15. 伯爵令嬢の困惑
御爺様の御領地で実施してる、「視察」 に、くっ付いて行ってたの。 王都からのお願いの護衛任務は、期日前に解消になっちゃったからね。 ちょっと無茶したけど、皆、生き残ったわ。 ほんと、良かった。 まぁ、そのせいで、エルクザードと、マエーストロと、モリガンが私に張り付く事になっちゃけどね。
出来た余暇みたいな時間で、何をしてたかって言うと、御爺様の御領地の「経済活動」の視察。 ロッテンマイヤー女史の課題なんだよ。 御領地の経営状態を見守る事なんだけどね。 上手く、統治が進むと、御領の税収だって上がるんだもんね。 辺境領は本領の護りが本来の仕事だから、辺境領に住む人たちへの、本領からの直接徴税権も、届かないんだ。
本領に決まった額の税を納め、外敵から本領を護る。 コレが辺境伯家の役割なんだよ。 この辺境伯爵家だけじゃないよ、他の辺境伯爵家なんかも、同じだからね。
御爺様の領の経済を活性化させて、税収を上げない事には、何も出来ないし、王国を護る事すら出来ないもの。 まぁ、色々と画策して、お手伝いしてんのよ、私。 幹線街道の整備順序とか、水路の整備計画とか、新たな産業の勃興とか、商家に優遇を付けて 「公的」 な貿易を推進してるとか…… ね、色々でしょ?
余暇った時間を使って、その進捗状況を実際に見る為に、領内の各都市をミネーネ様のお供で行脚してるのよ。
御爺様の側近にして、侍従長のミネーネ様は渋い漢の人でちょっとドキドキ。 「赤鬼ミネーネ」の名前は、辺境領の中では有名なんだから♪ 何処に行っても、歓待、歓待。 でも、ミネーネ様、別に面白くもなさそうに、見てらっしゃるのよ。
” そんな事に時間を費やすなら、民を見なさい。 何に困っているか、何を欲しているか、何が有れば彼等がもっと働けるか。 それを「見」、「考え」、「実行」しなさい。 私に資金を使うなど、馬鹿げた事です。 その資金は民の為に使いなさい。 もし、貴方達が私の事を、喜ばせようと思っているのなら、民たちの「明るい笑顔」を私に見せてくれる事です。 いいですね ”
だってさ。 もう滅茶苦茶いい男。 流石、長年、御爺様の右腕って呼ばれてる事だけはあるわね。 戦場での働きも、兵站の整え方も、戦後処理も、何もかも一手に引き受けていた方だもんね。 見習わなきゃね。 ロッテンマイヤー女史も、一目も二目も置いているし、だからこそ、この余暇った時間を彼と一緒に居させてくれるんだもの…… 色々盗まなきゃねぇ、この方の「遣り口」をね。
面白い事にね、私の中の人………… レイさんも、彼と一緒に居るとドキドキしてるんだって。
《かっこいいわよねぇ。 こう、なんて言うか、男の魅力が溢れ出てる? みたいな。 ご婦人方も、子供達も、みんな虜になってるわよねぇ。 女子供に優しいうえ、男達には尊敬を集めててさぁ、その上、鬼の様に強い。 更に、たとえ敵であっても、一旦 降伏すれば、命の遣り取りをした相手って事で、きちんと遇しておられるんだものねぇ…… 何処まで、良い漢なの? ずっと、御側に居たいわぁ!!》
レイさん、殊、ミネーネ様の事になると、物凄く饒舌になるのよ。 たまに、ミネーネ様とご一緒の時に、レイさんをワザと呼び出すのよ。 もうね、私の中であたふたしてんのよ。 乙女よ、乙女!! いつも冷静で、思慮深いレイさんが、舞い上がっちゃうんだもんね。 そんなレイさんを感じるのも、私の楽しみでもあるのよ。
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視察から帰って来たあと、領都御城にて何やら騒動が起こってたの。 第二執事の人が、ミネーネ様を見つけると、一目散に駆け寄って、御報告されて居るのよ。 御爺様が応接室でご対応されているんだけど、何時にもまして、嫌悪感丸出してご対応されているらしいの。
何時 御爺様が、爆発されるか判らないって。
応接室での対応って事は、お客様なの? この時期、お客様なんて、予定に入って無かったよ? それに、本領の方がオーベルシュタット辺境領に来られるなんて事、無かったしね。 えっ? マジ? 本領のお貴族様が来たの? それも「お伺い無し」の、突然の御訪問なの? 無茶なさるのねぇ。
誰なんだろう?
第二執事さんの仰られる事には――― どうも、こないだの騒動で、御自慢の息子様が蟄居喰らったらしい、その御父様と、その御友人。
なんか物凄く文句を言いながらも、御爺様にお執り成しを頼んでいるみたい。 御爺様にお執り成しを頼むって事は、お執り成しの相手は やっぱり将軍様って事よね。 ヒルデ=マリアーク=ヒルデガンド侯爵閣下の御長男だったけ。 たしか………… 軍務長官って職に就いてたんだよね。 軍人さんの人事とか、兵站とか、王国本領軍の作戦を立てる部署だったような…… ヒルデガンド侯爵閣下の部下になるだっけか……
軍の組織の長で、お外には出ないで、アレコレ命じる人…… 生粋の野戦指揮官たる、ヒルデガンド侯爵閣下と違って、血を見るような事の無かった人かぁ………… だから、ヒルデガンド侯爵閣下の御裁断に、文句をつけて来てるんだね。 はぁぁぁぁ…… 溜息出ちゃったよ。
つまりは まぁなんだ、自業自得だから、ほっとくかぁ。 でもまぁ、帰館したから、その御報告はしとかなくちゃね。 御爺様に義務付けられてんだもの…… ちゃんと紐付けとかないと、どっかに飛んでくって、思われてんだもの……
「お客様の御対応の最中、誠に申し訳ございません。 フリージア、ただいま、ミネーネ様との、領内視察より帰ってまいりました」
「うむ、ご苦労であった。 詳細は後程聞く。 フリージア、こちらに来て座れ。 どうも、こ奴等と話が噛み合わん。 お前と、ダイストロから聞いた報告とは、全く違うのだ。 困惑して居る」
「と、言いますと? 何のお話で御座いましょうか?」
「つい先だっての、護衛任務だ。 お前に指揮を任せた、王国からの依頼の護衛作戦の話だ」
「あぁ、アレで御座いますか? 軍の統帥権を侵犯した、愚かな学生たちと、それを唆した、フルリンダル学院の教師たちの…… なにか、ご不明な点でも? 将軍様のご裁定は、すでに下されましたけれど?」
私の言葉で、一気に激昂する、軍務長官さん。 掴みかからん位に激怒してるんだよ。
「よくも、そんな世迷い事を!!! 息子程、出来た男は居らぬ!! ハリーストン殿下の御側に着く為にどれ程、努力をして来たか!!! 今回の事も、その延長だ!!! 学園の実習なんだぞ! 自らを鍛えに行く場だぞ!! その行為の何処が統帥権侵犯なのだ!!」
いや、あのね、その認識間違ってるよ? 学園の生徒達とかは軍組織と帯同してて、その軍にお世話になってる人達なんだし、云わば民間人。 で、あの場所は、魔物暴走警報が発令中の危険地帯。 訓練も軍の監視下で行われるって、命令書に書いてあったじゃん。
「それに、辺境領軍の展開が遅いのがそもそもの原因!! その責任はどうなっているのか!!!」
おい、集合日時の一日前に到着する事になってんたんだぞ? あいつ等の思惑で、それが前倒しになったばかりか、こっちに連絡も来てなかったんだぞ? 一日前行動して無かったら、お前ら魔物暴走に飲み込まれてた可能性が、物凄く高いんだぞ? 皆…… ハリーストン殿下も含めて、死んじゃってたんだぞ?
話に成らんなぁ……
軍人として、どうなの、コイツ。 話に成らん奴とは、話したくない。 というより、無視するに限る。 どうせ、辺境領軍の兵権だって、本領には無い。 辺境領軍は独自統帥権が認められているんだ…… それに、此奴にはちょっとした恨みもある。 例のお隣の国が攻めて来た時、一兵の援軍も寄越さないように、手配しやがったからな。
宿営地の大天幕の中で、ヒルデガンド侯爵閣下が、「済まなかった」と、頭を下げられてんだ。 お隣の国の侵攻の情報と 辺境領からの援軍依頼を、握り潰しやがったの、裏を取ってんだ! フン! 自業自得だ!!
だから私は、知らんぷり。 御爺様にした、詳細報告以外の真実なんざねぇよ。 そんな私の態度に、怒りを大きくしたんだ。 この馬鹿。 いきなり掴みかかってきやがったんだぜ? まともな神経してんのか? でもさ、私。 こんな事も有ろうかと、身体強化を掛けてたんだ。 その上、マエーストロにみっちり仕込まれた、暴漢対策の護衛術で難なく対処。
腕をねじり上げられた、バルバルド=イミーズ=ヒルデガンド伯爵閣下が、真っ赤な顔で怒り狂ってるのよ。 その様子をご覧になっていた、御爺様が大笑いしてんの。 なんでよ!もう! 仕方ないから、引導渡してやるよ……
「淑女の身体に軽々しく触られるのは、感心致しませんわ。 あら、そういえば、「 ご挨拶 」 しておりませんでしたわね。 わたくし、フリージア=エスト=フルブランド と、申します。 エルブンナイト=フォウ=フルブランド法衣伯爵が長女にして、畏れ多くも、ハリーストン殿下の婚約者に御座います。 どうぞ、よしなに」
真っ赤な顔が、一気に青褪めたのよ。 馬鹿ねぇ…… 私の事、なんにも調べて無いの? それとも、ハリーストン殿下の婚約者って、私じゃ無かったの? 王都の貴族の間の噂話なんて、知らないし、教えられてもいない。 私の腹違いの姉が居る事は、レイさんの御伽噺の中でしか知らない。 御父様から何も言って来ないないから、私の認識では、私はまだ、フルブランド伯爵家の長女にして、ハリーストン殿下の婚約者なのよ?
有名無実としても、事実は事実。 さぁ、この落とし前、どうつけるつもり? 御長男だけでなく、貴方も蟄居する羽目になるわよ?
顔色を失くしてブルブル震える、軍務長官に御爺様が嘲りの目を向け乍ら言うのよ……
「バルバルド=イミーズ=ヒルデガンド伯爵閣下殿。 貴殿は我が孫に手を挙げられた。 本領の高位貴族とあろう者がな! フリージアを、辺境領の単なる実戦指揮官と思ったか? 小賢しい、若輩と思ったか? さもあろう、儂の目の前で、このような暴挙に出るのだからな。 貴殿は云っておったな、ダイストロに口添えを頼むと。 あぁ、云うな儂は。 この暴挙を確実に奴にな。 その結果は、貴殿が受けよ」
私に腕を捩じり上げられたまま、ブルブル震えてんの。 仕方ないから、離してあげたの。 だって、バッチイもん。 なんか、色んな汁が出てるんだもん。 嫌じゃん、本当に、嫌じゃん! せっかく綺麗なドレス着てんのに……
ソファにガックリと項垂れて座り込んで、顔を両手で覆って…… ダメだなこいつ…… 所詮は戦場の塵を浴びたことがねぇ、普通の貴族のおっさんだもんなぁ…………
馬鹿め、自業自得だ!! ヒルデガンド侯爵閣下は子沢山だから、別にお前が継嗣でなくちゃならないって事はねぇし、二男さん以下、戦場の塵を浴びた本物の軍人さんだって、沢山いるしね! 長男だからってふんぞり返ってんじゃねぇぞ!!
フン!!
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落着いて、ゆっくりとソファに座り直すと、モリガンがお茶を入れてくれたの。 薫り高い、隣国のお茶よ? 最近になって、入って来たの。 王都でも、品薄と言うか、欠品状態が続いている高級な御茶。 やっと…… やっと、貿易が軌道に乗って来たんだよ。 長かったよ…… あの侵攻を防いでから一年半。 ちょっとづつ、ちょっとづつ、やって来た事が、実を結び始めたのよ……
思わず、微笑みが零れちゃうんだよねぇ……
そんな私を、蛇蝎を見るかの様に見ている、もう一人は、この国の財政を引き受けている人なんだと。 さっきチラッと、そんな話を聴いた様な? でね、一応 その人にも、ご挨拶しといたの。 きちんと礼典則に則ってね。
「お初に御目にかかります、フリージア=エスト=フルブランドに御座います。 どうぞよしなに」
「財務長官の レイモンド=エルビン=マクダネル侯爵だ。 エスパーニア辺境伯爵の御領では、トンデモナイ高率の税が掛けられているのか。 ” マリノリッジ ” などという、超高級茶を振る舞えるほどに」
「さぁ、どうで御座いましょうか。 他領とさして変わらぬ税率かと思いますが? むしろ、本領よりも低い位では無いでしょうか?」
「それでは、御家は虚栄の質があるのか。 財務を預かるモノとして、言わせて頂ければ、「王家に嫁ぐ御方」としては、些問題が御座いますな」
つまり、王都でも手に入らない様な ” 超高級品の お茶 ” を、貧乏辺境領の娘が飲んでる事に、むかっ腹立ててるって事ね…… はぁ…… この御茶が何処経由で輸入されているか、知らんのか? お前、財務長官だろ? 配下に「 商務部 」って所、抱えてんじゃないのか?
もうね、何をか言わん状態だね。 仕事してんのか? まったく!! 本来なら、財務長官なんて、激務な筈だろ? 辺境伯爵家の財務官さん達って、可哀想な事に、繁忙期なんか、お家に帰れないくらいなんだぞ? 今でも、夜遅くまで頑張っているって言うのになぁ……
まぁ、なんだ。 萎れている ” 御友達 ” の救出の為か、それとも、私の事が気に入らないのか、御爺様にまで、色々と圧力をかけてきやがるんだ。
貧乏な辺境は、資金不足の為に、本領より助成金を受けてる事が有るんだよね。
それを駒に、色々と無茶な要求をして来るんだよ。 やれ特産品をタダで寄越せとか、やれ魔石を差し出せとか…… 馬鹿にすんじゃねぇぞ!! 御爺様の領は、もうだいぶ前に借金体質の改善に踏み切ったんだ!!
お前ら、そんな事も知らんのか? 助成金だって、今じゃ、お付き合い程度しかもらってないし、返せって言われれば、即返金できるように、手も付けてねぇよ。 そっちの高級財務官が、形だけでもって、言って押し付けてきた奴じゃねぇか!! 本領では、” 手元に現金が有れば使う ” って、思ってるらしいけどな、紐付きの助成金なんざ、怖くて使えねぇよ!!!
これは、辺境伯爵家の財務官一同の統一した意見なんだ。 借金体質の時は、ホント苦労したってね。 だから、必死で財務体質を改善したんだ。 足掛け五年にもなるんだよ。 勿論、ロッテンマイヤー女史の課題でもあったんだけどね!
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そんでこの馬鹿、その助成金を止めるぞって脅してくる。 そんな意味合いの助成金を? あれっぽちのお金を止める? いいじゃないの? 熨斗付けて、返してやるよ!! 別に、何も問題は無いよ。 王国の財政の紐付きに成らない様に、五年前から、ギリギリでもいいんで、回してたんだよ。 それは、この領の財務を司ってた、財務官とミネーネ様がよく御存知。
そんで、領地経営の勉強の為に、私も参加してんのよ。 お隣の国と和平条約を結んで、色んな取引が出来る様になって、さらに、お隣の領の迷宮からも優先的にいいモノを、お安く買えるように整えてるんだもん。 なんなら、王都に行く物資をちょっと絞ってみようか?
学院の先生達が無茶したんだって、あわよくば、魔物から取れる魔石を手に入れる為なんでしょ? 森にいる魔物は、ほぼ野獣に近いから、魔石が取れたとしても、ちっちゃいやつよ? 今の大口の取引先は、例の迷宮産の物。 そして、それを一手に引き受けているのが、辺境伯爵家のお抱えの商人。
馬鹿じゃ無いの?
冷たい目をして、馬鹿を晒してる 財務長官 を見ていたんだ。 御爺様の後ろに立っていた ミネーネ様が、御爺様に、そっと耳打ち。 御爺様、黒~~~い 「笑み」を浮かべられてね。 言い放ったのよ。
「財務長官殿。 助成金に関してだが、今年度の分より必要ない。 すでに支払われている、昨年度、一昨年度の分は、国庫にお返しいたす事とする。 その代り、領境にある「物品税」の徴税事務所の撤廃を要求する。 辺境領の商人達の嘆願でもあるのだ。 同じ国なのに、領を経る時に税を取られるのは、困るとな。 聞く所によると、領境の徴税事務所が有るのは、この辺境領都と、本領の間のみ…… いい加減、迂回する道を整備するのも面倒なのだ。 そちらは、助成金を出さずに済む。 此方は我が領の商人の願いが聴ける…… 如何か?」
突然の御爺様の御提案。 ほら、何にも言えない。 必死に頭を巡らしていると思うけど…… どっちが得か判らないみたいね。 実際に数字を、弄ってないからよ。 上がって来た数字だけで、判断してるから、そうなるんだよ。 仕事しろよ! 仕事を!! でもね、御爺様の狙いは判っている…… というより、ミネーネ様のかな? だから、御口は開かないの。 ただ、黙って、冷たく見てるだけね。
「なに、助成金の額と、商人達が支払っている物品税とならば、助成金の方が額が大きい。 調べるまでも無いな。 さらに、今年の分を含め「三年分」、国庫に返還するのだ、どっちが得か、判らん財務長官でもあるまいに……」
鷹揚にそう言う、御爺様。 民の為になるって事は、結構悪辣な事でも、平気でするよね、御爺様は。 そりゃ、見て呉れの数字だとそうなるんだ。 今までのままだったらね。
これから、貿易高は月々、年々増して行くのよ。 ほぼ、倍々にね。 あっという間に、助成金の金額を追い越すよ。 特に珍しい、隣国の物は高値で取引されるもんね。 それにね、他領を経由して、本領に入る輸送料って馬鹿に成らないよ。 いわゆる「関税」がなくなると、一気に物流の流れが変わるよね。 その分は、そちらの方に何かしらの補填する事になるんだけど……
まぁ、それも、一応は考えているんだ。 物流を握ったら、経済は握れるものね。 みんなで豊かになろうって、考えてるもの、辺境ではね。
御爺様が黒い笑みを浮かべながら、ミネーネ様がサクっと起草した文面を見直し、ちょっと手直し。 それで、それをレイモンド=エルビン=マクダネル侯爵閣下の目の前に差し出したのよ。 流れるような技ね。 前々から機会を狙ってたんでしょ、ミネーネ様? じゃ無いと、こんな事、直ぐに起草出来ないよね。
国庫に返還されるっていう大きな金額に 「 ニヤつく 」 マクダネル侯爵閣下。 あっさりと、サインされたのよ。 これを手土産に、お帰り願おう。 後で、何か言って来ても、財務長官の承認が有るんだ。 あっちの官僚には、ひっくり返す事は出来ないよねぇ……
クックック……
おかしな笑いが出ちゃったよ。 き、気付かれて無いよね。 ミネーネ様もニヤリって笑ってるから良いよね!
項垂れる、バルバルド=イミーズ=ヒルデガンド伯爵閣下を慰めながら、大きな ”お土産 ” を得て、ニヤつくマクダネル侯爵閣下。 そんな二人を、領城玄関まで、御爺様とお見送り。 ちょっと――― ちょっとだけ思ったの。
この人達、一体何しに、来たんだろう?
ってね。
ちょっとだけ、困惑したんだ……
さても、阿呆な本領の人々。
息子を助けようとして、墓穴を掘った軍務長官。 目の前の餌に釣られて、財務に大穴開けそうな財務長官。 ホントに、王国中枢って、どうなってんでしょ? 滅びの足音が聞こえそうです。
まぁ、しっかりした人達も、下の方には居る筈ですから……
さて、着々と敵性人物を排除し始めているフリージアと、御爺様。 そろそろ、王都のお話も…… 必要ですね。 あと、ハリーストン殿下のお話も……
はい、頑張って綴っていきます!
最初は十話くらいのお話の筈が、どんどん膨らむ不思議…… なんででしょう?
頑張れ、負けるな、中の人。
物語は、加速します。
次回 閑話 (さて、誰のどんなお話でしょうか?