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ぶ~外れです! 賞品は魔王です!  作者: ピッピ
第7章 魔王冒険編
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第89話 商品納入

 捕まえた亀や薬草は勇者の魔法で凍らせてるので保存はバッチリだ。今日は街に帰るだけのノンビリした行軍だ。歩きながら皆と話をして、景色を見ながらのんびり進む。こっちの世界に来て人と話す事が増えた気がする、ネットも携帯も無いから話をする位しか暇つぶしが無いのだ、それに食うだけならそんなに頑張って働く必要もないのだな。一言で言えば余裕の有る生活って感じかな?ただし病気をしなければだが。


「こっちの世界ってのんびりしてるよな」

「そうっすね、全部歩きだから時間がたつのが早いっす」

「これでノンビリなのか、1週間で薬草採取クエストと亀の捕獲クエストだぞ。凄い働きだぞ」

「普通は薬草採取が10日位だね10人位のチームで」

「亀の採取が4日位だね、そして5人位で頑張って10匹捕れるかどうかって所だよ」

「ふ~ん、結構良いペースで来てるって事か・・・」

「また何か変な事考えてるッスね!その遠くを見てる様な顔は怪しいッス!」


 勇者とは一緒にいる時間が長いので既に俺の行動は丸わかりみたいだな、まあ俺も勇者の行動は大体予測がつくからお互い様だけど。良く考えたらこの1年程勇者と2人で色々やってきたんだな、一番一緒にいる時間が長いのが勇者だった、サキュバスやシルフィーネみたいな超絶美人が居るのに変な話だ。だが美人と居ると疲れるのだ、男同士が一番気楽だからしょうがない、今更気を使って生きるなんて馬鹿らしいと思うようになったんだな。


「今回のクエストは上手く行ったけど、これから先が上手く行くとは限らないよな?」

「そりゃそうッス、先の事は分からないッスね」


 クエストを受けて金を稼ぐのは一々時間が掛かって面倒なので他の事でも金を稼ごうと思っていたのだ。俺達がクエストを受けて旅をしてる間に金が溜まれば良いなって話だな。


「そんな事が出来るのか?出来たら凄いな」

「お前はやってるじゃないかマーガレット」

「私が?・・・借金2000万の私がか?」

「そうだ、領地の税金って領民から貰ってるだろ?お前が領地で農業してる訳じゃ無いよな」

「それはそうだが・・・」


 マーガレットは生まれつきの領主だから気が付いていないみたいだが、俺の様な貧乏育ちからすると夢の様な生まれなんだな。親が貧乏だと自分で働いて食って行くのが自然なのだが、領主は領民が働いてくれるので自分は働かなくても食って行けるのだ。マーガレットの場合はたまたま場所が悪かったので借金まみれに成った様だがな。まあ会社の社長みたいなものだな、社員の仕事を全部する社長は居ないからな。


「成程、人を使うと言う事か?」

「そうだ、ただし相手にも利益が無いといけないんだよな」

「何するっすか?こっちは株とかFXとか無いっすよ。もしかして高利貸し」

「全部却下だ、取り立てが面倒だし半年くらいで利益が出そうにないからな」


 俺はマーガレット達にこの間作った簡易シャワーの事を聞いてみた。やはりこういうのは売ってるところを見た事が無いそうだ、有れば便利なので安ければ買う人が居るかもしれないって話だった。冒険者は水を用意するのが大変だから売れないかも知れないが家に有れば使う人が居るかも知れない、こっちの人は行水とか布で身体を拭くのが一般的だからな。アリア達が気に入って毎日使うのはお湯が出るからなのだそうだ、今は夏だから水でも良いが、冬はお湯じゃないと無理だよな。


「ふ~む、簡易シャワーは売れそうにないな、じゃあ食い物屋するか」

「サキュバス達が居ないから駄目っすよ」

「味と値段で勝負だな、ハンバーガーでも作ろうか?」

「何だそれ?」

「帰ってから研究っすね、ひき肉は任せるッス。勇者の包丁捌きを見せるッス」


 帰り道が余りにも暇なので新しい金儲けを皆で考えていたのだ。俺達はチームなので皆で協力して金を稼ぐのだ、俺はアイデアは有ってもこの世界で通じるかどうかは全然分からないからアリア達の意見がいるのだな。大金を稼ぐには金持ちに何か売るのが一番良いが、そもそも金持ちを知らないので売りようが無いのだ。例えば熱気球ならここでも作れそうだから貴族に売れば結構な金になると思う、空を飛びたい人間は多いからな・・・そうだな、作ってみようかな。代金を取って乗せたら儲かりそうだ。


「なあマーガレット、空を飛んでみたくないか?」

「そりゃあ飛んでみたい、鳥のように空を飛べたら凄いだろうな」

「アタイも子供の頃飛んでみたかったな。どっか遠くに飛んで生きたかったよ」


 ココの何処か遠くには嫌な感じがするので聞かなかった事にする。人間誰しも現実逃避したくなる時は有るからな、ここは大人の対応だ、つまり見て見ぬふりってやつだ。

 やはりこの世界の人間も空を飛ぶことに憧れがある様だな、熱気球は受けるかも知れんな。どっかの馬鹿貴族が戦争に使おうとするかもしれないが、風任せでフラフラ飛ぶ熱気球じゃ偵察に使う位しか使い道が無いから平気だな。


「飛べるのかい?魔王」

「俺でも飛ぶのは無理ッスよ」

「その内作るよ、勇者が居れば何とかなるさ」

「人力飛行機っすか?幾ら俺でも皆を乗せるのは無理っすよ」

「熱気球だ、小型でも連結すれば積載量は増やせるからな、それに勇者の風魔法が有れば好きな方向へ行けるぞ。そして金を取って乗せれば儲かるはずだ」

「成程遊覧飛行って奴っすね、儲かりそうッス」


 それから熱気球が出来たら勇者を機長にする事にした。機長はモテるぞって言ったら、あの馬鹿は全力で風魔法の練習を始めたので大変だった。馬車が吹き飛びそうな位の風を起こすのだ。


「やめれ!馬鹿!馬車がひっくり返るだろ」

「・・つい力が入ったッス・・でも毎日練習するっすから期待してて下さいッス」


 本当は魔導士の街で造ろうと思っていた計画なのだがしょうがない、ここでやる事にする。魔導士の街なら火魔法の使い手が火をコントロールして風魔法の使い手が進行方向を決めれば実用化出来ると思っていたのだがな。

 色々話をしながら進んで居たら夕方位に街に着いた。家に帰りたいが売り物が有るので先にギルドに行く事にする、金を貰って荷物を少なくして家に帰るのだ。晩飯は家に帰ってからだな、冒険者は食事の時間が不規則になるけどしょうがない、そういう職業だからな。ついでに旅をして泊まる所も不規則で危険が一杯という超絶ブラックなのが冒険者なのだ。まあ俺は野良人間だから平気だけどね、人に囲まれて毎日暮らす方が苦痛なのだ。


「うい~す!薬草採って来たよ、買い取ってもらえるか?」

「あんたか、早いな。まだ1週間だぞ」

「亀も取って来たから一緒に頼む」

「亀まで有るのか!どんな魔法使ったんだ?」

「ふっ、教えても良いが・・死んでもらう事になるぞ・・」

「じゃあ良いわ・・企業秘密って奴だな」


 俺のブラックジョークは空ぶった様だな、まあスパイ物小説か戦争物の小説読んでないと通じないジョークだから仕方ないな。

 顔の怖い受付さんが出て来てついて来いっていうので付いて行ったら隣の建物に案内された。クエストの買取はこっちでするのだそうだ。薬草だけならギルドでも良いのだが、カミツキガメが居るのでこっちの建物なのだそうだ。やっぱり解体とかするから専用の場所でするのだろうな。


「まず薬草から見せてくれ、その後で亀だな」

「分かった。そこの台の上で良いかい?」

「ああ、そこで数を数える事にしよう」


 俺達は箱の中から氷で冷やした薬草を取り出して机の上に並べて行った、係員の顔色を見ながらドンドン並べてゆく。


「随分状態の良い薬草だな、これなら高く買い取るよ。全部で何本だ?」

「120だな、氷で冷やして来たからまだ新鮮だぜ」


 当初の予定通りに半分だけ買い取って貰うことにする。状態が良いので1本1万で買い取るって話だった。最初は1本12000ゴールドだったが数が多すぎて予算が無い様な感じだったが、職員にしか分からない予算が有るのだろうな。やっぱり半分にしといて良かった様だ。残りは隣街のギルドに売って儲ける事にする。

 そして亀は1匹3万ゴールドで買い取って貰った、氷で冷やしているので状態は良いのだが、夏の亀は余り美味くないので安いのだそうだ。その他にも兎の毛皮や毒蛇の頭等を売って2万程稼いでギルドの買取は終わった。全部で182万ゴールドの稼ぎだ。一月なら728万ゴールドって事だな。これを続ければ半年で2000万は楽勝って事になるな。頑張れば3か月で何とか成りそうだ。


「やぅたな魔王、あと1818万ゴールドだ」

「おう、何とか成りそうだな。泥舟に乗ったつもりで居てくれ」

「「「・・・・?・・・・・」」」

「滑ってるっすね!」


 俺のジョークは今日は不調の様だ。




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