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春の君の嘘なんて僕は知る由もない  作者: 朝日奈 イリナ
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DANGEROUS WORK

嫌でも蘇る記憶。腰まで降りた黒髪の女の子。自分よりも背が高く威圧感がある。小学一年生くらいだろうか、いつものように怒られている僕がいる。威圧感のある鬼の形相に子供らしい幼さを残りながら

「あんた!ほんt・・・」

そこで意識が戻った。何度も見慣れた自室の天井に貼ってあるポスター。そこには大好きなアイドルグループ。身体を起こすと壁一面にアニメやアイドルのポスター。これだから友達も少ないのかもしれない。自室からでて、リビングへと向かう。そこへ入るとすぐに設置してある机の上に妹が作ったであろう朝食と小さなメモが置かれていた。そのメモには可愛らしい字で

『信兄へ

今日朝練あるから先に行くね?

ごはん冷めてたらあっためて食べて♡』

そう添えられていた。妹よ、♡は要らないだろ。1人でツッコミを入れても虚しいだけだった。

例の転校生の書類を片手に朝食を口に運ぶ。恐らくだが、と言うかほとんどの確率で彼女は小さい頃近くに住んでいた、僕が恋をしていた女の子だろう。そして転入の手続きを終え今日から学校に通ってくるだろう。幼なじみで転校生といったらオタク的には大歓迎なのだが、できれば同じクラスにはなりたくない。

少し憂鬱な朝の仕事。さっきからため息が止まらない。生徒の笑い声さえも僕を嘲笑ってるようで腹立たしかった。しばらく経ち仕事が終わり校門をしめる。教室へ向かおうとした途中後ろから呼ばれる。反射的に振り返るとそこにはまた成葉がいた。近くへのり

「遅刻だぞ?」

彼女は上目遣いで

「開けて?♡」

くっ、かわいい...。しかし遅刻は遅刻だ、開けることは出来ない。

「職員室で遅刻の手続きをしてくるんだな」

少し強めの口調のせいで涙目になる成葉。胸が痛い。俺はやはり甘いのかもしれない。

「今回だけだぞ?」

ゆっくりと校門を開ける。通ると同時に飛びついてくる成葉。高鳴る鼓動。こいつはどうも何を考えてるかわからない。あいつじゃなきゃ惚れてたな・・・、走っていく後ろ姿を眺めそう呟いていた。

SHR。隣のクラスから聞こえてくる野太い歓声。どうやら成葉と同じクラスになることは回避できたようだ。今日はなんていい日なんだ。気分も上がり自然とSHRの話を無視し読んでいるライトノベル(カバー付き)のページをめくるスピードも早くなる。しかし僕の日常を壊すかのようにまたどよめきが響いた。すると不意にクラスのドアが開く。戸惑いながら担任が転校生を紹介した。それは当然湊 成葉その人だった。

SHRが終わり成葉の席が美しすぎるが故少し嫌悪感を持った女子と下心丸出しの馬鹿な男子達に囲まれている。どこから来ただとか、彼氏いるのだとか、髪綺麗だねどこのシャンプー使ってるのだとか、しょうもない質問にヘドが出そうだった。頼むよそでやってくれ。不運ながら隣の席になった俺の心の声。本を読むどころの騒ぎではない。しかしどうにも気にかかることがある。その疑問を吟味することもなくすぐに成葉にぶつけた。

「お前なんでうちのクラスにクラスを変えた?」

周りの生徒達は少し間が抜けた顔をしながらしかし興味心から皆が静まりかえった。すると彼女は勿体ぶるように間を開けて、少し照れながらこう続けた。

「そんなの・・・信歌君がいるクラスがいいからだよ。」

この瞬間周りの男子は俺に女子は成葉に明確な(ひが)みを向けたことは間違えなかった。

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