第2話 生徒会
教室 授業の合間の休憩時間
「生徒会?」
「はい、恵介さんが大騒ぎを引き起こしたので早速、目をつけたようですよ?」
入学してから2日後、俺とのコミュニケーションでかなりの緊張が解けてきたまどかがそんなことを教えてくれた。
「状況から考えると入部させようとしているのか?」
「恐らく、そうだと思います」
2日前にクラスメイトに追いかけ回されたから、その騒ぎを聞きつけた生徒会のメンバーが生徒会長に言いつけたのかもしれない。もしくは、生徒会長自身が見ていたのかもしれないが。
それはともかく
新入生が入学してある程度、落ち着いたから5月の上旬ぐらいまでは部活動の勧誘が激しくなると思う。
高校ではあまり関心がなかったからわからないが、大学だと最初の1ヶ月がかなりうるさかったと記憶している。
そのため、ネットで通っている高校の部活動を調べていると生徒会の他に陸上部や軽音部などの一般的なものから、オタク部というよくわからない部活動があるようなので慎重に選ぶ必要があるな。
多分、退部はできるんだろうけど2日前のことを考えれば簡単には退部させてくれないだろうし、実際に今でもクラスメイトからは、どの部員になるかという議題の議論までされているから困る。
そんな中、俺の目に留まったのが射撃部という部活動で、場所は地下になるが本物のクレー射撃用の銃が撃てるというものだった。
家の地下3階には射撃用の空間が設置されているため、小さい頃から銃に慣れ親しんでいる俺にとっては興味がそそられる部活だ。
元の世界では銃規制が徹底していたため、高校生がクレー用とは言えど本物の銃を持つことは許されなかったが、この世界では所定の場所から移動させずに正しい利用方法で扱えば15歳以上の人は誰でも使える。
勿論、持ち出すのは厳禁な上に日本で生産された銃にはGPSの搭載が義務化されているから、持ち出しただけで刑務所行きになることもある。
さらに、銃を初めて持つ人には指導官からの指示が徹底されるので、変な風に構えるだけで注意される。
理由はクレー用とは言え、人に向けて撃てば殺傷できる程の威力があるので自前で購入するには厳格な審査が設けられている上、申請した本人の周辺にいる人達の聞き込みもあるためにおいそれといって簡単に持つことはできない。
と言っても、俺の家は裏稼業を生業にしているので裏ルートから購入して自宅に保管している。そうしないと、敵対する組織との戦いで対等に戦うことができない。
そういった経緯で、俺も小さい頃から真理恵さんや織姫さんの指導の下で銃に関して手取り足取り教わってきた。
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校内 廊下
そんな訳で、機会があれば射撃部に入部しようかなと思いつつ、授業を受けていって昼食になったらまどかとなのは、そして珠緒と学食を購入しようと移動していると声を掛けられた。
「ちょっといいかしら?」
「ん?」
声を掛けられたので振り向くと、そこにはいかにも生徒会長の雰囲気を醸し出している女性が、何人かの人を連れて立っていた。
よく見たら、左腕には腕章が付いていて生徒会長の文字が刻まれていた。
「生徒会の人が凡人の俺になんの用でしょう?」
「あなたを生徒会の勧誘がしたくて来たのです」
「・・・」
(いつかは来ると思っていたがここまで早いとはな)
まどか達から話は聞いていたが、生徒会長が自ら出向くなんてことは滅多にないので俺は理由を聞くことにした。
「理由を伺ってもいいでしょうか?」
「あなたの能力を見込んできました。それだけではダメでしょうか?」
「生憎、詳細を聞かない限りは首を縦には振れないねぇ。振るとは限らんが」
「なるほど」
俺がそう言うと、生徒会長が誘うきっかけについて言ってくれた。
それによると、都内有数の難関校として内外に対して規律を重んじる学校だと言うことを知らしめるために一定数の知識と素養があり、規律を遵守できる生徒会の役員が必要だとのこと。
そのため、入学してから最初の日は騒ぎを起こしたがその後、騒ぎの沈静化を冷静に目指した俺の目をつけたらしい。
「なるほど、理解できる内容だ」
「また、それとは別に理由がもう1つあります」
「もう1つ?」
理由を聞いた俺が納得していると、生徒会長が話を続けたのでそれに対して疑問を言った。
すると、
「それはあなたがイケメンだからです」
「・・・」
と、生徒会長である彼女がそう言ったのでやれやれ、またかと思いつつ、どうやって断ろうかなと考えていると一緒にいた珠緒がこう言った。
「ちょっと!またその台詞!?この数日の間に私達はその台詞を何回、聞いたと思っているの!?」
「何回だろうと関係ありません。私達は私達の目的を果たすだけです」
声を荒げる珠緒に対して、生徒会長は冷静に務めているので不毛な争いになる前に俺が割って入る。
「理由はわかった。だがいくつか、気になる部活動があるからそこを回ってから決めてもいいか?」
「・・・わかりました。良い報告を待っています」
生徒会長がそう言うと、優雅に来た道を帰っていった。
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校内 中庭
「しかし、よかったのですか?」
「何がだい?」
「生徒会の参加を断ったことよ。普通の生徒が入ろうとしても入れない程、参加基準が高いらしいわ」
まどかやポプリ、珠緒達と昼食を取っている途中でまどかがそう言ったので俺が聞き返すと、なのはがちゃんと説明してくれた。
なのは曰く、生徒会に参加できるのは学内でもトップクラスの成績を収めた上で、礼儀正しさや公平さを求められる部活らしい。
それを聞いた俺は、なんだか規則やルールが多そうな部活動だなと感じたが、それを言おうとする前に珠緒がまどか達にこう言った。
「それってルールとか規則が多そうな部活ね」
「はい、実際に生徒会に入った人の話ではルールが多くて苦労しているそうです」
「じゃあ、恵介には向いてないね」
「どうして?」
「だってこの数日間、恵介の行動を見てどう思うのよ?」
珠緒に言われて、まどかとなのはがこの2,3日の俺の行動を思い出してみると笑顔になった。
「確かにルールとかに疎そうですね」
「礼儀正しいと思えばフリーダムに行動していて驚かされっぱなしだったわ」
「・・・なかなかの評価だな」
まどかとなのはが言ったとおり、結構な頻度で自由に動いているのでルールに縛られない行動をしていることが多かった。
そのため、心配そうにしていたまどか達との会話も弾んで教室に戻った。
生徒会って聞くと「蒼き鋼のアル○ジオ」に出てくる霧の生徒会の印象が強いです
作者自身が生徒会にあまり関わってなかったため、そう感じるのかもしれませんね