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ぶ~外れです! 賞品は魔王です!  作者: ピッピ
第7章 魔王冒険編
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第95話 おまわりさん こいつです

 最初は嫌がっていた勇者だが、よく見るとギルマスは美人だった。目つきが悪かったのが今では普通の感じになっていた。どうやら旦那を探していたのでキツイ目つきになっていた様だ。それに元々が辺境伯の長女だ、良い所のお嬢さんなので気品が有った。俺と勇者みたいな底辺とは違った感じだった。


「魔王さん、おはようッス!いい朝っすね!」

「なんだよ、偉く機嫌が良いな」

「へへへ、そうでもないッスヨ」


 昨日は泣いていた癖にこのクソ勇者は朝っぱらからご機嫌だった。ギルマスが優良物件だったのに気がついた様だ。ギルドマスター・辺境伯の長女で名前はイザベル・フォン・エーデル・リミット。長い名前だが貴族の階級が上がると名前も長くなるのだそうだ、領地の名前や先祖の名前、一族の名前が入ってるから長いらしい、まあ俺は名前覚えないから関係ないな。身長は163センチ、85・58・86だな剣士らしく引き締まった体だ、筋肉質だから体重は55キロ位か?年齢は20代半ば位なのかな、女の歳は良く分からないな、3サイズは0、5ミリ位の誤差で解るのだがな。


「今日からギルマスが来るんだろ?」

「夫婦は一緒に居ないと駄目って言ってたっす」

「まあそうだろうな、一緒に暮らすのが夫婦だわな」

「それなら私たちは既に立派な夫婦だな!何時も一緒だ」


 マーガレットのテンションが異常だ、元々ハイテンションな娘だが昨日辺りから益々元気だ。


「魔王さんも結婚したほうが良いっす!マーガレットは綺麗でスタイル抜群ッス!」

「てめ~、仲間を増やすつもりか!」

「当然ッス!人生の墓場にようこそ(笑い)結婚式は合同で上げるッス!」


 ぐぬううう~、勇者は強すぎてボコれないのだ。俺が勇者に勝てるのは口しか無いのだ。敵に回ると始末に負えないのが勇者だった、魔王の天敵だけの事は有るようだ。


「ふん、余裕の表情だな勇者よ。貴様俺が魔王だったのをわすれたのかな?」

「何の事っすか?」

「お前が色々やらかした黒歴史をイザベルに言うかもしれんぞ、なんせ俺は魔王だったからな、他人の不幸は蜜の味って言うよな。ふふふふ、新婚早々夫婦喧嘩ってもの面白いかもしれんな」

「ちょっと!マジやめて下さい!折角の幸せが壊れるッス!」

「ふはははは~!貴様の幸せなど砂上の楼閣。砂糖菓子の様に脆いのだ!俺はな自分が負けるくらいなら周りを巻き込んで自爆するのだ。心底負けず嫌いなのだぞ」

「俺が悪かったッス!謝るから許して欲しいッス、調子に乗ってたッス!」


 勇者が土下座して謝るので冷静になった俺は、何故頭にきたのか忘れていた。あれ?何で怒ってるんだったっけ?まあ、勇者の覗き見や黒歴史を勇者の嫁にチクったりはしないんだが、これは男としての最低限のマナーだからな。


「おい、サトウ。何で俺は怒ってるんだ?」

「さあ?最近忙しかったから気が短くなってるんですかね?」

「そういや、休みね~な。お前も新婚だし、しばらくのんびりしようか」

「マジっすか!休みくれるっすか!」


 どうやら俺は疲れてるようだ、そういえば毎日歩き回って屋根の下で寝ていない。魔王城ではケロベロスと遊んだり、サキュバスと遊んだり、温泉入って遊んだり、料理を作って遊んだり・・・・あれ?遊んでばかりじゃん。こっちに来てからは金を稼ぐのに必死で全く遊んで無かったのだ、そうか生活に追われて精神が病んでいたのだ。ふ~危ないところだった、全てがどうでも良い状態になる所だった、この状態になると転職したり引越ししたりする負のスパイラルになるのだ。


「マーガレット、領地に帰るぞ!緊急事態だ!」

「どうしたのだ?」

「休まないと俺が壊れるのだ。壊れると何をするかわからんぞ!」


 女5人で何やら会議をしていたが、確かに俺は働きすぎだろうって事になった。このまま俺が壊れると困るのでマーガレットの領地で休養しようって事になったようだ。

 ギルマスもやってきたので丁度いい、皆で領地に帰ることにする。馬車に荷物と勇者夫婦が乗って、アリア達5人は馬、俺はロバートの荷車でのんびりと隣町に移動だ。食料や服なんかは勇者が大金を稼いできたので山程買って馬車に載せた。ギルマスの花嫁道具も結構有ったので俺のロバの荷車も荷物でいっぱいだ。


「イザベラ、新婚早々移動で悪いな」

「ふふ気にするな、新婚旅行だ」

「イザベラさん、これ食うッス!俺が作ったッス」

「うむ頂こう、夫の作った料理を食う時が来るとは・・・感無量であるな・・・」


 早速勇者が嫁の胃袋を攻撃している、最近研究しているハンバーガーもどきだ。男に耐性のないイザベラは涙を流しながら食べていた。結構上手くやりそうだ、うむ、夫婦に大事なのは思いやりだからな。


「おい!勇者!少し離れろ、お前ら暑苦しいんだよ!イチャイチャしやがって!」

「へへへへ、焼いてるっすか」

「焼くな魔王、夫婦が仲が良いのは当然だ」


 つい先日盗賊団を殲滅しているので、平和な旅だった。途中で勇者シャワーにギルマスが驚いていた位しか目新しい事もなく、元の街に帰ってきた。ギルマスも旅には慣れている様で平気な顔で勇者と仲良くやっていた。盗賊から助け出した女2人も、このチームは女が多いので少し落ち着いて来たようだ。


「ただいま」

「お帰りなさい、魔王様」

「あれ?また増えてる・・」


 確か前に出てきたときは5~6人だったはずなのに、今は10人くらい居るな。顔の見分けはつかないが皆チッコイ子供だ。ここは孤児院になった様だな。まあ良いや、金も食料も沢山有るんだ何とか成るだろう、何とも成らない時は強引に何とかすれば良いだけだからな。それに俺たちも出て行く時から3人増えちゃってるしな。


「魔王は随分子沢山なんだな」

「まあな」


 アリアの借家に帰り着いた俺はせっせと飯作りを始めた、イザベラは孤児達を俺の子供と思った様だな。まあ子供たちが俺に懐いてるからそう見えるかもしれんな。勇者は早速風呂の支度に行っていた。手馴れた分業だな、アリア達もスープを作り始めた、何だか大家族になったな。子供達に飯を食わせて風呂に入れて服を配ったらもうヘトヘトだった。討伐より疲れるんだなこれが。


「先程は失礼した、魔王の子供では無く孤児だそうだな」

「いいさ、似たようなもんだ」

「勇者から話は聞いた、隣の大陸で魔王をしていたそうだな。それで今はマーガレット嬢の家来だそうだな・・良いのかそれで?」

「いいさ、俺は俺だからな」

「肩書きに興味はないのか、流石は勇者の師匠だけの事は有るな。真の勇者だな・・いや・魔王か」

「ふふ、勇者の事を頼んだぞ、上手く操縦してくれ。あいつはいい奴だ」


 次の日、子供たちを馬車に乗せて俺達はマーガレットの領地に移動を開始した。マーガレットの領地に新しい人間が12人増えることになったわけだ、マーガレットの従者は年寄りばかりなので子供といえども役に立つはずだ。それに彼女達も何時までも子供じゃないからな大人になればマーガレットの良い従者や使用人になるだろう。何もない世界だから真面目に働かないと直ぐに飢え死にや事故死する所だから、子供と言えども皆頑張り屋だ。働かない様な奴は淘汰されるのだ。

 マーガレットの領地に着いた俺達はマーガレットの従者のジジババに大変喜ばれた。そして子供達も優しいジジババが出来て喜んでいた、そして子供達の責任者には盗賊から助け出した女2人にしてもらう事にした。彼女達にも責任のある仕事をしてもらった方が気が紛れて良いからな。それにここには彼女たちを知ってる者は誰も居ないのだ、新しい人生を歩めば良いだろう。俺に出来るのはここまでだ、後は自分次第だ。


「そんじゃ行ってくるッス!」

「ああ、ゆっくりしてこいよ」


 馬の囲いを作ったり、子供達の住むところを決めたりするのに2日程掛かったが大分落ち着いてきた。勇者夫婦は新婚さんなので森のモンスター討伐に2人で行ってもらった。夫婦で魔剣使いなのでこの近くのモンスターは全て殲滅するだろう、1週間位新婚旅行がてら行ってくるそうだ。


「魔王、働きすぎだ。風呂に入れ」

「昼風呂か~久しぶりだな」


 ゆっくりと風呂に入っていたらマーガレットが豪快に入ってきた。こいつは何時も肩にタオルを掛けてどこも隠さず入って来るのだ。引き締まった腰と長い脚でモデルとしても十分やっていけるスタイルなのだが中身が男なのだ。


「邪魔するぞ」

「お前、少しは隠せよな」

「夫婦で隠し事は関心せんな」


 どうもこいつとは話が噛み合わないのだな、ズレてるというのはこういう事なんだろうな、完全にずれてるわけじゃ無いから一瞬納得しそうになるのが怖いな。


「勇者たちは上手くいってる様だな、歳が近かったらしいぞ。イザベラ様は今年25歳だそうだ」

「へ~、勇者は28歳だから丁度良いな」

「ほう、勇者は28歳だったのか私より少し上かと思っていたがかなり上だったのだな」

「そうなのか?」

「私は17歳だからな」

「え~!お前そんなに若かったの!20歳は超えてると思ってたぞ」

「何を言っている、アリアやココは私より若いぞ」


 アリアは16歳でココは15歳だそうだ、厳しい世界で頑張ってるせいか年齢より老けて見えるのだ。成程な~どうりで胸の張りが凄いと思ってたんだ、鍛えてるからかと思ってたのだが若かったからなのか、納得した。しかし不味いなこいつら皆女子高生だったのか・・いや高校無いから女子高生じゃないけど。勇者が知ったら発狂しそうな案件だな。黙ってる事にしよう。


「「「おっちゃん!洗って~!」」」


 ガキ達が風呂に入ってきた、俺が風呂に入ってるとガキ共が入って来るのだ。初めて会った日に風呂に入れて綺麗にしたので俺のことを風呂の付属品と思ってる様だった。女子高生の次はJSかよ、これって犯罪に近いんじゃ無いか?いや親代わりだから違うか・・・。何だか訳が分からない事になってきたな。


 


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