学校
次の日、僕がいつも通り朝7時に起きてリビングに行くと、紫はちゃっかり椅子に座って朝食を食べていた。父さんは既に出勤していて、専業主婦の母さんは僕の朝食を用意していた。僕は母さんが焼いたトーストを食べて、家を出た。
そういえば紫は学校に行っているのだろうか? そもそも何歳かすらも知らない、学校から帰ったら聞いてみようか。
そんな事を考えながら学校に行くと
僕の席の横に机が1つ増えてる事に気づいた、こんな時期に転校生かな? 僕は先に来ていた壬生に話しかけた。
「よう壬生、この横の席は転校生かな?」
「さあ? 俺もそれを聞こうと思って待ってたんだ」
「多分、転校生だと思うよ」
「そうか?この時期に普通 転校生なんか来るか?」
そう、今日は6月だ。普通 転校生は学期の初めに来るものだろう。でも何故だが僕は転校生が来ると根拠もなく思い込んでいた。
そんな話していると、チャイムが鳴り僕は席に着き朝読書の本を読み始めた。あまり関わるつもりはないけど、どんな子だろう?。そんな事を本を片手に転校生の事を考えてると、いつもより早く担任の京極先生が教室に入ってきた。
「今日は重要なお知らせがある。朝読書はこの辺でやめて、先生の話を聞いてくれ」
本を仕舞って京極先生の方に向くと
「このクラスに転校生が来る事になった。源 紫だ、入ってこい!」
僕は一瞬 京極先生の言っていることが理解できなかった、いや、理解したくなかった。
入ってきたのは、やっぱり紫だった。
「源 紫です。先日、光くんの両親に引き取られ、今は光くんの家で暮らしてます。わからない事も多いと思いますが、よろしくお願いします」
一瞬クラスに沈黙が満ちた、そして一斉に騒ぎ始めた。
紫はこっちを見て微笑んだ。
「静かにしろ、源さんは転校してきたばかりだから、わからない事も多いだろうが、みんな仲良くしてやってくれ、源さんの席はそこだ、席が近い奴は色々と助けてやってくれ」
そう言って紫は空いていた僕の隣の席に座った。
朝礼が終わった後の事を考えると僕は溜め息を抑える事ができなかった。
案の定、朝礼が終わると
「義理の妹?」
「同じ屋根の下で暮らしていて何もないわけないよな?」
「義妹って最高だよな!」
紫の周りには女子が僕の周りには男子が群がってきた。
だけど僕はこれらの質問に、ほとんど答えられないまま1限目の授業開始のチャイムが鳴るのを聞いた。
さ
その放課後、僕は家のドアを開けるなり叫んだ!
「母さん! どう言うつもりなんだ!」
「どうしたの光?」
不思議そうに聞く母さんに僕は怒鳴るように質問した。
「どうしたもこうしたも、なんで紫がうちの学校に来てるんだよ! そんなの一言も聞いてない!」
僕が憤りを露わにすると母さんは
「ああ、紫ちゃんの話ね、紫ちゃんは中学校を卒業した後 児童養護施設の近くの高校に入っていたのだけど、うちに引っ越す際に近い方がいいと思って編入の手続きをしていたの。それでやっと編入出来たのよ、光には転校して来るって言てなかった?」
「聞いてないよ、しかも一緒のクラスだし」
「良かったじゃない、紫ちゃんも1人じゃ不安だろうし、光と同じクラスで良かったわ」
あの紫がそんなことで不安になるようなやつとは思わないが、同じクラスのだと宿題とか聞けると前向きに捉える事にしよう。
そう思いながらも、僕の口からは溜め息が漏れた。