第1話 高校生活の初日
聖華高校 校門
「しかし、2回も高校入学とは不思議な気分だ」
俺がそうぼやつきながらも、立っているのはこれから入学して高校生活を送る高校の校門だ。
その高校は、偏差値が80近くの日本でも上位にランクインする高校で、合格発表は2月の上旬にあったらしい。
勿論、転生前の俺が結果発表を見に行ったことを俺は覚えているし、それまでに身につけた知識なども覚えているから高校生活でも困ることはないだろう。
一応、学生だから学業に集中するのは確定路線だがそれよりももう一度、高校生活を送れるのだったら遊びの方も充実させたい。
こう思うのも、1度目は勉強ばかりに専念していたので部活動などは一切、やらずに高校を卒業してしまったからだ。
しかし、2回目の高校入学でちょっとしたアクシデントが起きた。
「・・・」
「・・・なによ」
俺は横を見ると、むすっとした顔ですぐ脇に立っている珠緒の制服姿があった。
「何で珠緒さんがいるんですかねぇ?」
黒澤家4人姉弟の3女である珠緒が何故か、俺と同じ高校に入学したのだ。
「何よ!文句あんの!?」
「いいや?なんで同じ高校に入学したのか、聞きたくて」
「あんたが淫らに女性を家に連れてきて合体するのを姉妹として防ぎたいだけなんだからね!?」
「それはお疲れですねぇ」
俺が理由を聞こうとすると、珠緒は逆ギレ状態でこう答えてくれたので適当にあしらっておく。そうしないと、珠緒はガミガミと怒り続けることになるからな。それだけは避けたい。
「お、お疲れって!これもあなたのために・・・!」
「俺としては珠緒のキレた顔よりも笑っている顔を見たいな~」
「っ!」
あしらった俺に対して、珠緒がさらに何かを言おうとした時に俺が笑いながらそう言うと、珠緒の顔が真っ赤になって言葉を詰まらせた。
種明かしをすると、珠緒は俺と同じ高校に入りたいがために懸命に勉強をして、滑り込みで入学した経緯がある。
そのため、彩葉達からは『苦労するだろうけど珠緒ちゃんの勉強にも付き合ってあげて』と、言われているので暇があったら積極的に手助けしようと思う。
そんな訳で、顔を赤らめてブツブツと言い始めた珠緒と一緒に入学式の会場に向かい、そこでのイベントを終わらせてからそれぞれの教室に向かった。
~~~~~~
俺に割り振られた教室に到着し、ガラララと設置してあった引き戸を開けるとそこには、多くの同級生である女子達の姿があった。
しかし、さすがは都内で有数の難関校と言うことで無駄に品性を欠いた生徒はいなさそうだ。あるとするならば、男に飢えている生徒が暴走して俺に迫ってくるぐらいだな。
何せ、その教室には俺以外の男子生徒はたったの1人で、彼も同じクラスの女の子達から質問攻めを受けていたからだ。
そのため、俺が教室に入ると女の子達は一斉に俺の方を振り向き、俺が男だと確認すると多少の躊躇はあったがすぐに何人かの女子が俺の方にやって来た。
「あ、あの・・・あなたもこのクラスの生徒さんですか?」
「はい、そうですが?」
「は、はわわ!」
最初に聞いてきた気弱そうな女の子に対して、俺がそう言うとその女の子はかなりの慌てようで隣にいた別の女の子に背中を撫でられながらこう聞いてきた。
「えーっと、名前と趣味と好物と特技と好きな本と音楽を教えてくだしゃい!」
「まどかちゃん、噛んじゃっているよ~」
「はわわ!しゅみましぇん!」
(噛み噛みなのもかわいいな、こいつ)
まどかと言われた身長が150センチぐらいの女の子の質問に、俺は丁寧に答えていくと次第にその子の緊張もほぐれてきたようで最終的にはかなり打ち解けたと思う。
そんな訳で、会話が終わる頃に学校のチャイムが鳴ったので俺を含めた生徒達は、それぞれの席に着いていった。
授業内容は難関校とは言え、普通の学校でもやるような授業内容だから特に気になる点がなかったが、問題になったのが学食事の女の子達の行動だった。
「あ、あの!」「恵介君!」
「ん?」
「「「「「私達と食事をしませんか!?」」」」」
「え”・・・」
昼食のチャイムが鳴って先生が教室から出ていった瞬間、10人ぐらいの女の子達から昼食のお誘いをもらってしまった。
さすがに、何人かの女の子から声を掛けられると思って身構えていたが、10人ぐらいからいっぺんにお誘いをもらうとは思っていなかった。
「ちょっと!私が最初に声を掛けたのよ!」「違うわ!私が最初よ!」「あなた達は私の獲物に手出ししないでくれる!?」「何よ!私の獲物よ!」
と言う風にどういう訳か、俺に声を掛けたメンバー同士でにらみ合いからの言い争いが始まった。
騒がしくなる教室の中、俺はこっそりと教室から出るとまどかともう1人の女の子が入り口付近で待ち受けていた。
「大丈夫ですか?」
「あんたも人気者ねぇ」
「当の本人である俺も驚いているんだが?」
彼女達に、心配そうにそう言われたので俺がそう返すと必然的に学食でご飯を買って広場で食べようという話になり、2人の案内で学食が買える場所に向かった。
まどかと一緒にいるもう1人の女の子は、なのはと言って緊張しがちなまどかとは幼稚園からの幼なじみらしい。
そのため、互いが互いの苦手な分野を補う形でずっといたら偶然にも、難関校であるこの高校に入学してしまったという訳だ。
「あー!もうやってんじゃん!」
そんな中、俺と同じように学食で何か買おうとしていた珠緒に、俺達の姿を見られてしまった。
「早速、その子達を家にお持ち帰りしてあんなことやこんなことをしようと考えているんでしょ!?」
「出会って数時間の人をそこまでする勇気はねーよ」
珠緒のひどい言いがかりに、俺が呆れながら答えているとまどか達がおずおずと聞いてきた。
「あ、あの、この人は?」
「ずいぶんとせっかちなようだけど・・・」
「あぁ、俺の姉さんだ」
「「えぇ!?」」
俺がそう言うと、2人は驚いたがそんなことはお構いなしに珠緒が俺に怒りながら聞いてきた。
「それで!この娘達とはどんな関係!?もう恋人って関係じゃあ、ないでしょうね!?」
「彼女らとは只の友人関係なんですが、それは」
「それで恋人の仲になって強引に家に連れ込んで合体するんでしょう!?そんなこと、お姉さんは許しませんよ!」
「寧ろ、その想像力を学力の方に活かしてほしいんですがねぇ」
「また言い訳をして!」
そんな不毛な言い争いをしていると、
「見つけましたよ!恵介様!」「今度は逃がしませんわ!」「彼の隣は私よぉぉぉおお!」「いいえ!私がその役目ですわ!」
と叫びつつ、クラスの女の子達が俺をめがけて走り出した。
「やっべぇ!珠緒!何か買っておいて!」
「何かって何をよ!」
「俺が好きなものを頼む!」
俺は珠緒にそう言って、校庭に向かって走り出した。
~~~~~~
珠緒side
「全くもー、身勝手なんだから」
私の脇を通り抜けた女子達をスルーして、そうぼやつくと彼と話していた女の子がおずおずと私に声を掛けてきた。
「あ、あの・・・」
「なにかしら?」
「本当に姉弟なんですか?」
「・・・」
(なるほど、私と彼の言い争いを見て性格が違いすぎるものね)
私が高温のマグマなら、彼はやや冷たい海水みたいなものだから周囲からは姉弟に見えないとよく言われていた。
そのため、私ははっきりとこう言った。
「えぇ、れっきとした姉弟よ」
~~~~~~
夕方 恵介side
「初日からひどい目に遭った」
「あんたが気安く笑顔を見せるからよ」
「追っかけてきた彼女達曰く、俺がイケメンだからと言うのだがそんなにイケメンなのかねぇ」
「・・・」
あの後、騒ぎを聞きつけた先生達によって女の子の暴走は鎮火していって、なんとか珠緒が買ってきた弁当を食べることができた。
俺と珠緒、それにまどかとなのはとで昼食を取っている場面は周囲の人達にとって、嫉妬の嵐になったが俺達はお構いなしで食べていった。
その場面を思い出していると、珠緒が何かを言ったような気がして俺が聞いた。
「何か言ったかい?珠緒」
「ううん、何でもない」
「あ、そう」
彼女は普通にそう言ったため、俺は特に気にしないで送迎用として管理している家の車に乗せてもらいながら気を休めていったのだった。
高校生活なんてあまり、楽しいことはありませんでしたので想像で書いている部分が多くなると思います
それでもオッケーという人は、これからも読んでくださるとありがたいです