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9 特訓報酬はキス?

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「さて、特訓を始めるか」

「よろしくお願いします!」

クレアフューナは左手を前に差しだし、魔力放出を始める。

昨夜、2人で今後について話した結果、まずは事故の時に発動した防御魔法…あの魔法を再度使うことから始めることにした。

この世界の魔法はほぼ攻撃魔法であり、あとは能力付与や生活を便利にするものばかりだと、ラスフィードの話でクレアフューナは学んだ。ちなみに傷やケガなどは薬剤師の作るポーションであり、これこそ転生物ラノベお決まりアイテムと心踊らせたことは、ラスフィードには秘密だ。

クレアフューナが使おうとしている防御魔法は、理論上でも解明されていない魔法の為、図書館にも本などはなかった。しかし、今自分に出来ることはこれしかない。学期末までに属性をものにすることが難しいことくらい2人はわかっていた。

だからこそ、この防御魔法を成功させるとクレアフューナは意気込んでいた。

「…彼のものを守りたまえ!シールドっ!」

クレアフューナ自身が作成した呪文を唱えると、左手で放出していた魔力が少しだけ反応を示し、ピンポン玉サイズの小さな透明な光のプレートがクレアフューナの手のひらに落ちた。

「…プラスチック?」

「クレア、見せて?」

クレアフューナの小さな呟きはラスフィードの耳には届かず、変に突っ込まれることがなくてバレないように小さな安堵の溜め息をつく。

ラスフィードはクレアフューナから渡されたプレートを見つめ、あの時自分達を守った光と同種類であることに気が付く。

あの事故の時は、あまりの眩さにしっかりと見ることが出来なかったが、その性質は覚えていた。

暖かな、優しい、魔力の塊のような、光の壁。

今、ラスフィードの手にあるものは、この間のものに比べ質は下がっているが、性質は同じだった。

「うん、いい感じだクレア」

「本当っ!」

安堵の表情を見せるクレアフューナの頭をそっと撫で、そのままラスフィードは手をクレアフューナの頬まで撫でながら下ろしていく。

どうかしたのと聞きたそうな表情で、クレアフューナはラスフィードを見つめる。

その視線ににっこりと笑いかけ、顔をゆっくりとクレアフューナに近付けていく。

「ご褒美、頂戴?」

「え!…んんっ!?」

優しい笑みから、いたずらっ子のような笑みに変え、クレアフューナの答えを聞かずにラスフィードは唇を重ねた。

短めのキスであったが、誰かに見られたらとクレアフューナは顔を真っ赤にしながらラスフィードの胸を押す。

ラスフィードは笑みを絶やすことなくクレアフューナから離れると、右手の人差し指を立て、最高の笑みでクレアフューナに告げた。

「クレアが魔法を成功することに、1回キスね」

「えっ!なんでっ!」

キスするのが嫌なのではなく、ただ恥ずかしいだけと急いで補足し、なぜキスをするのかとラスフィードに問いかける。

すると、ラスフィードはクレアフューナの練習に付き合っているのだからそれくらい報酬で貰ったっていいよね?とすぐに答えた。

確かに自分の時間をクレアフューナの為に使っているのだから、報酬を貰うことに異議はない。

しかしながら、その報酬がキスなんてそれでいいのかとクレアフューナは更に問いかけると、ラスフィードは真面目な表情に変え、

「クレアが好きだから、それは特別な報酬だ」

と答えた。

その瞳はあまりにも純粋で真っ直ぐで、クレアフューナは恥ずかしいから駄目だと断ることは出来なかった。

そうして2限目の授業が終わるまでの間、ラスフィードは特別報酬を15回貰ったそうな…。


ー†ー


昼休み。

ラスフィードに内緒で自習室にやってきたクレアフューナは、こっそりと特訓を始めた。

防御魔法ではなく、属性魔法の特訓だ。

ラスフィードとは、いつかは属性魔法を使えるようになるかもしれないが、学期末試験までには間に合わないと結論付けている。

しかし、学期末試験は模擬戦形式で行う。光属性のライトハルクに火属性のファイアリ。どちらも攻撃的な属性だ。

ラスフィードの闇属性も攻撃的属性ではあるが、2対1では明らかに火力不足。

その火力不足分を少しでも補うには、自分の力が必要だ。

「せめてトロイメンツさんに対抗するための、水属性だけでも…身に付けたい」

クレアフューナは左手を前に差しだし、頭の中で水を浮かべ呪文を唱える。

「潤す水、現れよ!アクア!」

イメージは良かったはずだが、反応は見られなかった。前回の失敗があったので精神的なダメージはなかった。

問題はここから。どうやって水属性の魔法を成功させるかという所である。

防御魔法が成功したのは、きっと転生者特有のチートのおかげだとクレアフューナは冷静に分析した。もちろんラスフィードには内緒で。

「まだ上手くいかないのは、今までの私の勉強不足と練習不足が問題だから…頑張ればものには出来るはず…」

では、属性魔法が出来ないのはなぜか?本当に属性がないことが問題なのだろうか?

「考えるんだ…私。真面目だけが取り柄なら、考えて…答えを……」

防御魔法にあって、属性魔法にないもの。

自分の属性以外で何か…。

しばらく考えていると、昼休み終了5分前の鐘がなる。

急いでお昼ご飯を口に詰め込み、5限の教室へ向かう。

「次の授業は、呪文構成学だったわね………。あれ?」

教室の扉の前でクレアフューナは1つの答えを見つける。

「…防御魔法の呪文構成は、私のオリジナルだわ」

次も早めにあげられますように…(泣)

頑張りますっ!

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