13 俺が、私が、あなたを守るっ!
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ラスフィードとライトハルクは、魔法媒体の剣を抜き、魔法を発動させる。
「眩き光、現れよ!ライトアロー!」
眩く輝く光を、ライトハルクは矢に変化させラスフィードの左肩を狙う。
「暗き闇、現れよ!ダークソード!」
ラスフィードは、自らの剣に闇の魔法を纏わせ、ライトハルクの光の矢を払い落としながら、距離を詰めていく。
「眩き光、現れよ!ライトソード!」
ラスフィード同様、剣に魔法を纏わせ、ライトハルクもラスフィードとの距離を詰める。
先にしかけたのは、ラスフィード。
纏わせた闇の魔法を振り払うようにして、ライトハルクの周りを闇で覆い隠す。
視界が悪くなったところですかさず右肩を狙い斬りかかる。
「荒ぶる風、現れよ!ウィンドカッター!」
肩に触れる直前に、ファイアリが風魔法を発動させ、ラスフィードの剣を弾く。
魔法の反動で、ラスフィードは後ろに弾き飛ばされる。
「彼のものを包み込め!ウィンド!」
クレアフューナは、テニスボール大の風をラスフィードの体を包めるように薄く広げ、ファイアリの魔法反動を和らげる。
もちろん、ファイアリの魔法を相殺することは出来ないが、ラスフィードへの衝撃ダメージを軽減することは出来た。
発動して出せるようになったのは、テニスボール大ではあるがそれを最大限に活かせるよう、クレアフューナは魔法イメージを最大限に思い浮かべる。
『私だって、御影双葉の時にたくさんのラノベを読んで、魔法想像力は豊かなのよっ!』
それもそれで悲しい気もしなくはないが、今ラスフィードの助けになるのなら構わない。
周囲は、クレアフューナが魔法を発動させたことに驚きを隠せない様子で、少々混乱していたが、ここ暫くで培われたスルースキルを発動させて、指にはめた指輪に魔力を込める。
何かくると察したライトハルクは、ラスフィードが態勢を建て直す前にと魔法を発動させる。
「眩き光、現れよ!ライトアロー!」
ラスフィードに放った魔法と同じものを発動させ、クレアフューナ目掛けて襲いかかろうとするが、クレアフューナはそれらを軽々と避けてラスフィードのもとへ辿り着く。
「特訓の成果が出たな、クレア」
ラスフィードの言葉に、クレアフューナは得意げな笑顔をラスフィードに向ける。
これまでの特訓は何も魔法だけではなかった。
戦闘訓練として、ラスフィードから体力強化と簡単な護身の動きを習っていた。
明らかに自分と婚約していた時とは違う存在に、ライトハルクは戸惑い驚きを隠そうともしない。
クレアフューナは、指輪を掲げ魔法を発動させようとするが、ファイアリの炎の矢がクレアフューナの手を掠める。
「あつ…っ」
「クレア!」
「肩を狙ったはずでしたが、少々ずれてしまいましたわね」
杖を構え直し、再び魔力を込めようとする。
クレアフューナは、ラスフィードに視線で合図し、ラスフィードから離れていく。
ラスフィードも立ち上がり、ファイアリ目掛けて走る。
ファイアリは、1歩後ろに下がるも足がすくんで動けない。
「もらった!」
「させるかっ!」
ファイアリの左肩を狙ったが、寸での所でライトハルクに受け止められる。
間に合ったと少々どや顔のライトハルクに、ラスフィードはライトハルク以上のどや顔を見せる。
「何を、笑って……っ!?」
顔をしっかりと上げ、ラスフィードに話しかけると、言葉を遮るように風の矢がライトハルクの左肩に命中する。
バックステップで距離を取りに、ラスフィードはクレアフューナのもとへ戻る。
「矢への変化、成功したな。クレア」
「はいっ!」
クレアフューナ・ラスフィード組が先制すると思っても見なかった生徒達は、歓声を上げた。
その様子が気にくわないライトハルクは、声を上げて叫んだ。
「なぜだ!クレア!」
「ライトハルク王子?」
急に名前を呼ばれたクレアフューナは、首をかしげて見つめる。
ラスフィードは、クレアフューナの1歩前に立ち、剣を構える。
「なぜ、その力を俺と婚約していた時に発揮しない!」
「ならばなぜ!クレアに力を貸そうとしなかったのだ!ライトハルク王子!」
ライトハルクの問いかけに、ラスフィードが更に問いかける。
ラスフィードは知っている。
婚約解消される前も、1人練習していたことも。
解消されてからは、人が変わったように一生懸命に勉強し、人一倍練習していたことも。
毎日毎日、魔力量が膨大だと言われているクレアフューナがふらふらになるくらいに、頑張っていたことも。
「貴方には、クレアと呼ぶ資格はない!」
「お前に何がわかるっ!」
「俺にしかわかるものかっ!」
パートナーになってから、ずっと側にいたラスフィードしか知らない、誰にも知られたくない。
「俺が、クレアを守るっ!」
ラスフィードは魔法を発動させ、ライトハルク目掛けて放つ。
その魔法呪文は、クレアフューナをも驚かせるものであった。
「彼のものを切り裂けっ!ダークソード!」
ラスフィードの魔法は、既存呪文構成のものよりも威力が増し、ライトハルクに襲いかかった。
魔法はライトハルクの両膝にあるセンサーを破壊した。
「…これ以上、好き勝手になんてさせませんわっ!」
すっかり忘れていたファイアリの存在を、己自ら証明し、意識を自分に向けさせる。
ファイアリの杖には、膨大な魔力が集まっており、ファイアリの顔は青白かった。
「トロイメンツ!その魔法は危険だ!」
試験官の教師が、大声で叫ぶが時はすでに遅かった。
「ルビーの名のもと、燃え盛る火よ、現れよ!エクスプロードっ!」
放たれた火の魔法は、クレアフューナ達目掛けて飛んでくる。
教師生徒は、恐怖の悲鳴を上げながら逃げていく。
ラスフィードはクレアフューナを守るように抱え、反魔法で威力を弱めようとする。
しかし、クレアフューナはラスフィードの前に立ち、全魔力をチョーカーと指輪に込めた。
「クレアっ!危ない!下がって!」
「私が、ラスフィを……守るっ!」
指輪から発する光は、虹色に瞬き、クレアフューナはファイアリが放った魔法目掛けて、全魔力を放出した。
「彼のものを守りたまえっ!プロテクションっ!!」
虹色の光が、辺り一面に広がりそして人々の視界を真っ白に染め、ラスフィードの声が響き渡る。
「クレアぁぁっ!!」
そして、とてつもない爆発音が辺りを轟かせた。
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