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2話 ネコ魔王の統治方針

 ゆっくりとバイブルのコメディタッチを取り戻していくおぉ!


 気付いた事は何でも言ってね?

 ニャー様が占領した村は急ピッチで作り変えられ、既に原型を捜すのが難しい城塞都市のように作り変えられていた。

 とはいえ、作り変えられたのは外敵から守る城壁と治水工事、そして何よりブシ工場と漁業組合へのテコ入れが凄かった。


 これをたった1カ月の間に成した村人達は今日も精力的に働いている。


 仕事に行く前には、


「お仕事頑張ってくるにゃ?」


 とネコに挨拶をし、ヘロヘロで帰って来てもネコにニャアと鳴かれただけで癒され、明日の活力にして毎日を過ごしている。


 分かる、私もそうだからっ!


 まあ、ネコのおかげというのは9割以上の事実ではあるが他にも村人達が精力的に働く理由もある。


 村の長だった前村長が上げてきた報告書を読みながら私はニャー様と私の愛の巣……


 きゃぁ♪


 コホン、私がベッドの端を借りて一緒に眠らせて貰っているニャー様の寝室兼執務室に向かいつつ、鼻から垂れる赤い滴を拭い、ティッシュを詰め、報告書を読み進める。


 報告書には税金が安く、行商人の出入りを自由にさせ、決められた場所、ネコの遊び場以外の場所で露店を開いても何ら金銭が発生しないので行商人達が仕事がしやすくなった為、物流が良くなり、村人も物を手に入れやすくなって生活が潤っているらしい。


 しかも、ニャー様達は物欲といえば食べ物ぐらいなので金に興味はない。せいぜいコインを転がして遊ぶぐらいだ。


 まさに『ネコにコイン』である。


 なので人間が生活しやすくする為の治水工事をすると言っても興味を持たないと同時に文句も言わないので右肩上がりに村の生活水準が上がりぱなしであった。


 その興味を持たなさぶりが伺えるのが未だに村というには大きくなっているが名を付ける様子すらない。


「ブシ工場の工事の進み具合を1日に何度も聞いてこられるのにね?」


 思わず、堪え切れずに独り言を言ってしまった私はクスっと笑って報告書を片付けようとしたが、まだ読んでない所がある事に気付く。


「危ない、危ない。仕事を疎かにするところでした」


 その未読の部分を読み進める私は自分の口角が上がるのを意識する。


「これは至急、ニャー様に報告の必要を感じるわね」


 私は思わず報告書を握り締めそうになるのを堪えて、足取り軽くニャー様がいる執務室へと急いだ。





 執務室に到着すると愛らしいお姿をするニャー様がそこにいた。


 はぁぁ……このお時間だときっとそうだと思っておりましたっ!!


 お昼を過ぎたお日様が一番高くなる頃、暖かい日差しが当たる場所でニャー様は丸くなって寝ておられた。


 私は息を荒くし、鼻に詰めていたティッシュを真っ赤に染めつつ、片膝を付いて話しかける。


「お休みのところ失礼します」

「……にゃ? ブシならお腹が一杯だから今はいらないにゃ……後、二ツマミぐらいならイケるにゃ」


 思い出すとどうやら食欲が刺激されるのか口周りを舐めまわすニャー様。


 是非とも私も舐めまわして頂きたい――ッ!


 意識が異次元に行きそうになるのを必死に引き止めて続けて話しかける。


「ブシとまったく関係ないかとは言いませんがご報告とお願いがあって参りました」


 目を薄らと開けて欠伸をするニャー様にペロペロしたいという衝動と戦いながら私は頑張って報告を続ける。


「何やら不穏な事を考えてにゃいか?」

「ご報告ですが、この村の西に人の足で3日ほど行った先にある山にドワーフが棲みついています」


 サラッと聞き逃した風に流した私の報告を聞いて「ドワーフ?」と聞いてこられる。

 どうやらニャー様は知らないようだ。


「ドワーフとは強靭な体を持ち、大人になっても背格好は私の胴を超えるぐらいの身長しかないのに樽のような体を持つ妖精種の1つと言われている武器防具、装飾品などを作らせたら凄いと言われる一族です。そのドワーフを仲間に引き入れましょう!」

「フーン、そんな種族がいるのにゃ? でも、ニャーは興味ないにゃ。特に武器とか物騒にゃ」


 再び、寝ようとするニャー様の唇に人差し指を押し当ててウィンクしてみせる。


 よし! この指は後でこっそり舐めよう!


 そんな考えを一切感じさせずに澄ませた表情をしてニャー様に話しかける。


「ご存知ですか? ブシを削る刃は良ければ良い程、風味高いブシが……」

「何をグズグズしてるにゃ? すぐにドワーフを恭順させるにゃ! 兵はどれくらいいるにゃ!」


 尻尾をピーンと伸ばして立ち上がるニャー様。


 ああ、かわい……凛々しい!


 兵は千か? 万か? とにじり寄ってくるニャー様を私は抱き抱える。


「兵は1匹いれば事足ります」

「にゃんと! 本当にゃ?」


 驚くニャー様に会心の笑みを浮かべる私は頷いてみせる。


「勿論、ニャー様の右腕レティスの手腕をご覧にアレです!」


 そう言う私はドサクサに紛れてニャー様の柔らかいお腹の白い毛に頬ずりする。


「や、止めるにゃぁ! お前の鼻血がニャーのお腹の毛に付くにゃぁぁ!!」


 暴れるニャー様の言葉が聞こえないフリをする私はお腹に顔を埋めて胸一杯息を吸い込んでニャー様のお日様の匂いを堪能した後、私はドワーフが住まう地へと出発する為に執務室を後にした。

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