたちが魔導書を切り裂いて・・・呪いの効力はなくなっています・・・・


 「良かった・・・」


  ・・・・そろそろ・・・逝きますね・・・・いつまでも、ここに留まる訳にはいきませんしね・・・


 「待って下さい・・・・アリスと言う司書を知っていませんか?」


  ・・・アリス?知りませんが・・・・そうだ、あなたに似た子は見たわね・・・・目覚めたばかりの時に・・・・あの魔導書がここに運び込まれたあの時に・・・


 「・・・・何か知りませんか?」


  ・・・・私に言えることは・・・その時にその子は、呪われたってことぐらい・・・・


 「どうして、呪われたのですか?」


  ・・・・魔導書が運び込まれた時・・・誤ってその魔導書の入った包みが落ちてしまったの・・・その時、近くに居た者たちが呪われたの・・・その中にその子も居たのです・・・・


 「・・・・他になにか・・・」


  ・・・・ごめんなさい・・・これ以上はなにも・・・・


 居ても立っても居られなかったのかサラサが幽霊に質問する。


 「あなたは、始まりの司書カレン様なのですか?」


  ・・・・始まりの司書かどうかは知りませんが・・・私はカレン・・・・何故かは知りませんが・・・おひさまのカレンと呼ばれてました・・・・


 「おひさまのカレン・・・・」


 「なるほど、それで、サンカレンなのか~~。」


 「ありがとうございました。カレンさん。母のことを教えてくれて・・・・」


  ・・・・ありがとうは・・・こっちの台詞ですよ・・・本を返してくれて・・・・


 カレンは、スーッと消えて行く。


 「あっ!待って!まだ、聞きたいことがいっぱいあるんです!」


 サラサの呼び止めるも、そのままカレンは逝ってしまうのだった。


 「逝ってしまいましたわね・・・・」


 「スゴイ、ケイケン シマシタ・・・ユーレイサント カイワガ、デキルナンテ。」


 「君は、話してなかったろシルクくん。」


 「ソレ・・・イイマス・・・・」


 「これで、デービットさんの呪いも解けているはずですね・・・」


 「確認しに宿屋に戻りましょう!」


 この時、気絶していたモノノベが目を覚ます。


 「あつつっっ・・・おや?幽霊がいない・・・・」


 「モノノベ先輩。幽霊問題は片付きましたので・・・・」


 「はは~ん・・・モノノベ流陰陽術が効いたのだな・・・うんうん。」


 「・・・・・・・・・・」

 「・・・・・あ、はい。」


 「わーははははぁぁ・・・これにて一件落着!」


 結局、この幽霊騒動は、モノノベが解決したことに表向きはそうなった。モノノベの知名度は上がり、ますます、天狗になったとか・・・・

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ